「このクルマのおかげで人生が変わった!」アクセラスポーツとの出会いと別れ
「人生が変わったと感じたできごとは?」と聞かれたら、みなさんはどんな回答をするだろうか?
2012年式マツダ・アクセラスポーツ(BLFFW)のオーナーである山下さんは、間違いなくこう答えるだろう『アクセラスポーツと出会ったこと』と。
「高校を卒業して、実家に住んで地元で就職したのですが、クルマには興味はなかったけれど、田舎なのでクルマがないと生活に困るので、お下がりの日産ノート(E11)に乗るようになりました。でも、1年くらい乗ったあたりで、身長182センチの自分にはコンパクトカーの運転席はきゅうくつだなと。もうひと回り大きなクルマが欲しいなって思うようになりました」
はじめての愛車の感想をこう語ってくれた山下さん。
自分でクルマを運転するようになってクルマに関心を持ち『ほかにどんなクルマがあるんだろう?』と調べはじめる人は少なくない。アンテナを張ってクルマに関する情報を集めはじめた彼のセンサーに引っかかったのは、あるCMだったという。
「2011年の秋に、アクセラがマイナーチェンジしましたよというCMを見て、そのクルマの顔つきにひと目惚れしたんです。興味を持って調べてみたところ、ノートよりもひと回り大きく、環境に配慮した新世代技術として『スカイアクティブテクノロジー』を強く打ち出していて、しかも新型6速ATの『スカイアクティブ ドライブ』も搭載された、と。見た目も性能も良さそうだし、足まわりも欧州で高い評価を得ていると聞いて興味を持ちました」
候補としては他の車種もいくつか考えていたものの、使い勝手や維持費など、調べれば調べるほどアクセラスポーツ1本に絞られていったと振り返ってくれた。
「1年くらいお金を貯めて、ディーラーに行って試乗させてもらうと、乗り心地もいいし、見た目もいいし、走りもいい。乗ってみて改めて『期待を裏切らない、自分にはこれしかない』と確信しました。そして、1週間くらいグレードや装備を考えて契約しました」
欲しいクルマを決めて、グレードはどうしよう、ボディカラーは何色がいいかな、オプション装備は何を付けようか…新車を購入するオーナーの特権とも言える至福の時間を満喫した山下さんのもとに、待望の愛車がやってきたのは2012年の初夏だった。
「最初のころは近所を走るくらいで、ドライブに出かけようとか、そういう感じじゃなかったんです。でも、乗りはじめたら遠くまで走っても腰が痛くならないし、足もとのスペースも広くて快適だし、気づけば運転する時間はどんどん増えていきました。クルマ好きが集まるSNSにユーザー登録してみたら、ちょうど同時期に東北アクセラオーナーズクラブが立ち上がったばかりで、誘われて登録しまして。当時は仕事が平日休みだったのでなかなかオフ会に行けなかったんですけど、1年後に転職して週末が休みになったので、はじめてそのオフ会にいってみたんですよ。当時22歳で最初は『年上のひとたちとか怖いかなー』とか不安もあったんですが『同じクルマ好きなひとたちと一緒にいると、こんなに楽しいんだ』って。すっかりオフ会にハマりました」
購入してから最初の1年は走行距離が1万km未満だったのに、頻繁にオフ会などにも『参加するようになってからは年間2万kmを超えるのがあたりまえになるほど、カーライフが激変。すっかりクルマ好きになった山下さんは、ロードスターも増車して2台体制でカーライフを満喫するほどまでに成長(!?)を遂げたという。
「実は父親はクルマ好きで整備士をやっているんです。昔は『自分はクルマ好きの血はひいてない』と思っていたけど、そんなことはなかったな、と(笑)」
聖地巡りやドライブ旅行など、10年ほど我が世の春を謳歌し、すっかり重度のクルマ好きカーライフを満喫するようになった山下さんだが、あるとき大きな転機が訪れたという。
「山形から石川まで出かけた帰り道に、居眠り運転で単独事故を起こしてしまいました。他は巻き込むことなく、自分もかすり傷ひとつくらいだったんですが、クルマはエンジンルームから足まわり、ミッション、フレームまでダメージを負ってしまって。修理すればできなくもないけど高額な修理代がかかるし、新車からちょうど10年が経ち、雪国で18万キロも乗っていると足まわりのサビもすごかった。仮に直しても真っ直ぐ走らないかも?ということで、廃車を決断しました」
気を取り直して次のクルマを検討しはじめたものの「新型マツダ3なども考えましたが、やっぱり悩んでしまう自分がいて。それはまだまだ未練があるということだし、自分に正直になってみようと考え直して、同じクルマで同じグレード、同じ色という条件で車屋さんに探してもらうことにしました。そうしたら数日くらいで見つかりました」
そのときに見つかった2台の候補は、1台がフルノーマルでオプション装備てんこ盛り、もう1台がアフターパーツのエアロなどでカスタムされた車両だったという。そしていろいろ考えた結果、選んだのは…
「カスタムされたほうを選びました。バンパーはフロントとリヤが社外品だったけど、フロントは純正バンパーが好きなので戻して、リヤバンパーとマフラーはそのまま今も使っています。前に乗っていた時のコンセプトは純正プラスアルファくらいだったんですが、これはこれで前オーナーのセンスも自分のセンスも取り入れていこうと。『アクセラでこんなんあったっけ?』みたいな仕様を目指しています」とにっこり。
「パーツ類で1番こだわったのは2.3Lターボのマツダスピードアクセラ純正18インチホイールです。個人的には“メーカー純正ホイールを履いているのにカッコいい”というのが渋いなと思っています。中でも特に色がこだわりなんです。これの前にワークエモーションのクロスティ7というホイールを5年くらい履いていて、その色がすごく好きだったし、ボディカラーとマッチしていると思っていたんです。だから、知り合いに板金屋さんを紹介してもらって、現物合わせで塗ってもらいました。それとエアバルブキャップも前のホイールに水色のものが付いていたので、これも同じように水色のキャップに変えています」
「レカロのシートは前のアクセラから使っています。スポーツ走行はそんなにしないんですけど、これがあるとないとで全然違うんですよ。長距離の疲労を軽減してくれるので、これに座っていれば1日1000km走っても大丈夫です。そうそう、エンジンカバーのサインはマツダの開発者・猿渡健一郎さんの直筆サインです。個人のオフ会に来てくれたことがあって、その時にお会いしてがっつり握手した後にサインしてくださいました」
ほかにも灯火類のカスタムや、前の愛車から奇跡的に事故でも無傷だったリヤスポイラーやアイラインの移植など、自分好みのスタイルへとカスタムを進めているそうだ。以前のアクセラにはオーディオシステムも搭載していたので、外して保管してあるそのスピーカー類も今後はこのクルマに搭載していきたいと考えているのだとか。
そして、愛車のこだわりや思い出について楽しそうに語っていただいた山下さんが、さらに素敵な笑顔を見せてくれたのがこの話題。
「このアクセラが納車される時に、アクセラ仲間が4人くらい来てくれたんですよ。10年くらいの付き合いのひとたちで、自分が乗り込んだ時に『やっぱりおまえはこれがいちばんいいよな』って言ってくれたのがうれしかったですね」
わざわざ栃木県から駆けつけてくれた仲間もいたというから、思わずこちらまで幸せのお裾分けをいただいたような気持ちになる。
「自分の大好きだったクルマを自分の不注意で無くしてしまったことに本当に落ち込みましたし、本当の愛を語るのだったらお金をかけて直すべきだったのかもしれない。けれど、当時の金銭面や状況考えるといい落とし所だったのかなと今は納得しています。2度とおなじようなことで愛車を失うことのないように気をつけます」
ドライブがてらのラーメン食べ歩きが趣味で、週末は県内外の美味しいラーメンを食べに走り回っているという山下さん。アクセラスポーツの走行距離は、これからもまだまだ伸びていきそうだ。
取材協力:やまぎん県民ホール(山形県山形市双葉町1丁目2-38)
(⽂: 西本尚恵 撮影: 堤 晋一)
[GAZOO編集部]
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