28万km走行のセリカで長距離ドライブもサーキット走行もこなす

  • GAZOO愛車取材会の会場で道の駅 あきた港 ポートタワーセリオン イベント広場で取材した2005年式のトヨタ・セリカ SS-II(ZZT231)

    2005年式のトヨタ・セリカ SS-II(ZZT231)

大切な愛車を所有する一方で、普段使いや別の用途で楽しみたいと『セカンドカー』を持つオーナーも少なくない。
そして、そんなセカンドカーを「もはやそっちが一軍なのでは?」と思うほどこだわって乗っているオーナーさんに出会うことも少なくない。
2005年式のトヨタセリカ SS-II(ZZT231)で取材会に参加していただいたザキヤマさんも「ファーストカーは新車から26年乗り続けて38万km走行しているMR2(SW20)なんですけど、修理のために長期入院中で…」と、8年前に手に入れた"セカンドカーの実用車”であるセリカでエントリーしていただいたという。
しかし、いざお話を伺ってみると、このセリカとそれにまつわるカーライフは、まさに「こっちがメインなのでは?」と思えるほど濃厚なストーリーが盛りだくさんだった。

まずはセリカに巡り合うまでの経緯から紹介していこう。
「最初はKP61型スターレットを2台乗り継いで、そのあとEP71型スターレット、AE86型カローラレビン、AW11型MR2と乗ってきました。大学では自動車部に所属していたので、走れるクルマが好きでずっとそういう車種を選んできた感じですね。そして、AW11が故障がちになったのが消費税5%になる前のタイミングだったこともあって『次のクルマは思い切って新車にしよう!』と、何を買うか検討しはじめたんです」
その際の候補にあがったのはMR2(SW20)、RX-7(FD3S)、インプレッサのタイプRA(GC8)という3車種で「スーパーカー世代なので、最終的にはヘッドライトがパカッと開く様子がカウンタックっぽさを感じさせるMR2を選びました」とのこと。

そうして新車で購入したシングルナンバーの“メインカー”MR2(SW20)は「雪道だろうがなんだろうがこれ1台でずっと過ごしてきた」というだけあって走行距離もどんどん伸びていき、20万kmを超えたあたりでいろいろなところが壊れるようになり、31万8000kmの時にはエンジンが故障してリビルトに載せ換えるなど、波瀾万丈なカーライフを送ってきたという。
現在も、ワンオフで部品を作ってもらわないと修理できないトラブルを抱えているため入院中なのだとか。

  • GAZOO愛車取材会の会場で道の駅 あきた港 ポートタワーセリオン イベント広場で取材した2005年式のトヨタ・セリカ SS-II(ZZT231)

    2005年式のトヨタ・セリカ SS-II(ZZT231)

トラブルが増えて生活に支障が出るようになってきたものの『MR2は墓場まで持っていく』と決めているというザキヤマさんは、あるときセカンドカーを購入しようと決意。「マニュアル車ならなんでもいい」とヴィッツ(NCP15)を手に入れ、その次にヴィッツRS(NCP91)に乗り換えたという。
「自動車部時代からモータースポーツに触れていたこともあって、ヴィッツRSでサーキットなども走るようになったんです。これが意外と面白くて、サーキットで走るために足まわりやブレーキなどを強化していきました。でもエンジンはノーマルだったため、もうワンランク上の走りが楽しめるクルマが欲しくなってカローラランクスあたりを買おうかな〜なんて思い始めていたところに、クルマ関係の知人から『安く譲るからこれに乗ったら?』とオススメされたのが、このセリカでした」

初代のダルマセリカから数えると7代目モデルにあたるZZT231型は、3代目から続いてきたターボモデルを廃してFF車のみの設定とし、デザインも刷新して1999年に登場。トップグレードのSS-IIに搭載されるエンジンは連続可変バルブタイミング・リフト機構(VVTL-i)を備え、190 psを発揮する1.8Lの2ZZ型で、軽量なボディとの組み合わせによる走行性能の高さから、現在でもジムカーナやラリーに好んで使用する人も少なくないモデルだ。

「実際に乗ってみると、さすがトヨタスポーツエンジンという感じでワクワクするというか。刺激はあるけどNAだしスピードレンジがあがりながらもそんなに急激にあがるわけでもなかった。サーキットにポンと持ち込んでも急に裏切る感じがなく、乗りやすくて、なんというかステップアップにちょうどよかったですね」と、最初から好印象だった様子。

「ひょんなことから譲り受けたものだし、2〜3年くらい乗って、次のクルマに乗り換えようと最初は思っていたんですけど…思いのほかしっくりくるところがあって、気づいたらもう8年も乗り続けて、10万kmだった走行距離は28万kmまで伸びちゃいましたね(笑)。次の車検までには30万kmを超えるんじゃないかなぁ」
1日40〜50kmの通勤にも使っているため年間で2万kmから2万5000kmくらい走るそうで、MR2より信頼性も高かったことから北は北海道の宗谷岬まで、西は関西圏まで長距離ドライブも楽しんだりしているという。ちなみにヴィッツでは九州にも行ったことがあるほど、長距離ドライブが好きで、まったく苦にならないなのだとか。

そんなセリカを拝見すると、エクステリアは購入時からアフターパーツかと思うほど迫力満点な純正エアロ『メカニカルバージョン』をはじめ、TRDマフラーなどディーラーオプションがてんこ盛りの状態だったという。
サーキットを走る前提だったのでブレーキも購入時からしっかり強化していて、現在は2セット目の6ポットキャリパー&大径ローターが装着されているという。もちろん車高調も交換済みだ。
レカロ製SP-Gバケットシートは前のクルマからから移植したもので、これまで5〜6脚ほど購入していてMR2にも装着しているほどお気に入りなのだとか。

「今では純正部品も高いので、何かを交換するときは“どうせなら”ってアフターパーツを装着しちゃいますね。これまで一番大きな作業といえば、オイル漏れしていたエンジンを中古で程度のいいものに載せ替えたことかな。一緒についていたミッションにLSDが装着されていて、ラッキーでした」と笑っていた。

長く乗っている間には、ほかにも駐車場の輪止めにバンパーを引っ掛けて外れてしまったり、脱着式ステアリングだということを知らない同僚が「このクルマ、ハンドルが付いてない!」と騒ぎになったりと、さまざまな思い出を積み重ねてきたという。

そうして8年で18万kmを走行し、長距離ドライブから趣味のサーキット走行までこなすというセリカだが、それでもやっぱりザキヤマさんの中では“セカンドカー”なのだという
「いろんな使い方をしていて『MR2が無くてもこれ1台でいいんじゃないか?』って思うこともあるんですが、やっぱりいろいろ手をかけてきたMR2は墓場で持っていきたいなと。セリカのほうはツナギのつもりでスタートしたクルマなので、どうしようかって。こっちもいちど中古の程度のいいエンジンに載せ替えたりしているので、簡単に手放すというのは…。乗ってくれる人がいたら譲ってもいいかなとは思うんですけど、悩んじゃいますねぇ」
MR2と変わらないくらいに手をかけ、すっかり愛着が湧いてしまっているザキヤマさんだが、少し前にセリカを手放すことを検討したタイミングがあったという。

「GRカローラの抽選に応募したんです。それに当たったらセリカを手放す覚悟を決めようと思っていたんですけど、めでたくハズレました(笑)。セリカも買った時にくらべれば故障が増えてきて信頼性も下がってきているし、MR2と両方が壊れるとちょっとしんどいなというのはあります。セリカに致命的なトラブルがあったら乗り換えるしかないかな。でも、それまではこの2台体制でしょうね」
『トラブルがあったら手放す』というザキヤマさんだが、つい昨年にサスペンションのトラブルがあって、その時も修理して乗り続けているのだというエピソードをさっき話していたのはカウントされていない様子。きっと、クルマの神様はそんなザキヤマさんに新しいクルマを抽選で当選させるなんていうことはしないだろうな、と思うのであった。

取材協力:道の駅 あきた港 ポートタワーセリオン イベント広場(秋田県秋田市土崎港西1-9-1)
(⽂: 西本尚恵 撮影: 平野 陽)
[GAZOO編集部]

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