初めて会っても旧知の仲 ブログで拡がるネットワーク 愛車は2代目ソアラ

ドライブ、カスタム、グルメ、旅行記など、カーライフの楽しさを広げる情報を共有しあうために開設された「GAZOOブログ」。
ところが、開設して数年後にTwitterなどのSNSが主流となりブログで発信するユーザーの激変、ブログユーザーに最適な環境を整えることができない状況を艦み、惜しみながらも2019年に閉鎖しました。GAZOOブログに投稿してくださった皆さんには「gooブログ」への移設を呼びかけ、現在もハッシュタグ「#GAZOO」を付けて投稿していただいています。

閉鎖して時を経ても今なお「#GAZOO」のハッシュタグをつけてくれている人は、どんな人で、どんな気持ちでブログを書いてくださるのだろう?
その真相を明かすべく「ブログの中の人」に取材させていただきました。

今回取材をさせていただくのは、GAZOOブログサイト内の「カムリコミュニティ」で知り合ったメンバーが10年来の友人になったという「車好きオヤジ」さん。ブログには、車に関することや、日常であった出来事など様々な内容がアップされています。さて、一体どんな方なのでしょうか?

緑豊かな六甲山が広がる兵庫県に、車好きオヤジさんはいらっしゃいました。

愛車は、トヨタ ソアラ 2.0VX。走行距離は5万kmで、たまたまネットで見つけて衝動買いしてしまったのだとか。平成2年式という古い車にも関わらず、ボディの劣化は見られず、とても綺麗です。

前にスライドしながら開くという独特な動きを見せる、4リンク式ドアヒンジを採用したイージーアクセスドア。速度をデジタル、エンジン回転数や燃料残量をバーグラフで表示するデジパネなど、ソアラならではの部分がお気に入りとのこと。

車好きオヤジさんが所有するソアラは、昭和61年に販売されたクルマ。20の愛称で親しまれ、2代目ソアラの最終バージョンです。当時の感覚では、今の1000万円以上の高級車で、憧れることはあっても全く手の届かないクルマだったとのこと。時を経て、まさか自分がハンドルを握ることになろうとは思ってもみなかったそうです。

そんな車好きオヤジさんの青春時代は、高度経済成長の真っ只中。テレビが白黒からカラーに変わり、映画館などあらゆるレジャー施設が最盛期を迎えた頃でした。FM番組のエアチェック(ラジオの録音)を聞いたり、雑誌「ポパイ」で若者向けのファッションを勉強するのが車好きオヤジさんの日常でした。
最近は免許を取らない人も多いなか、その時代は16歳になれば単車の免許、18歳になれば自動車の免許を取得し乗るということが、ある意味1つの大人へのステップだったそうです。

「免許取得当初は、軽トラックでもワゴンでも、車でありさえすれば乗りたくて仕方ありませんでした。ですから、友人の誰かが車を購入したり、親の車を借りてきたら仲間内では引っ張りだこでしたね。もちろん、女性とのデートにも必須でした(笑)」

そう語ってくれた車好きオヤジさんは、2012年からGAZOOブログを利用してくださっています。実社会での人間関係と、SNSでの人間関係に共通するものがあるのではないかと思ったことがブログを始めたきっかけでした。

「ブログはハンドルネームやIDを使う人がほとんどで、年齢や性別などは自分から発信しない限り全く分かりません。その人の投稿するネタや、内容などから人物像を読み取り、コミュニケーションを取ることが重要になってきます。人となりが分からない相手との接し方は、なかなか難しいですよ。でも、その術を知ることで、実社会で関わる方達への接し方に生かせるのではないかと考えたんです。自分の人間関係のスキルをブログで試したかったといっていいのかもしれません」

数あるSNSのなかで「GAZOOブログ」を選んだのは、自分が好きなクルマのこと、日常で起こった何気ないことなど、幅広いジャンルの投稿が出来そうだと感じたからとのことです。

人間関係について学べるのではないかと思い始めたブログでしたが、投稿を続けていくうちに、ブログに対する認識が変わっていったそうです。

「素の自分を出せる場所だなと感じるようになったんですよ。家族や友人に言えないようなことでも、誰ともシガラミがないから正直に何でも話せるんです。こういうことを言ったら何て思われるかな?とか全く考えず、忖度なく思ったことを言えるんです。職場であったこと、家族のことなど色々なことを書いて、みんなで話すのが楽しかったです」

仲の良い友達との憩いの場としてGAZOOブログを活用するようになった車好きオヤジさんですが、顔が見えない相手ゆえに困ったこともあったといいます。

「みんな、私のことを過大評価しすぎている節がありまして……。コメント欄に、思わずクスッと笑ってしまうようなことを書くようにしていたら、「考えることが違う」とか「思いつかなかった」とか誉められすぎて、そんな大した人間ではないのに……と心配になってきてしまいました(笑) ここが、ブログの面白いところでもあるんですけどね」

  • 車好きオヤジさんとインタビュアーの矢田部

自分が思っているのとは、全く違う方向へ話が進んでいってしまうのも、また一興なのだとか。素の自分を出したうえで、そう思ってもらえるなら有難いと照れ臭そうに笑っていらっしゃいました。

「人間って不思議ですよね。見た目の先入観にとらわれて、あの人はこういう人に違いないと決めつけてしまうことがあるでしょ?だけど、深く付き合っていくと、全然初対面の印象と違う人だったということが多いじゃないですか。ブログはそれがないんですよ。匿名だから、最初からストレートに自分を表現できるという人が多いんじゃないかな」

なかでも、車好きオヤジさんが仲良しなのは「カムリコミュニティ」で知り合ったメンバーだ。当時、カムリに乗っていたということもあり、入会したのです。

「ある時、仲の良かったメンバーの1人に「旅行で関西に行くから会えませんか?」と誘われたんです。私は、ネット上での付き合いと思っていたので戸惑いましたが、思いきって会ってみたんです。そしたら、はじめましての感じがしなくて。やっぱり思った通りの人だったとなりました」

顔や声は初めてだけど、中身を知っているので古くからの友人に久しぶりにあう感覚に似ていたそうです。車好きオヤジさんは、他のカムリコミュニティのメンバーとあったときも同じ感じだったといいます。

「何人かにお会いして、有名な方だったんだとビックリすることもありました。もし、初めから地位や肩書きを知っていたら、ここまでざっくばらんに話せなかったかもしれないと思うんです。最近は、クルマのことは全然書いていないけど(笑)、GAZOOブログをやってよかったです。ひょんなことから始めたブログが、10年来の友人になる人達と出会わせてくれたんだから」

取材後、車好きオヤジさんのブログを覗いてみました。車とは全く関係のない内容と、鰻の画像に、「オヤジさんらしいなぁ」と思わず笑ってしまいました。

(文:矢田部明子 写真:GAZOO編集部 岡本)

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