奥さんから引き継いだ可愛い相棒。本格派カスタムカーオーナーのセカンドカーライフ

  • フォルクスワーゲン・ニュービートルとオーナーの矢部さん

「もともとコンパクトで可愛いクルマが良いからと7年前に妻が乗るためのクルマとして買ったんですが、ハイオクで燃費もイマイチなので、半年ほど前にトヨタのアクアに乗り換えようということになりました。

そのとき自分はひとつ前の型のスズキ・スイフトに乗っていたんですが、どうせ乗るならこっちのほうがいいなと思って手元に残すことにしたんです」

  • フォルクスワーゲン・ニュービートル
  • フォルクスワーゲン・ニュービートルのサンルーフ
  • フォルクスワーゲン・ニュービートルのレザーシート

『ビートル』(カブトムシ)と呼ばれた初代モデルのフォルクスワーゲン・タイプIから丸くて可愛らしい個性的なデザインを引き継いで、1999年から日本でも発売されたフォルクスワーゲン・ニュービートルは、老若男女とわず愛されキャラとして人気のモデル。

矢部裕介さん(34才)の真っ赤なニュービートルは2009年式で、グレードはLZ。サンルーフやレザーシートといったおしゃれな装備を純正で備えていて、AT車ながら2Lエンジンを搭載していることから走りも気持ちいいのがお気に入りポイントだという。

  • フォルクスワーゲン・ニュービートルのエンジンカバー
  • フォルクスワーゲン・ニュービートルのリアハッチ

じつは矢部さんにとってこのビートルはセカンドカーで、イベントやミーティング参加するための愛車として、こだわりを持ってカスタムを施した日産のスカイラインクーペ(V35)を所有しているという。

「最初にクルマを本気でイジろうと思ったのは成人式がキッカケでした。自分が19才だったころ、当時の新潟ではVIP系のカスタムが流行っていて、軽のホンダ・ゼストに乗っていた自分もちょっとホイールを替えてみようと中古のホイールを買ったんです。

そのときはそこまで知識もこだわりもなくワークのVS-KFがカッコいいなと思ってサイズもよく調べずに安かった中古を買いました。

それから、成人式に参加するときに『自己満足でいいからとにかく目立とう』と、思い切って60万円くらいかけてフルエアロや足まわりもカスタムして、17インチのワーク・ヴァリアンツァをオーダーオフセットで購入しました」と、思い出を懐かしみながらお話いただいた矢部さん。

その後、新潟県内で有名なカーミーティングスポットとして知られる豊栄パーキング(通称:豊パー)での盛り上がりの噂を聞きつけると、自分も参加してみたいと思うようになっていったという。

  • フォルクスワーゲン・ニュービートルのオーナー矢部さんと友人

「当時は本当に毎週土曜日の集まりがすごかったんです。だけどVIP仕様がブームだったこともあって、まわりはセダンばかりだったから最初はそこに軽で行くのがちょっと怖くて(笑)。

でも何度か足を運ぶうちに少しずつ知り合いも増えていって、自分もそこでセダンばかりが揃っているVIP仕様のチームに入れてもらうことになりました。カスタムもそうですけど、オーナー同士の人付き合いが面白いと思いはじめて、そのころからは毎週通うようになりましたね」

そうして成人式から3年ほど経ったころ、街中で見かけたとあるクルマに衝撃を受け、ゼストからの乗り換えを決意する。
「それがV35型のスカイラインでした。特にイジっているわけではないノーマルのクルマだったと思うんですが、バックミラーごしに見えるヘッドライトが印象的でした。10年前はほかに似たようなクルマもなくてとても新鮮に思えて、すぐにこれをイジって乗りたいと中古車を探しました」

なんと納車と自身の結婚のタイミングが重なってしまったうえに、奥様には一切相談せずに乗り換えをしたという矢部さん。それまでずっと夫のクルマの趣味については口出しをしなかった奥様からも「さすがにその時はめちゃくちゃ怒られました(笑)」というホロ苦いエピソードも飛び出したが、晴れて念願のスカイラインクーペ(V35)オーナーになることができたという。

  • 日産・スカイライン(V35)

「結婚したこともあって、ゼストよりも少し落ち着いた雰囲気にしたかったんです」とはいうものの、カスタムは抜かりなく自分の満足できる仕様へ仕上げていったという矢部さん。

「当時は『J-LUG(ジェイラグ)という専門雑誌があるくらい、国産車をアメリカンでラグジュアリーなスタイルにカスタムするのが流行していました。そして『とにかく太いホイールを履くのが偉い』という風潮だったので、20インチ11.5Jのマイナスオフセットホイールを純正フェンダーのまま履くことができるように足まわりを組んだりしましたね。

あと純正バンパーのナンバープレート位置をスムージングして、助手席側にオフセットして装着するようなカスタムもやっていました」と矢部さん。

こうしてスカイラインクーペにこだわりを詰め込んで6年間ほど乗っていたものの、それを手放してトヨタ・セルシオ(30系)へ乗り換えた時期もあったという。

「ちょうどスカイラインがモデルチェンジしてV36が出たこともあって、V35が安くなる前に売ってしまおうと思ってたんです。セルシオは当時のノリで買っちゃった感じでしたが、乗っていた期間も短かかったですね」

  • 日産・スカイライン(V35)のリアバンパー

セルシオに乗り換えて半年もしないうちに、かつて乗っていたスカイラインクーペが恋しくなったと矢部さん。

「V35のエンジンはNAのVQ35DEでしたけど、コンピュータの味付けも良くて、アクセルを踏んだときの吹け上がりがよくて楽しめたんです。それで、すぐに『やっぱりまたクーペのV35に乗りたいなあ』と思っていたら、SNSで繋がりのあった宮崎県のV35オーナーがクルマを手放すことを知って、自分が買って譲り受けました」

それがいまから5年前のこと。自身にとって2台目となるスカイラインクーペは納車後すぐに付き合いのある鈑金工場へ持ち込み、自分の理想のスタイルに仕上げることにしたという矢部さん。純正エアロ・フェンダーというこだわりはそこでも貫いたが、目指した仕様は1台目とは異なるものだったという。

「今度は流行がスタンスに移っていたので、ホイールもあまりムリはせず19インチの10.5Jを選びました。フロントバンパーのスムージングは今回もやったんですが、リヤバンパーのスムージングとダックテール化がイチバンこだわった部分ですね」

  • フォルクスワーゲン・ニュービートルの左フロント
  • フォルクスワーゲン・ニュービートルのエンジンルーム
  • フォルクスワーゲン・ニュービートルの右リア

そして、そんなこだわりカスタムをほどこした秘蔵っ子のスカイラインクーペにかわり、通勤など普段の相棒として乗るためのセカンドカーとしてニュービートルが活躍しているというわけだ。

はじめは『手放すのがもったいなかっただけ』というくらいなのかと思っていたニュービートルだが、矢部さんのファーストカーであるスカイラインに対するこだわりやお気に入りポイントを伺っていると、もったいなかっただけではないのだろうという気がしてきた。

メキシコの工場で生産され北米市場で大人気を博したニュービートルは、アメリカンなJ-LUG仕様を好んでいた趣向と通じる部分がある。また、スカイラインクーペもニュービートルも走りの良さが気に入っているという点も共通しているのだ。

姿カタチや方向性はまったく違うけれど、矢部さんが愛車に求める根っこの部分は実はおなじなのかもしれない。

  • フォルクスワーゲン・ニュービートルの横に座るオーナーの矢部さん

「やっぱりちゃんと車高も落としたらカッコいいと思うんですよね。あんまりビートルらしくないというか意味のわからないようなホイールも入れて…」

撮影時は16インチの純正アルミホイールも含めて完全にノーマルの状態だったが、やはりこれまでクルマのカスタムに力を入れてきたオーナーとしてはこのままの状態で乗るのはちょっと物足りないといった様子。

奥様から矢部さんの手に渡ったニュービートルは、これからどんな姿になっていくのだろうか。

取材協力:長谷川屋

(⽂: 長谷川実路 / 撮影: 岩島浩樹)

[GAZOO編集部]