4代目デミオの競技向けグレード15MBで、サーキット走行も街乗りも楽しむ充実カーライフ
マツダの大衆向けコンパクトカーとして1996年から4代にわたって発売されたマツダ・デミオ。
そんなデミオがMAZDA2にモデルチェンジされる前の2017年式モデルで、通勤から普段乗り、そしてサーキットでのタイムアタックイベントまで1台で楽しむ充実したカーライフを過ごしているオーナーの坂井友寛さん(47才)。
坂井さんがクルマに興味を持ち始めたのは高校生のころ。アメリカの著名なヒルクライムレースである『パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム』の様子を雑誌で読んだことがキッカケだったという。
「日本から世界に挑戦するモンスター田嶋さんが活躍していた記事で、スズキ・カルタスをベースに前後ツインエンジン仕様にして乗っている姿を見て衝撃を受けて、自分も免許取ったらカルタスに乗ろうと思い、そのあと新車で購入しました」
カルタスに半年ほど乗った後は、おなじくスズキの軽自動車であるアルトワークスに買い替え、さらに、このあとすぐ坂井さんにとって現在のカーライフにつながる運命的なクルマに出会うことになる。
「クルマとは全く関係のない仕事場だったんですが、ひとつ上の先輩が1.8LのNA型ロードスターに乗っていたんです。それで街乗りでちょっと乗らせてもらったら、とにかく面白くて。
アクセルを踏んだときの反応の良さや、ハンドルを曲げればその通りに動いてくれる挙動など、まるで自分の運転が上手くなったような感覚になれるクルマだと一気にホレ込んでしまい、長岡のユーノスへ行って無理して新車で手に入れることになりました」
購入先のディーラーでロードスタークラブ主催の走行会の存在を知ったことで、初めてグリップ走行会にチャレンジ。そこからは順調にロードスターのライトチューンを進めていき、月に2回といったペースでタイムアタックに精を出すようになっていく。
「ロードスターには10年くらい乗り続けました。乗り換えるキッカケになったのは2004年に起こった新潟中越地震ですね。自分の家も被害にあったため、住宅ローンを組んで新居を建てることになったんです。それでロードスターを所有して趣味を続けるのも厳しくなって、別のクルマを探し始めました」
「ロードスターでは途中で大きな修理に費用がかさんだこともあったんです。そこで維持していく上でもなるべくトラブルが起こりにくい車種をと思い、まずベースはFFで、それで普段使いにも便利そうなことも理由となり2代目のDY系デミオを購入しました」
とはいえ、これまで続けてきたタイムアタックの趣味を我慢できたのは1年ほどで、そのあとはホームの日本海間瀬サーキット(新潟県新潟市)を中心にデミオでのアタックを趣味として続けていくことになる。
ところが、そのデミオは所有7年目というタイミングでもらい事故により廃車に。そこで乗り換えたのはひと世代新しくなったDE系デミオだった。
普段使いも便利なクルマで休日にサーキット走行を楽しむというカーライフのなかで、5年ほど前から『マツダファン・サーキットトライアル』という競技会にも参加するようになっていったという。
「最初はロードスター乗りの仲間のパーティレースにサポートとして同行していたんですが、自分でも競技に出てみたいと思うようになったんです。
競技というとレースを想像するかもしれないんですけど、サーキットトライアルはカテゴリー別にレギュレーションの範囲内でチューニングしたクルマがタイムアタックでベストラップを競う内容で、安全に楽しめるということも大きかったですね」
そしてデミオをトライアル仕様としてレギュレーションに沿ってカスタムを加えていったものの、ECUチューンを繰り返したところエンジンが耐えられずにブロー。
そこで、新たな車体を探していたなかで、2018年に手に入れたのが、現在の愛車である4代目デミオだった。
坂井さんが狙ったのは、モータースポーツのベース車両という位置付けで設定された15MBというグレード。ギヤ比がカスタマイズされた6速マニュアルのほかに、吸排気を中心に手が加えられた15MB専用の1.5L・4気筒の直噴DOHCエンジンが搭載されていることが大きな特徴だ。
そんなデミオが希望予算よりも安い価格でインターネットオークションで出品されているのを見つけ、ダメもとで入札したところ落札できてしまったラッキーな車体だったという。
購入からおよそ4年間をかけて『マツダファン・サーキットトライアル』への継続的な参戦を目標に、サーキットを最低限かつ安全に速く走れて街乗りもできるライトチューンに仕上げてきたという坂井さんのデミオ(DJLF5)。
「クルマよりも腕を磨いて速くなる」という方針は、5年前に知り合い、坂井さんが『走りの師匠』と尊敬する廣江謙一郎氏の教え。
廣江氏は日本海間瀬サーキットをホームにドライビングスクールの講師を務めるほどの腕前を持つ、追加メーターでおなじみ『Defi』の名物広報マン。もちろん坂井さんもサーキットでの視認性を高める追加メーターはDefi製のものを愛用している。
「FFは機械式デフを入れると冬の雪道で足を取られるようになってしまうので、冬も日常で乗ることを考慮してオープンデフのままにしています。もちろんコーナーの立ち上がりでトラクションをかけるには機械式デフが入っていたほうが有利なんですが、そういったところを腕でカバーできるようにするのも、やりがいを感じるポイントですね」
そういったトラクションやパワー不足を補う要素のひとつが、足まわりを中心としたセッティングだ。下回りのパワーブレースやタワーバーの追加といった最低限のボディ補強をこなしつつ、Odula製車高調のスプリングレートを変更するなどカスタマイズして装着している。
ホイールはレース仲間から譲ってもらったというNDロードスター純正品へ変更されているが、16インチというサイズはデミオ15MBのオプションと変わらない。グリップが必要になる場面もあるが、タイヤを太く大きくしていけばその分パワーロスも大きくなってしまうため、このサイズに落ち着いたという。
15MB専用エンジンは純正交換タイプのエアクリーナーとOdula製マフラーで吸排気効率を高め、ECUセッティングも行っているNA快速仕様。ヘッドカバーの上部がくり抜かれているのは、競技会の車検時にオイルレベルゲージ固定のチェックを素早くできるようにという工夫なのだとか。
エンジンマウントの隙間にゴムを追加してエンジンの揺れを抑えることで、シフト時のミッションの入りを改善。また、リヤディフューザー部のエア溜まりを抜くことで抵抗を減らすなど、工夫しながらDIYでカスタムしている部分も少なくないようだ。
競技会に参加する際には『STAGE堀川農園デミオ』というエントリー名を使用している坂井さん。ロードスターのチューニングショップとして知られるRSファクトリーSTAGE(新潟県長岡市)代表の田畑氏とは、まだショップを開業される以前、坂井さんがNAロードスターに乗っていたころからの付き合いという。
ふだんのメンテナンスガレージとしてだけでなく、ツインリンクもてぎで開催される耐久レースの『Joy耐』などへはサポートメンバーとしても同行。ブルーのチームウェアもそのときのものだ。
そして、そのRSファクトリーSTAGEと手を組んで『最速米』という地産のコシヒカリを販売している堀川農園(新潟県三条市)からは”食生活のサポート”を受けているというのも、米どころ新潟ならではと言えそうだ。
最後に、全国のデミオ&MAZDA2オーナーの方々へ向けた、雪国新潟で1台持ちのカーライフを楽しむオーナーから受け取ったこの呼びかけをもって記事を締めさせていただこう。
「レースと違ってタイムトライアルだから安全で、普段乗りできるこんなクルマでも参加できる。それがあんまり知られていなくて自分みたいなFFの参加者は少ないんです。皆さんが思っているより参加のハードルが低くて楽しい競技なので、ぜひ興味があったら参加してみてほしいです!!」
坂井さんは、今年もこのデミオで『マツダファン・サーキットトライアル』に参戦するべく意欲を燃やしている。
取材協力:長谷川屋
(⽂:長谷川実路/ 撮影:岩島浩樹)
[GAZOO編集部]
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