愛車遍歴はこの86オンリー、沖縄86&BRZオーナーズクラブ代表の意外なカーライフ
この車のオーナーさん、は10代、20代の頃はバイク、30代になりクルマを興味を持ちはじめ、このトヨタ・86(ZN6)がはじめての愛車なんです。でも、今ではや沖縄県内で100人を超えるメンバーが参加する『沖縄86&BRZ+owners Club』の代表さん。オーナーさんの、意外性だらけのストーリーをご紹介します。
おなじ車種を所有するオーナー同士が集まり、インターネットやリアルイベントなどで交流を楽しむオーナーズクラブ。型式や地域ごとに細分化されたクラブが発足することもあり、『沖縄86&BRZ+owners Club』は沖縄県を拠点としてトヨタ・86とスバル・BRZのオーナーたちが活動するオーナーズクラブだ。そして今回、お話を伺ったのはそのクラブ代表を務める嘉陽淳さん(42才)。
そんな人物だからこそ、これまでもさまざまな愛車でのカーライフを経て86に至ったというストーリーが溢れ出すかと思いきや、2012年に新車で購入したこのトヨタ・86(ZN6型) GTグレードが初めての愛車だという意外な回答が返ってきた。
「じつは、大学生のときに原付を初めて買って乗り始めて以来、ずっと通勤や遠出もバイクだけに乗って過ごしてきたんです」と嘉陽さん。
初めはレーサーレプリカに憧れる高校生。16才で通学のためにバイクを購入したいと両親に相談したものの反対されてしまい、大学に入学するまではバイクに乗れる日を待ちわびながら過ごしていたという。
「大学に入って、ようやく自由に乗り物を選べるようになったんですが、その時もクルマには興味がなかったですね。当時はあまり予算をかけられなかったのもあって、原付バイクに乗り始めたあと、大学を卒業するくらいで中型免許を取って、大型の免許が取れるようになったらすぐに切り替えて、大型バイクを買いました」
購入したのはネイキッドのスズキ・イナズマ1200。いずれレーサーレプリカにステップアップすることを考え、大型バイクの練習台というつもりで選んだ1台だったという。
「初めての大型だからバイク屋さんに相談しに行って、オススメを購入しました。自分も身長があまり大きくないし、大型にしてはシートも低いほうだったのでちょうどよかったですね」と嘉陽さん。
だが、ステップアップのための1台だったはずのイナズマ1200には、途中から愛着を覚えて10年以上も乗り続けることに。
そのあいだ、ほかにスズキの原付2台を通勤用に所有する3台体制で日常を過ごしていたそうだ。
そんな嘉陽さんだが、とあるマンガのファンになったことを機にクルマに対する興味が増していったという。
「ふと仕事終わりに行ったマンガ喫茶で読みたいマンガが見つからなくて、当時でも名前だけは知っていた『頭文字D』を手にとってみたら面白くて、そこからアニメも全部見るほどドハマりしたかんじですね(笑)」
クルマに興味を持ち始めたのは30代に入ってからで、頭文字Dがキッカケだったという嘉陽さん。そこではじめての愛車としてまず探したのは主人公の乗るAE86…ではなく、マツダ・ロードスターだったそうだ。
「最初はマツダのクルマにすごく興味が惹かれていて、NBやNCロードスター、それにまだ新車で買えたRX-8もいいなぁと思っていたんです。だけど、そんなときにトヨタから86が発表されて、ちょうどそのタイミングでトヨタディーラーに務めている知り合いと話をする機会があって、ほとんど衝動買いみたいな感じでこの86を注文することになりました」
ちなみに、新車購入にあたっての資金は、いずれレーサーレプリカを購入しようと思って貯めてきた資金を投入したそうだ。
そうして、2012年から遅咲きながらも初めてのクルマと愛車生活をスタートすることになった嘉陽さん。
安易な発想では『はじめての愛車を手に入れた勢いでカーミーティング三昧の日々を過ごし、仲間になった86/BRZオーナーらとオーナーズクラブの設立へ!』という未来を想像してしまうが、それもまた違うという。
「86に乗りはじめてから5年間くらいはミーティングに参加したりすることもなくて、街乗りやちょっと島内を1人でドライブしてみるとか、そんなかんじでした。内地には86/BRZだけのミーティングがあるという話を聞いて、羨ましいなあと思ったりはしていましたけどね」
ほかの86/BRZオーナーはもちろん、周りのクルマ好きオーナーとの関わりなどもなかったという嘉陽さんが、オーナーズクラブを設立することになったのは、とある人物に出会ったことがキッカケだったという。
<宇野さんの記事リンク>
『スバルBRZが私の世界を広げ、成長させてくれた』
トヨタが提供していたSNS『86 SOCIETY』で知り合ったオーナー同士が集まって実施したツーリングで出会ったBRZオーナーの宇野ゆかりさん。
彼女もまた、BRZに乗り始めたもののイマイチ楽しみ方がわからないまま過ごしていたタイミングで嘉陽さんと出会い、似たような境遇に意気投合し、一緒にオーナーズクラブを立ち上げることになったのだという。
「今でもそうですが、宇野さんの『オーナーズクラブを作ろう!』という熱意が本当に凄まじくて(笑)。とにかく行動力があって勧誘や企画をする実行部隊を宇野さんがやってくれるから、自分がなにかあったときの責任を取るリーダーという立場になったわけです」
そうして2017年に設立した『沖縄86&BRZ+owners Club』は、沖縄県内のみで100名を超えるほどのメンバーを擁するグループとなったわけだが、実は沖縄県で86/BRZのオーナーズクラブを作ろうという動きそのものは、これが初めてではなかったという。
「86/BRZが発売されたばかりのころから、ショップの方やSNSを中心にオーナーズクラブを作る試みはいくつかあったと聞いたんですが、結局どれもあまり人が集まらなかったようです」と嘉陽さん。
では嘉陽さんたちはどうしたのかというと、SNSなどでの呼びかけだけではなく、街中で86やBRZとすれ違うことがあればUターンして追いかけて話しかけてみるなどの直接的な活動も行ってきたのだとか。嘉陽さんが「使えるものは全部使ってきた」というほどの熱意でオーナーズクラブを存続させるために努力をしてきたという。
また、イベント運営においても沖縄ならではのクルマ文化で苦労する場面が少なくなかったようだ。
「参加者が沖縄の本島の人にほとんど限定されてしまうの。関東でイベントをするなら、近隣の千葉や埼玉、神奈川からも人が集まると思うんですが、沖縄は船を使わないと県外からの参加は難しいので…」
「あと、これも沖縄あるあるなんですが、イベントに参加するかどうかがギリギリまで意思表明しない人が多い。だから当日にならないと実際の参加人数が全然読めなくて、これは結構苦労していますね(笑)」
しかし、そんな苦労がありながらもオーナーズクラブを続けているのは、オーナーたちが自分好みにカスタムしてきた愛車はそれぞれに魅力や楽しさがあり、ツーリングなどでそうした86/BRZが一堂に会するときの迫力は他の体験には変え難く、今まで何度も開催する中で積み重ねてきた思い出が嘉陽さんの原動力になっているそうだ。
86の魅力について「自分好みにイジりやすいのがいいところ」と話す嘉陽さんにとって、自分の愛車はもちろんオーナーの個性が溢れる86&BRZが集まる場は、まさに至高の時間に違いない。
「今年は県内のAE86オーナーズクラブのみなさんとコラボして、86/BRZだけじゃなくAE86も一緒に集まれる『86祭り』のようなイベントを沖縄で開催するために準備を進めています」と話してくれた嘉陽さん。
やみくもにメンバーを増やすよりも、新しいイベントなどを企画することで、さらに活動の幅を広げていきたいという『沖縄86&BRZ+owners Club』の今後も楽しみだ。
取材協力:オリオンECO 美らSUNビーチ
(⽂:長谷川実路 / 撮影:平野 陽 / 編集;GAZOO編集部)
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