BMW M2は走るだけのスポーツカーではなく、家族を笑顔にするファミリーカー

  • GAZOO愛車取材会の会場である群馬県 つつじが岡公園で取材したBMW・M2クーペ エディションブラックシャドウ(1H30G)

    BMW・M2クーペ エディションブラックシャドウ(1H30G)

ファミリーカーに求める特徴は家族構成によっても違うものの、大前提としては“家族みんなが笑顔になれること”ではないだろうか。

そのため使い勝手の良い車内空間を求める人もいれば、スタイリングや性能で選ぶ人もいて、さらには安全性を重視するなんていう選び方もある。もちろんどんな選択基準でも、家族全員が楽しめるのなら間違いないものだ。

そんなファミリーカーへの買い替えを考えた時、サーキット走行という趣味を満喫できて、なおかつ奥さんや娘さんも納得の1台を求めた結果、2018年式BMW・M2クーペ エディションブラックシャドウ(1H30G)に辿り着いたのがYuji-Kさんだ。

F87型と呼ばれるこのモデルは2013年に登場した2シリーズクーペ(F22)をベースに高性能化されたパフォーマンスクーペ。1シリーズクーペの後継モデルとして誕生し、ボディは現行BMWがラインアップするクーペの中では最もコンパクトながらも、実用的な4シーターパッケージが採用されたモデルとなっている。

サーキットパフォーマーとして楽しみながら、チャイルドシートも搭載できるユーティリティも備えているという、まさにYuji-Kさんの思いを叶えた仕様だったというわけだ。

スポーツカーをファミリーカーとして利用することに難色を示す人もいるかもしれない。しかし、Yuji-Kさんの緻密な調査と計画、そして奥さんの懐の広さによってM2をファミリーカーとして迎え入れることができたという。

「M2を購入する前は、学生時代から乗っていたマツダ・ロードスター(NCEC)が我が家のファミリーカー(?)だったんですよ。もちろん娘が生まれた直後も…。さすがに親戚や友人からダメ出しされたんですが、その頃は実際にファミリーカーの必要性に疑問があったんです」

「そもそも会社員ですからクルマに乗るのは週末のみ。毎週末家族で出かけるわけではないので、必要に応じてレンタカーを借りれば済むと考えていたんです。そして趣味のサーキット走行も諦めたくないという気持ちも大きかったのでしょうね」

しかし、実際にレンタカーを借りる時には様々な不便が付きまとった。特に借りたい時期にはすでに満車だったり、借り出し・返却の手間など、時間的な負担も予想以上に大きかったという。そのため徐々に買い替えへと意識が変わっていったのだ。

とは言っても、ファミリーカーであっても妥協できない条件がいくつかある。そのひとつがサーキットも楽しめるスポーツカーであること。この条件に対して夫婦で話し合いを行ない、奥さんも最終的に合意してくれたことで、いくつかあった候補車からM2にターゲットを絞っていったのである。

当初はポルシェ・911やBMW・M4などもターゲットにしていたのだが、後席のスペースやビルドインガレージのサイズ問題で断念せざるを得なかった。そこで目に留まったのがM2。コンパクトなボディに直列6気筒ツインターボエンジン(N55B30A)を搭載し、ノーマルでも370psを発揮するパフォーマンスは見逃せない。さらに中古車サイトで見かけたこの車両は、社外のインテークキットなども装着され、センス良くまとめられていたことも購買意欲を刺激されたという。

「ロードスターから買い替える前に、妻とファミリーカーの理想像に関して話し合った際に、妻の考えは荷物が詰めることとカッコいいクルマということでした。この意見に加えて家族のため、強いボディを持つ安全なクルマということも選択基準に追加。もちろんスポーツ性能も欠かせないのですが、これらをひとまとめにしたらM2が最適なモデルだと判断したんです。この考えを妻に伝える際は、プレゼン資料を作って話し合いに臨みましたよ(笑)」

その後は中古車サイトで目星をつけていたM2を奥さんに見せ、一緒に買いに行ったという。最終的には強引に押し切ってしまった面もあったため、奥さんには申し訳ないと感じながらも、家族で楽しめるファミリーカーを手に入れた満足感は思った以上に高かった。

M2の中でもこの車体を購入する決め手となったのは、派手すぎず信頼できるパーツでカスタマイズされていたことだ。BMWチューナーとして名高いACシュニッツァーのスポイラーやK&Nのエアインテーク、3Dデザインの排気系に加え、足まわりはサーキット走行でその性能を発揮するKWの車高調整式サスペンションがセットされているなど、ひと通り手が加えられていたのだ。ここから余計なコストをかける必要がないことは、じつに堅実な買い方だったと言えるだろう。

当初から重視していたスポーツ性能に関しても文句なし。エンジンのパワーはもちろん前後の重量バランスも限りなく50:50に近く、ロードスターとおなじようにハンドリングのよさも楽しめる。サーキットでのスポーツ走行はもちろん、ワインディングなど幅広いステージで性能を満喫できるのはM2を購入して正解だったと言える特徴なのだとか。

ただしDCTなので、MTを望んでいたYuji-Kさんにとって、ここは若干の妥協点。とは言ってもステアリングに付属するパドルでMTのように操作できるので、走りに対しての不満は一切なし。むしろ、その気になれば奥さんも乗れる2ペダルという選択は、家族のクルマとしては優秀とも言えるのだが、奥さんは運転したがらないというのが実情だ。

3歳になる娘さんもM2はお気に入りの様子。撮影中にYuji-Kさんがクルマ移動させようとすると、一緒に乗りたがるなど、クルマ好きの英才教育もはじまっているようだ。

「自分も子供の頃、よく父にお台場のメガウエブに連れていってもらったんですよ。父もクルマ好きで、117クーペとかに乗っていたので、免許を取ったらスポーツカーに乗ろうって、子供の頃から考えていましたよ。娘もM2が好きみたいなので、将来はスポーツカーを選ぶかもしれませんね」

サーキット走行を想定して運転席にはレカロのバケットシートと6点式ハーネスをセット。その後ろには娘さんの指定席であるチャイルドシートを装着。運転席に合わせたレカロのチャイルドシートも考えていたというが、自身が考える使い勝手や安全性を重視してコンビをチョイス。もう少し大きくなってジュニアシートに変更する時は、運転席同様のレカロ製を組み合わせたいと考えている。

時間を見つけてはサーキットに足を運んでいるというだけあって、ナンバー横にはタイム計測を行なうトランスポンダーのホルダーを常設している。

「ロードスターの頃から筑波サーキットや日光サーキットを走っているんですが、M2に替えてから日光サーキットに運がなくて。というのも、朝イチからパイピングが破損して走行できなかったり、同じく朝イチからパンクしたこともあって。2度もトラブルがあったもので日光東照宮でお祓いしてもらって、次は大丈夫だと思うんですが…」

足まわりに関しては当初装着されていたKWがオーバーホール時期を迎えたため、現在はノーマルダンパーに交換済み。以前の足回りが硬めだったので、乗り心地が良くなったのは奥さん的に満足度が高まっているのだとか。

タイヤは街乗りではBMW認証モデルのミシュラン・パイロットスーパースポーツを使用しているが、サーキットを走行する際にはアドバン・A050やシバタイヤ、クムホなど評判の良いアイテムを色々とテスト中。コスパはもちろん、M2の性能を活かしきれるタイヤ探しも楽しみのひとつになっているそうだ。

ファミリーカーとしてM2を手にいれてから2年。Yuji-Kさんにとっては最良の選択であることは間違いない。が、奥さんのM2に対する評価はどうだろう。

「レンタカーと比べると行動範囲が広がったのは良かったですね。リヤシートも思ったより広くて十分かな。でも正直言えば4ドアの方が乗り降りしやすいと思うんですよね。ただ見た目はカッコよくて好きですし、乗り心地も良いのでファミリーカーとしても満足していますよ」

ロードスター+レンタカーというスタイルから、家族3人が余裕で乗れるM2へとシフトしたYuji-Kさんのファミリーカーライフ。ステアリングを握るYuji-Kさんはもちろん、奥さんや娘さんも一緒に出かける時間を満喫できるので満足感も十分。

特にレンタカーを借りていた時と比べると、出かける機会が増えて行動範囲も格段に広がり、楽しい時間がさらに増えていることは間違いない。ちょっとしたドライブでも家族みんなを笑顔するM2は、Yuji-Kさん一家にとってスポーツカーであると同時に立派なファミリーカーなのである。

(文: 渡辺大輔 / 撮影: 平野 陽)

許可を得て取材を行っています
取材場所:つつじが岡公園(群馬県館林市花山町3278)

[GAZOO編集部]