WiLL VSをキッカケに出会い、20年大事に乗り続ける仲良しご夫婦。改めて知るその魅力とは?
同じクルマが好きというキッカケで仲良くなって結婚したご夫婦とお話を伺うと、共通して見られるのが、お互いに愛車についての熱い思いをとても楽しそうに語り合っている姿。
そして今回の主役、WiLL VSをそれぞれ愛車として所有する新潟県南魚沼市在住の竹内さんご夫婦も、それぞれが愛車に求める方向性は違うにも関わらず、お互いに尊重し合い認め合っている様子が素敵なお2人だ。
WiLL VSは、ステルス戦闘機をデザインコンセプトに「理屈抜きにかっこいいスタイル」を謳い、カローラなどと同様のプラットフォームをベースとして作られた5ドアハッチバック。
トヨタ自動車をはじめとする異業種による合同プロジェクト「WiLL」ブランドのクルマとして、2001年から2004年まで発売されたモデルで、同シリーズのWiLL ViやWiLLサイファとともに先鋭的なコンセプトやスタイルが注目を集めた。
そんな尖ったスタイリングにグッときたのが竹内さんご夫婦。WiLL VSのカッコよさに魅了されたおふたりは、それぞれ発売開始後ほどなくして新車を購入。その2年後にオーナーズクラブで知り合い、結婚して今に至るというわけだ。
旦那さんの雅之さんがWiLL VSを買おうと思ったキッカケは、それまでの愛車だったインプレッサが不動車となってしまったことだったという。
「もともとクルマは大好きで、インプレッサをスポーツ系にいじっていました。当時は“お金をかければカッコいい”というかんじでクルマに注ぎ込んでいたんですが、借金も作ったりして厳しい状況になっていたんです。
走ってぶつけても直して動かしていたんですけど、最後は直せないレベルになってしまって…。そこで、マイナーで珍しいクルマならお金をかけなくても満足できるだろうと、WILL VSとbBのオープンデッキ仕様の2車種を候補にしました。
そして、たまたま先に見に行ったWiLL VSに試乗してみたら、オートマなのに不思議とフィーリングがしっくりして、それに決めました。それが今から20年前の25才の時です」
試乗時にはオートマの良さが決め手になったものの、試乗後に当時100台限定で発売されたマニュアル車があることを知り、結果的にはそちらを選択。それが鮮やかなボディーカラーの『レッドスペシャル』だった。
「WiLL VSって未来形なスタイルに目が行きがちですけど、開発コンセプトは走行性能にもこだわったスポーツカーなんですよ」と話す雅之さんの愛車は、20年かけて少しずつカスタマイズされ、今では前の古さを感じさせない戦闘的でスポーティな印象に仕上げられている。
「一番気に入っているのは猫っぽい目のフロント周りですね。ライトをつけると上の部分が白く光ってウインカーが出るようになっているんですよ。
エアロもサイドとリアは純正オプションなんですけど、フロントだけは友達が作ったワンオフバンパーに純正スポイラーを合体させた完全ワンオフもので、僕はそれにゴム製のフロントリップを加工してつけています。適当に作ってカーボンシートを貼ったら結構いい感じじゃんって(笑)」
また、適度な車高の低さと合わせて目を惹くワークのホイールや4本出し風マフラー、さらにマジョーラカラーに塗装されたルーフやフィンなどがスポーティーなスタイリングに一役買っているが、実はこれにもそれぞれ秘密がある。
「ホイールはもともと違う色だったんですけど、だいぶ表面が剥がれてきて磨いたら中のブラックがでてきてちょうどよくなりました。あとこのマフラーはマフラーカッターで4本出しのように見せているけど、実はただの左1本出しなんです(笑)。
一度ディーラーと相談して左右出しにしようと計画しましたが車検が通らず、でも左右出しにしたいよねってことで、こういう状態になりました。ルーフとサイドミラーはお世話になっているお店で塗料が余っているからと塗ってくれたのですが、光が当たると色味が変わるのがおもしろいですよね」
また「トヨタのエンブレムがないクルマなのでトヨタらしさを出したかった」と貼ったGRステッカーや、ユニークなカーボンのドアカップカバーも「デザインがテールランプっぽくてちょうどいいかな」という雅之さんのセンスが光るアイテムだ。
一方の車内もボディカラーと統一感のあるレッドを基調としたスタイリッシュな雰囲気。
「シートカバーは他のオーナーさんの手作りで、その方がレカロシートに交換するから不要になるというので譲ってもらいました。ダッシュボードは15年くらい前に自分で張り替えたし、シフトノブカバーやシフトノブも交換しています」
ちなみにこの日雅之さんが持参してくれたお宝グッズの中には、10年使っていた純正シフトノブ、さらに「いつか使おうと思っていたら20年経っていた」という未使用のオーダー刻印入りのシフトノブも。オーナーズクラブの方が自作したというメーターと同じ形の時計もユニークだ。
そんな中気になったのが、ドアポケットに入っていた2体のぬいぐるみ。実はこれ、納車時から載せているアイテムなのだとか。「つねにドアポケットにいるので、たまに子供が足を引っ掛けて汚れるんです」と雅之さん。
一方そんな雅之さんに負けないくらいWiLL VSに強い愛情を注いでいるのが、幼少期の父親のクルマの影響で、もともとクルマが好きだったという奥様の『のりんご』さん。
「元々カローラツーリングワゴンのスポーツグレードに乗っていたんですけど、モーターショーで見たWILL VSがとても気に入って、どうしても欲しくなって買い増ししました。ツーリングワゴンも4AGエンジンの特性が好きで気に入っていたので手放せなくて」
しかしそれほどお気に入りだったツーリングワゴンも25万km乗り雪害でボロボロに…さらに当時子供も生まれたばかりだったため、泣く泣く手放したそうだ。
のりんごさんが最初に購入したWiLL VSはAT車で、雅之さんと同じ年式の2002年製。ボディカラーは「琴線に触れた」という初期型限定のダークレットマイカだったという。
そして「最初に」と言ったのには理由がある。実は取材に乗ってきてくれたのりんごさんのWiLL VSは、正確には2台目にあたるためだ。
「1台目は3年くらい前に事故に遭って大破して乗れなくなったんですけど、やっぱりすべての面でVSが好きだったので、またVSに乗りたくて同年式、同グレードで同色のVSを探して、ナンバーも同じにして流用できるものは全部移植しました。他の人からみると乗り換えているのがわからないと思います」
のりんごさんが新車で購入した1台目の走行距離は約25万kmだったそうで、2台目を1台目のレプリカ仕様に仕上げているほどのこだわりぶりからも、雅之さん同様かそれ以上の愛情の深さがうかがえる。そんな彼女の一番のお気に入りポイントが、アルミホイール。
「デザインがすごく気に入っていて、同じホイールの色違いを前のカローラツーリングワゴンにも履いていたんです。なので、このクルマを買うと決めたときから絶対ホイールはあれにしようと決めていました。ちょうど茶色みたいなゴールドがクルマの色に似合うかなって」
また、雅之さんと同じく、特徴的なフロント周りもお気に入りのポイントだという。
「やっぱり猫目っぽいヘッドライトはかなり好きです。あと“メガネ”と呼んでいるフォグランプの合間の橋渡し的なパーツも気に入っています。両面テープで貼ってあるだけですけど(笑)」
そして彼女のクルマを見渡してキラリと光ったのが、運転席側とリアに貼ってあるゴールドのステッカーだ。実はこれ、彼女がお気に入りのプロレスラー『デスペラード』のステッカーで、車内にもデスペラードグッズがたくさん!
「うちは家族全員プロレスファンなんですよ。新潟に興行が来たら必ずみんなで見に行きます。夫婦でいろんな好きなものが一致していると、盛り上がれるのがいいですよね。
ただ、息子もふくめて3人とも違う選手のファンなんです(苦笑)。息子が着ているTシャツも、息子が好きな選手の手書きイラストなんですよ」
竹内夫妻の場合、共通の趣味であるクルマもプロレスも方向性はそれぞれのこだわりがあり、それをプラスに楽しんでいる姿がとても印象的だ。
そんな竹内ご夫妻は、これからもWiLL VSに長く乗り続ける気満々だ。
「このクルマが出たばかりのころはデザインがだいぶ時代を先取りしていたので、周りからもいろいろ言われて正直乗り換えようかと迷ったときもありました。でも奥さんと出会って乗っているうちに愛着がわいてきて。奥さんと出会ってなければ乗り換えていたかもしれません。
それに20年経ってやっと時代が追いついてきたのかなと。2人とも次に乗りたいクルマの話はでるけれど、結局不満がないんですよ。電子制御が欲しいわけでもないし今ならデザインが古臭いとは言われないし。別にこれでいいんじゃないかって」と雅之さん。
のりんごさんも「そうそう、それに最近はオフ会にも中古で買った20代や30代の若い子も結構いるんですよ。私も20年乗ったけど、あと30年くらい乗りたいですね!」と相槌を打つ。
そう語る一方で、心配事もあるようだ。
「もともとマイナー車だけに外装はディーラーオプション以外にないうえに、ここ最近は生産中止で本当に部品がないんです。僕の場合、最初の5年間で10万キロ乗って、現在の走行距離は22万キロですが、ここ数年はなるべく距離を伸ばさないようにしています。
とにかく雪がめちゃくちゃ降るからいろんなところが削れたり錆びたりしていくので大変です。でも外装部分さえなんとかなればずっと乗っていたいので、普段乗り用の軽自動車を買って、WiLL VSでは晴れている時に綺麗な場所しか走らないようにしています」と雅之さん。
20年前、WiLL VSの先進的で尖ったデザインに心奪われ、大事に乗り続けてきた竹内ご夫妻。
「デザインに時代が追いついた」という今、これからも維持していくための部品されなんとかなれば、のりんごさんの言うように夫婦で協力しながらあと20年、30年と乗り続けていくことだろう。
そして30年後、このWiLL VSのデザインがどのように感じられるのかも気になるところだ。
取材協力:多宝温泉 だいろの湯
(⽂: 西本尚恵 / 撮影: 金子信敏)
[GAZOO編集部]
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