「思い描いた理想を実現できる」綿密な計画から楽しむマツダ・CX-5のカスタマイズ
愛車をカスタマイズすると「自分らしいクルマになった気がするからやめられない」と話してくれた『ゆうき』さん。
派手なカスタムはしていないというが、パーツの1つ1つにこだわりを持って装着していることもあって「手を加える度に愛着が増していくんです」と、愛おしそうにフロントノーズを撫でた。すると、ピカピカに磨き上げられたボディに時折差し込む太陽の光が乱反射し、それに答えるように凛とした輝きをみせた。
ゆうきさんがカスタムに興味を持つようになったのは、高校1年生のとき。お姉様の彼氏が乗っていた、センスよくカスタマイズされた初代クラウンマジェスタ(S140系)を見て、自分も免許を取ったらこういう雰囲気のクルマに乗りたいと思ったのだそうだ。
少しだけ車高を落とした、ノーマルのデザインを生かしたセダンのVIPカーというスタイルが、少年だったゆうきさんにはものすごくカッコよく感じたとのこと。そのため、免許取得後は、初代マジェスタを探すためにお父様と中古車巡りのドライブによく出かけていたそうだ。クルマ好きのお父様と、あーでもないこーでもないと話しながら、色々なお店を巡っていたと当時を振り返っていた。
「ところが、どこを探しても無くてですね。結局、道中で親父がセルシオを置いてあるショップを見つけて、そこでセルシオを購入しました(笑)」
マジェスタが好きなだけであって、クルマが好きというわけではなかったというゆうきさんは、そこで初めてセルシオの存在を知る。
お店の人に『トヨタブランドにおけるオーナーカーの最上位モデル』だということを聞き、試しに見てみると、ボディパネルのチリがピッタリ合っていることや、内装に惜しむことなく贅が尽くされていることに感動したのだという。直ぐにセルシオ(UCF11型)を購入し、車高を少し下げ、タイヤホイールとマフラーを4本出しにするなど、あくまでも原型を崩さないカスタムを施したのだとか。
そんなセルシオに4年ほど乗っていたが、故障が目立つようになってきた。そこで、当時購読していた『VIP STYLE』や『VIP CAR』といった雑誌を見て、憧れていたクラウンマジェスタの三代目(17系)に乗り換えることを決めたという。また、当時はセルシオやクラウンよりも乗っている人が少なかったため、個性が出しやすいというのも購入の決め手となったそうだ。
マジェスタにもセルシオと同じコンセプトでカスタムをしていたそうだが、2台目の愛車には新たなる試みとしてオールペンを施したと満足気に教えてくれた。少し青みがかった白のワントーンにすると、より高級感が増したということだった。
「この頃くらいから、カスタムって良いなと本格的に思い始めるようになりました。色を変えるとまったく別のクルマにも見えたり、その変化がすごく楽しいと言いますか」
ちなみに、ゆうきさんは“カスタムをするまで”が最もワクワクするタイプだという。例えるならば、それは遠足の前の日の夜に似ていて、何をしているわけでもないのに、これから楽しいことが起こりそうな予感がするのだと話してくれた。逆に、取り付けてしまうとやり切った感が出てしまい、熱が冷める時もあると苦笑いした。このように、カスタムの楽しみ方を教えてくれた17マジェスタだったが、経年劣化により、やむなく乗り換えを余儀なくされたということだ。
「次の愛車もセダンでVIPカー仕様にしようか悩んだのですが、ちょうどその頃はガソリン代が値上がりしてハイオクが200円くらいに高騰していたし、税金や部品代などの維持費を考えると、軽自動車のワゴンRスティングレー(MH34S型)にすることに決めました。もちろん、そのクルマもカスタムしましたよ!」
自分の元に来たクルマは気付けばカスタムをしてしまっているそうで、それはCX-5も例外ではないという。デザインに惚れ込んで新車で購入したため、できるだけノーマルで乗ろうと思っていたのに、1年も我慢できなかったと頭をポリポリかいていた。
クルマ全体が引き締まって見えるように、エンブレムにスモークプロテクションフィルム施工、よく見ないと分からないくらいさり気ないリフレクターガーニッシュ、スポーティな雰囲気にするために大きめのカーボン製パドルシフトなどを装着しているそうだ。
ゆうきさんがマツダ・CX-5(KF2P型)を購入したキッカケは、実はCX-60(KH5P型)の発表をウェブで見て、そのスタイリッシュで無駄のない洗練されたデザインに心を打たれてしまったからだと言う。
「すぐに実車を見に行きました。プレミアムスポーツという上位グレードが展示してあったんですけど、CX-60は写真で見るよりもかなり大きく、カッコよく見えたのを覚えています」
誤算だったのは、その上級グレードのお値段が想像以上に高かったことだ。販売員から『少しグレードを落としてみては?』と提案されたそうだが、ゆうきさんは内装の質感にこだわりたかったため、その選択肢がどうしても考えられなかったのだという。
というのも、いわゆるバブル期に作られた、コストカットがあまり考えられていないクルマに乗ってきたため、細かい箇所がどうしても気になってしまったのだそうだ。
そして、どうせ買うなら自分が納得できるクルマに乗りたいと購入を断念すると、かわりに販売員から提案されたのがCX-5だった。
どんなものかと見てみると、フロントはボンネットが少し下がっていて、どこか高級感の漂うスポーティな面持ち。それなのに、リヤから見るとお尻がプリッと上がっていて、また違う一面が垣間見えるデザイン。内装のステッチ、水平基調でオシャレな車内など、車種は違えどCX-60に通ずる作り手のこだわりが感じられたということだ。
「何より、初めてのディーゼルエンジンがすごく良かったんです。ディーゼルと言えば、トラックのような走りとエンジン音がうるさいというイメージがあったんですけど、CX-5は2.2リットルのディーゼルターボで滑らかに加速してくれるし、燃料も軽油だから経済的にも優しい。そして、足まわりはしなやかでスポーティといったフィーリングだったので、運転がすごく楽しかったんですよ」
「カスタムポイントで1番気に入っているのは、レイズ製アルミホイールの“VMF C-01”ですね」
キッカケとなったのは“CARTUNE”というSNSで、CX-5にこのホイールを装着している人の投稿を見てからだ。シンプルでスポーティなSUVにしたいと思っていたゆうきさんにはピッタリのデザインで、コレしかない! と、スマホを握る手が震えたという。
このホイールを付けるまでに、約半年くらい構想しました。公式ホームページに掲載されている画像を目に焼き付けて、実際に履かせたらどうなるだろう? と想像したり、実物を見るために家から離れた店舗まで足を運んだりもしましたね」
本来ならば、車両サイズ的にリム幅をもう少し細くても良かったそうだが、太めのホイールにこだわったのは、スポーク部が湾曲を描く“コンケイブ”を深くしたかったから。誤差だと言われるとそれまでだが、細かいことにこだわるのがカスタムの醍醐味だと腕を組んでいた。その際、ホイールをベストな状態でタイヤハウス内に収める為、TEIN製の車高調整式サスペンションとキャンバーボルトを装着し、苦労してセットアップされたそうだ。
現在検討中なのは、リヤウイングをもう少し目立たせるかどうかだという。もう数cm長くなると、ホイールのデザインと相まって全体にまとまりが出てくる気がするとのことで、悩み始めてからすでに数ヶ月が経過したらしい。ちょうど3日前に足を運んだオフ会で、たまたま同じ方向性のカスタムをしている人のCX-5を見て、いよいよ交換したくなってしまったと話してくれた。
「どうしようかなぁ〜。あんまりコテコテにいじりすぎるのは好きじゃないし、上からネジが見えるのは嫌だから、そこら辺も考えると…やっぱりやめた方がいいのかなぁ〜、なんて思っているんですけどね〜」
声の感じからすると、おそらく年内にはカスタムしているであろう。きっと、このカスタム熱は誰にも止められず、来年辺りは、もっともっとゆうきさんらしいCX-5になっていると予想する。
終始楽しそうに取材を受けてくれる姿を見ていると、カスタマイズがゆうきさんのカーライフを豊かにしていることが分かる。そして、今後のライフスタイルに合わせて違うクルマに乗り換えたとしても、きっと変わらないこだわりであると実感できた。
(文: 矢田部明子 / 撮影: 平野 陽)
許可を得て取材を行っています
取材場所:四季の里(福島市荒井字上鷺西1-1)
[GAZOO編集部]
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