目の覚めるような美白ボディにバイクを載せて楽しむ日産サニートラックライフ

  • クラシックカーヘリテイジカーミーティングTTCM2023で愛車取材した1990年式の日産・サニートラック

    1990年式の日産・サニートラック

セダン、クーペ、ハッチバック、オープントップ、ミニバン…クルマのボディスタイルは様々なタイプが存在する。それぞれに特徴や魅力があり、こだわりを持ってカーライフを楽しんでいるオーナーさんたちが存在するが、そのひとつとして忘れてはならないのがピックアップトラックだ。
近年は海外で日本の軽トラがブームになっていてニュースで取り上げられるほどだったりもするが、日本で長く親しまれてきたピックアップ型トラックの代名詞的存在といえば日産サニートラックだろう。

  • クラシックカーヘリテイジカーミーティングTTCM2023で愛車取材した1990年式の日産・サニートラック

    1990年式の日産・サニートラック

そんなサニートラックを2000年に購入し、コツコツと手を加えながら20年以上も乗り続けているのが内木さん。
「もともとサニートラックを購入したのはバイクを載せて運ぶのが目的だったんです。1990年式の中期型ロングボディで、たしか価格は15万円くらいだったと思います。走行距離は2万9000kmでしたが、外装などはボロボロの状態だったので、補修とカスタムを施しながら現在のスタイルに仕上げています。カスタマイズのきっかけは雑誌で見たサニートラックがカッコいいと思ったからで“Cal Look(キャルルック)"と呼ばれるアメリカ西海岸イメージのスタイルをコンセプトとしているんです」と、購入やカスタムの経緯を笑顔で語ってくれた。

サニートラックのデビューは、60年近く前の1967年。日産のダットサンブランドから販売されていた大衆車サニーのバリエーションモデルとして開発されたもので、車名は1985年までがダットサン・サニートラック、それ以降が日産・サニートラックへ と変更されている。
内木さんが乗るのは1971年からの2代目モデルB120系で、ツーリングカーレースで数々の栄冠を手にしたB110系がベース。2度のマイナーチェンジでロングボディ追加や内外装の変更はあったものの、シャシーとエンジンなどの基本はそのままに国内では1994年まで、南アフリカでは2008年まで生産されていた超ロングライフモデルである。

  • サニートラックの A12エンジンは殆どノートラブル

    サニートラックの A12エンジンは殆どノートラブル

ボンネットの下に搭載されているのは、排気量1171cc直列4気筒OHVのA12エンジン。軽量コンパクトで低速トルクも十分で高回転まで軽快に吹け上がる名機として知られるが、基本設計は1960年代ということもあり性能面での不満やトラブルの有無なども気になるところだ。
「変更しているのはマフラーくらいでほとんどノーマルのままですが、よく走るし不都合はまったく感じませんね。メンテナンスも定期的なオイル類の交換程度の一般的なものですが、構造がシンプルということもあり30年以上も経っているクルマとしては壊れないほうじゃないでしょうか。これまでに経験した一番のトラブルといえば、サビによる腐食でマフラーが落ちたことくらいで、あとはドラムブレーキ特有のブレーキの片効き症状があったくらいですかね。最近やったのは、燃料フィルターが詰まったので交換した程度なんですよ」というから、その言葉を信じるならサニートラックは旧車ライフの入門にもオススメと言えるのかも!?

  • 美しいホワイトカラーのサニートラック、カラーコードはトヨタの050

    美しいホワイトカラーのサニートラック、カラーコードはトヨタの050

そんな内木さんのサニートラックで、なんといっても注目せずにはいられないのが美しいホワイトカラーのボディ。
「ボディカラーは補修を兼ねてオールペイントしたもので、トヨタのカラーコード050のスーパーホワイトⅣという色です。これを選んだのは当時乗っていたカローラワゴンがカラーコード040のホワイトⅡだったので、2台並べたときに“映える"かなと思ったからです」

「そのほかこだわったのはポリッシュタイプのディッシュホイールです。中古品を指紋がなくなるまで磨いて仕上げましたが、とくに夏場はすぐに湿気でツヤがなくなるので手入れが大変です。あとはスズキのアルト純正ミラーの流用くらいですかね。以前はピラーのエアダクトなどをビレットパーツに変更していましたが、最近は少しずつ純正に戻しています。リヤバンパーも取り外してスムージング処理してしまいましたが、今さらになって純正のほうがいいかなとも感じているんですよ」とのこと。
人気車種だけにさまざまなアフターパーツが発売されていてさまざまな楽しみ方ができる一方で、いろいろやってみたあとに“やっぱり純正がいい”と原点回帰したくなる気持ちは、意外に多くのオーナーが経験したことのある感情ではないだろうか。

トラックならではのベッド部分も非常に美しいコンディション。今もたまにはバイクを載せることもあるそうで、後部のアオリにはラダーをかけるための金属パネルを張っているほか、荷台のフロアには傷がつかないようにシートで養生してからバイクなどを載せるようにしているという。美しさを保つためにはそれなりのご苦労もあるようだ。

インテリアもセンスよくまとめ上げられていて、シートは高級感のあるモケット調の表皮に変更されているが、ワインレッドのカラーは日焼けによるもので、もともとの色はブラックだったというから驚いた。
ステアリングはコンペタイプ、タコメーターは大森製に変更し、助手席には時代を感じさせるクーラーユニットも装備しているなど、懐かしさと実用性が共存する居心地の良い空間となっている。

聞けば内木さん、このサニートラックのほかにもY30系セドリックワゴンも所有という根っからの日産旧車ファンということで、2台の愛車の使い分けなども気になるところだ。
「そもそも日産車が好きになったのは、子供の頃のテレビドラマ西部警察の影響によるものなんです。もちろんヒーロー的なマシンXやマシンRSにも憧れましたが、私の場合は爆破される悪役車も含めて劇中に登場する日産車が好きだったのが愛車選択に影響したのかもしれません(笑)」と語ってくれた。

以前はサニートラックで走りを楽しんでいたこともあったそうだが、最近はイベントに参加するほかは好調を維持するために近所を走らせる程度とか。しかしその愛着に変わりはなく、サニートラックとともに過ごす時間は内木さんにとってかけがえのないものなのだろう。
最後にサニートラックで行くお気に入りの場所は?と聞いてみると「近所の田んぼ道ですね」と即答だった内木さん。初夏の緑や、秋の黄金色に色付く稲をバックに走る白いサニートラック…まるで映画のワンシーンのようじゃないか。

取材協力:クラシックカーヘリテイジカーミーティングTTCM2023

(⽂:川崎英俊 / 撮影:平野 陽)
[GAZOO編集部]