20万kmを超えても軽快にキビキビ走るマツダ デミオ スポルトで、日本全国どこへでも!

  • 愛車出張取材会で取材した、マツダ・デミオ スポルト(DE5FS型)

昨今のアウトドアブームも相まって、最近は車中泊を楽しむひとが増え、フラットシートや広い車内スペースが確保できるワンボックスやミニバン、軽バンなどにも注目が集まっている。
しかし、今回ご紹介する香川県在住の近藤さん(43才)は一味違って、ビートやマーチなどで車中泊しながら長距離ドライブを楽しんできたそうだ。現在は愛車のマツダ・デミオ スポルト(DE5FS)で、長期の休みなどを利用した車中泊旅行を満喫しているという。

プレリュードやアルファロメオ、そして現在もメルセデスベンツカブリオレに乗っているというクルマ好きな父親の影響で、物心ついた時にはすでにクルマ好きだったという近藤さん。19才で免許取得後に最初に選んだクルマは、今の好みとは方向性の異なる日産・フェアレディZ(Z31)だったそうだ。
「当時のスポーツカーといえばシルビアやスカイライン、シビックなんかが定番だったんですけれども、他人とおなじは嫌だなと思って、さらに見た目がカッコよいなと思ったのでZ31にしました。でもプリメーラやシビックに乗っていた先輩がNAエンジンのいいサウンドを響かせてヒラヒラと山道を上って行くのを見て『やっぱりNAで軽快なクルマが欲しい』と思ったんです。Zはどうしても重たいので…。で、定番車種のシビックは嫌だったので対抗してレビンにしようと最終型のカローラレビン(AE111)に乗り換えたんです」
軽快に走るNAスポーツカーに惹かれ始めたところに、スポーティーなコンパクトカーを好む今のルーツが見え隠れする。そしてそんな近藤さんがその次に乗り換えたのが、世界初の5バルブインタークーラー付きターボエンジンを搭載した軽自動車、三菱ミニカダンガンZZだ。

「学生時代の友人がAE86からミラターボに乗り換えて、それが意外に速いし何をするにしても安いと話しているのを聞いて『軽自動車もいいな』と思うようになりました。ただ、天邪鬼なんでしょうね。当時人気だったアルトワークスやミラターボではなく、ちょっとレアなダンガンにしたんです」
ダンガンを事故でぶつけてしまい、パーツがそのまま受け継げるミニカにしばらく乗った後、当時の本命だったビートを購入したという。
「やっぱりNAの音が恋しくなってしまって(笑)。それにシュンシュンって峠道や狭いところでも軽くてキビキビ走る方が楽しいなって思いまして。オープンカーにも乗ってみたかったですし。それと、この頃に地元福岡から四国に来て環境が変わり、長距離ドライブに出かけるようにもなって、気づけば10年間で31万kmも乗っていましたね」
近藤さんが車中泊旅行をはじめたのは、このビートなのだという。つまりこのビートこそが、デミオで車中泊旅を楽しむ現在のカーライフの原点とも言えるだろう。

「エンジンの寿命でビートを手放したあとは、友人が家庭の事情で降りることになったマーチ12SRを買って4年間乗っていましたね。助手席で寝ていたビートよりは本格的に寝ることができる大きさで、さらにオーテックのチューニングエンジンだけあって走って楽しいクルマだったので、これも28万kmくらい乗りました。そのままエンジンを載せ換えて乗り続けても良かったんですけど、そこからさらに5年10年となると、特別仕様車だしパーツ探しが難しくなりそうだなと…(苦笑)。長距離ドライブがより楽しくなってきた時期だったこともあり、安心してたくさん走れるように、4年前の2019年に、友人のショップにあったこのデミオスポルトに乗り換えたんです」

近藤さんが購入したのは2代目に比べて小型軽量化した2009年式の3代目マツダデミオ(DE5FS)スポルト。
「一度軽自動車に目覚めてからは、パワーでドカンというクルマよりも軽くてキビキビ走る小さなクルマが好きになりました。そのため走りの性能もよく車中泊もできて経済性も含めてバランスが取れているコンパクトカーという条件で探したところ、候補となったのがこのデミオスポルトだったというわけです」
スポルトは1.5Lエンジンを搭載した5速MT車で、ボディ補強や専用サスペンション、大径ブレーキなどを採用し、スポーティーなエアロパーツを纏ったデミオの最上位のグレード。カッコよくて楽しくキビキビ走るうえに快適な車中泊もできるデミオスポルトは、普段の生活の足はもちろん、長距離ドライブに年1、2回のサーキット走行まで楽しむ近藤さんのカーライフにピッタリの1台だったというわけだ。

そんな近藤さんのデミオスポルトは、走る楽しさとそれに見合ったスポーティなスタイリング、さらには長距離ドライブでの快適性を追求したこだわりの仕様に仕上がっている。
「ボンネットは買った時から色褪せていたので、軽量化も兼ねて黒のFRP製に交換しました。ただ黒にしたことで、なんだか違和感があったのでグリルを下のグレードのものに変えています。リアスポイラーは初代デミオのマツダスピードを流用しました。ホイールは30年以上前のもので、重いけれど珍しいしいいなと思って」

その中で、見た目だけでなく実用面から追加したのが、前後に装着されたゴム製のリップスポイラーだ。
「僕は『ハイタッチドライブ』というアプリのチェックポイントに行くために、山の中とか辺鄙なところに迷い込むことも多いんですが、下まわりをぶつけてロアアームを折っちゃったことがあって。樹脂製のエアロパーツをつけたら絶対に割るなーと思ったのでゴム製にしました。段差の激しいところもあるし、ゴム製にしたのは正解でしたね」

そしてサーキット走行も楽しむということで、車内にはレーシーな雰囲気を感じさせるアイテムの数々が。
「父がアルファロメオに乗っていたから僕も結構イタフラ車が好きで、運転席まわりはイタリアのスパルコ製でまとめています。本当はクルマにも乗ってみたいんですけど、やっぱり長距離を走った時に壊れると怖いので(苦笑)。あとはバキュームメーターと、水温や回転数などをまとめて表示できるマルチメーターも追加しています」

性能面については基本的に耐久性を重視してノーマルを維持しているが、吸排気系とサスペンションは社外品に交換済み。
「正直、仲間内でサーキットを走ると熱くなっちゃって、そのときにパワー不足を感じたりもしますが、あえて自分がそういうクルマに乗っているので我慢かなと。足まわりは純正が結構よかったのでそのままだったんですが、20万kmを超えてヘタってきたこともあり、去年の冬に仲間内の走行会に参加するタイミングで交換しました」
マフラーは元々友人のクルマに装着されていたトミーカイラ製2本出しマフラーをワンオフ加工して装着しているという。

そして、気になる車中泊については「普段はリアシートを立てて普段通りにしているんですけど、寝るときは座布団を下に敷いて、寝袋にくるまって。真っ直ぐだとちょっと入らないので頭を斜めにしたら収まる感じです。ま、身長が高いと多分この体勢は無理だと思いますけど、僕は小さいんで(笑)。あとは寒いときはモバイルバッテリーで動く電気毛布も掛けているので、寝付くまでは温かいです」と、長年コンパクトなクルマで車中泊を送ってきた近藤さんならではの工夫が。しかしやはり熱帯夜が厳しい夏場は辛いそうで、そんなときはネットカフェにお世話になるのだとか。

近藤さんから車中泊の説明を受けながら改めて車内を見渡していると、座布団や飾りだというヘルメットなど青系のものが多いことに気づく。理由を聞いてみたところ、彼のもう一つの趣味が明らかに。
「実は僕、MAN WITH A MISSIONっていうバンドが大好きでライブにもよく行くんです。青はそのバンドの推しメンのカラーなんですよ」と、とても嬉しそうに話してくれた。クルマ以外の趣味をまるで自宅とおなじように車内にも反映させているところに、近藤さんのデミオ愛を感じる。

そんな近藤さんに、気になる長距離ドライブや車中泊の旅の思い出についても伺った。
「長距離を運転するときは、いつもこの運転用のグローブをはめています。全然疲れが違うんですよ。最初はもうちょっと革製のいいやつを使っていたんですけど、手汗ですぐボロボロになっちゃうので、今はこれを使っています」
長距離運転慣れしている近藤さんからそう聞くと、とても説得力がある。

「僕の旅のスタイルは一人旅で現地まで寄り道しながら適当に向かい、現地のご飯屋さんや温泉とかで出会った人と話したりして、一期一会を楽しんでいるかんじです。今年のGWに福島県の磐梯山を走ったときに、東京から来たというロードスターの方と仲良くなりましたよ。一番思い出に残っているのは去年のGW10連休に行った東北ですね。出身が九州なのでもうすごく遠くまで来たなという感覚がありますし、食べ物も美味しい。ただまだ雪が積もっていて。僕みたいな九州の人間からすると、雪が常識外れな高さまで積もっているんだなぁと驚きました」
長期休暇を利用して、自由気ままな車中泊ドライブを楽しむ近藤さんだが、ツーリングサークル的な活動も年2回ほど行っているというから、クルマ仲間とのコミュニケーションも活発だ。

  • 愛車出張取材会で取材した、マツダ・デミオ スポルト(DE5FS型)

「今のところ乗り換える予定とかはないですね。エンジン載せ換えを前提に、多くの車種に使われているエンジンが搭載されたこのクルマを選んだところもあるので。それに結構レアなパーツを付けちゃったというのもありますね。仮に乗って楽しいコンパクトスポーツならスイフトスポーツが最有力なんでしょうけど、割とみんなが乗る選択肢なので、そこは逆に避けたいなと思っています」

  • 愛車出張取材会で取材した、マツダ・デミオ スポルト(DE5FS型)

年間平均3万キロを走破し、北海道と沖縄以外は制覇済みという近藤さん。これからもこの軽快に走るデミオスポルトを相棒に、車中泊で気ままな長距離ドライブを楽しむ素敵なカーライフを送り続けていくことだろう。

取材協力:高知工科大学 香美キャンパス(高知県香美市土佐山田町宮ノ口185)

(⽂:西本尚恵 / 撮影:平野 陽 / 編集:GAZOO編集部)