サーキットに加えて46都道府県も走破。残すは沖縄県の攻略!?
2013年に新車で購入して、約10年で16万km。年間平均1万6000kmを走っているというトヨタ・86(ZN6)のオーナー。何処をそんなに走るのかと言うと、なんと沖縄県を除く46都道府県を制覇してきたという。
これまでプリウスやアクアを乗り継ぎ、現在もファミリーカーとしてアクアを所有しているそうだが、やっぱり『ガソリン車でFR』の方が乗っていて面白いということで、ドライブはもちろん、通勤でも86を愛用しているそうだ。
「ドライブというか、インスタなどを眺めていると、美しい景色の中で撮ったクルマの写真とかがアップされているじゃないですか。そういうところに行って、クルマを絡めた写真を撮るのが好きなんです。個人的には静岡とか山梨とか、富士山の見えるところが好きですね。あと、その土地のソウルフードを食べるのもね。ついこの間も九州まで行ってきたんですよ」
「トミカとプラレールで育ったスーパーカー世代なので、もとからクルマは好きですね。特に80〜90年代の国産バブル期のクルマが好みです。小さい頃は叔父さんが乗っていた三菱・GTOとかに憧れましたね。免許を取得して最初に乗ったのは家にあった三菱のランサーで、その後は日産のシルビア(S13)や、軽自動車にも乗ったりしました。」
「私らの世代って、多分、給料もらったら全部クルマに放り込んでたと思うんです。携帯電話もなかったですし、実家の親元で暮らして、飲まず食わずで働いたら新車が買える、みたいな時代でしたね。かく言う私は、子供が生まれてからはファミリーカーとしてホンダのステップワゴン等のミニバンを選んできました。そして子供たちは今では大きくり運転免許も取得しました。そうなると、家族みんなで移動する機会が減ってくるので、この86に乗り換えたという感じですね」
2012年に発売されたトヨタ・86(ZN6)は『トヨタから久しぶりにFRのスポーツカーが出る!」と、発売前から大きな注目を浴びた。全国のディーラーから選ばれた店舗が『エリア86』として展示車両や試乗車を置き、専門スタッフが常駐してカスタマイズの提案なども行なうなど、国内のスポーツカー人気を再燃させるキッカケにもなった。
86には、鋭敏な肉食動物などをイメージした『キーンルック』と呼ばれるフロントフェイスを採用し、エンジンルームには車両を共同開発したスバルの水平対向エンジン、FA20が搭載されている。グレードによっては200万円を切る価格設定などもあり、多くの老若男女のスポーツカー好きが愛車として迎え入れた。
この86は、2013年式のGTグレードで6速AT車。マニュアルにするかオートマにするかを、印鑑を押す最後の最後まで悩んだそうだが、ある出来事が決め手になったという。
「どちらにしようかと悩んでいる最終段階の頃に、ディーラーで試乗車を用意してもらって試乗に出かけたんですが、帰り道の自動車専用道路で事故渋滞に巻き込まれてしまったんです。その時はマニュアルの試乗車だったこともあり、後々の実用性を考えてオートマを選びました。昔乗っていたシルビアなどはマニュアル車だったから、あの渋滞がなければマニュアル車を選んでいたかもしれませんね(笑)」
実際に手に入れたAT車は、パドルでのギア操作もできるのでとても快適で楽しく、渋滞にハマっても怖いものナシ。雪道を走るのも楽しくて大好きなのだとか。さらにこのクルマでサーキット走行も楽しんでいるという。
「当時は『エリア86』などのディーラーさんで、86に関する色々なイベントが開催されていて、そんな催しのひとつに『サーキット体験しませんか?』というのがあったんです。購入してから3年くらい経った頃でしたが、それに参加してみたんです。それから鈴鹿サーキットの会員になって、年に数回はサーキットを走ったりしていました。ただ、私のクルマはパドルシフトがあったとは言え、全力で走っている時は、やっぱりマニュアル車にコーナーひとつひとつで少しずつ遅れをとっちゃうんです。そんなことが起こるたびに、スーパーチャージャーやターボを装着したいなと思ったこともありましたね。それか、あと10歳若かったら、マニュアル車に乗り換えていたかもしれません(笑)」
2020年に神奈川県に転勤になってからは走る機会も減ってしまったそうだ。しかし、吸排気系やオイルクーラー、足まわりに補強パーツなど、サーキット走行のためのカスタマイズはシッカリと施されている。
普段のメンテナンスなどはディーラーにお任せしている一方、チューニングパーツの取り付けやセッティングなどは、奈良県にあるプロショップ『kansaiサービス』で行なっている。「車高調整式サスペンションのオーバーホールついでに、現車合わせでセッティングしてもらったら、走りがすごく変わりましたね」と嬉しそうに語ってくれた。
ブレーキ関係はエンドレス製に交換して制動力を高め、シートもホールド製の高いセミバケットシートに交換。サーキット走行の時にはタイヤもハイグリップなものに履き替えているという。そして、装着しているアドバンのホイールにもこだわりがあるそうだ。
「86はFR車なので、リヤタイヤの方が減るのが早いんです。ですから、前後ともに8Jホイールにして、スペーサーを入れてオフセット量を調整すれば前後のローテーションができて経済的です。けれど、私はスペーサーを入れるのが嫌いなので、リヤホイールに8.5Jを入れているんです」
リヤガラスに貼られているのは『ハチロックス』という86&BRZイベント、第1回目の参加者に配られていたデカールだそうで、そのイベントには参加していなかったものの、どうしても欲しくてあとから購入したという。
月に1度は磨き上げるというピカピカのエンジンルームも「エンジンカバーはもともと黒色なんですが、スバルBRZのオプションパーツを流用して青で統一しています」と、差し色へのこだわりも詰まっていた。
「ボディカラーは特にこだわりがなかったんですが、TRDのカタログに載っていた白い86の写真がカッコよくて、それとおなじ白を選んだんです。お気に入りはTRDのスポイラー類ですね! 新車の時からオプションとしてカナードとともに装着しています」
そんなお気に入りの86での楽しみとして、大きなウエイトを占めているのが『全国各地を巡るドライブ』とのことだが、どのように楽しんでいるのだろうか。
「仕事の都合もあるので『2泊3日で九州を回ろう』といった感じで集中的に長距離を走破することが多いですかね。転勤で神奈川にいた頃は、コロナ禍だったこともあって、空いている下道で色々なところに行きました。4連休を利用して東京から埼玉を抜けて、新潟と群馬県の三国峠もあえて下道で、みたいな。東北や北関東を回り切ったのもこの頃です。田舎に行くとワインディングもあって楽しいですね。お正月とかの東京都内は逆に人が少なかったりするし、早朝ドライブなんかも好きですよ」
訪問した先々では『峠プロジェクト』という企画のステッカーも集めているそうだ。写真には納まりきれなかったが、全国各地の峠の名前がズラリと並んでいるボンネット裏の様子は圧巻である。
さて、そんな日本完全制覇も、残すところ沖縄のみだというが…。
「大阪や鹿児島からフェリーは出ているんですが、便も多くないしそれなりに費用もかかる。しかも、まとまった日数の休みが必要になるので、働いているうちはなかなか難しいかなぁ」
沖縄の美しい景色の中で、白く輝く86の姿を撮影できるのはもう少々先の話になりそうだが、きっと実現してくれることだろう。
(文: 西本尚恵 / 撮影: 清水良太郎)
※許可を得て取材を行っています
取材場所:平城京朱雀門ひろば(奈良県奈良市二条大路南4-6-1)
[GAZOO編集部]
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