厳選を重ねて迎え入れた趣味と子育てを両立する最高の1台、アルテッツァ

  • GAZOO愛車取材会の会場である平城京朱雀門ひろばで取材したトヨタ・アルテツァ(SXE10)

    トヨタ・アルテツァ(SXE10)

スポーツカー好きな方が、子供が生まれるタイミングでファミリーカーに乗り換えることは非常に多い。その際、ファミリーカーの中でも少しでも乗って楽しいクルマを選びたい…そんな方々にとって魅力的な選択肢の一つが、トヨタ・アルテツァ(SXE10)だ。

コンパクトな4ドアスポーツセダンのアルテッツァは、1998年に久々に登場したトヨタのFR車として注目を集めたモデルだ。共に2.0リッターで6気筒の1G-FE型と、210psを発揮する4気筒3S-GE型の2種があり、チャイルドシートを乗せながらスポーティな走りも楽しめる、そんな魅力的なクルマなのである。

そして今回ご紹介するアルテッツァのオーナーも、カスタムを楽しみながら24年間も乗り続けたトヨタ・MR2(AW11)から、子供が生まれることを機にアルテッツァに乗り換えたひとりだ。想い出深い愛車から思い切って乗り換えたアルテッツァは、彼にとって趣味と実用性が伴ったぴったりな1台だったという。

そんなオーナーが長年乗り続けたMR2に憧れ始めたのは、まだ小学生の頃だった。

「AW11が発売されていた1990年代はF1がすごく流行っておりまして。その影響でミッドシップやスーパーカー的なクルマに憧れた時に、国産車でもこういうクルマがあることを知って、免許を取ったらいつか買うぞと思い続けて19歳の時に中古でMR2を買ったんです。MR2は自分でかなり手を入れていて、オーバーフェンダー仕様で公認車検を取ったり、塗装も元のホワイトからフェラーリに憧れて赤に、そして歳を重ねてガンメタへと2回オールペンしたり…。MR2のコンテストで優勝をしたこともありましたし、ジムカーナも走ったりもしました。最終的にMR2は1度乗り換えて、2021年までの24年間所有していたんですよ」

それだけ愛着のあったMR2であれば、ファミリーカーを増車し2台体制にするという選択肢もあったのでは? と思うところではあるが…。

「どちらかというと1台のクルマに集中していたいんです。多分、2台持ったらもう1台の扱いが雑になりそうな気がしたので、それならば趣味も子育てもどちらもこなせるクルマが欲しいと思ったんですね。で、FR車でマニュアルがいいと思っていたところ、4ドアのアルテッツァなら子供が生まれても乗り降りしやすいし、6速マニュアルがあること、エンジンが高回転型で可変バルブタイミングのある3S-GEであること、中古車の値段が比較的抑えめでアフターパーツの在庫も豊富なことと、条件にぴったりだったんです。それでアルテッツァに乗り換えることに決めました」

こうしてご家族と歩む新たな相棒としてアルテッツァを選んだのだが、2020年当時はコロナショックで中古車の価格が急騰し始めていた時期。早く決めないと、という危機感を持ちつつも、大事なクルマ選びだけに慎重にやりたいという思いが交錯していた状態だった。

「毎日のように中古車サイトを見ていたところ、愛知県にあるボルテージさんというショップで販売されていたこのクルマと出会いました。ちょうど子供が生まれる少し前で、奥さんの妊娠が安定期に入った頃です。できればアルテッツァのノウハウのあるお店から買いたいと思っていたので、奈良県在住だけど、アルテッツァをたくさん扱っているこのお店で買おうと思いました。というのも、MR2の時は自分でほとんど整備していたけれど、子供が生まれるときっとクルマに構っていられなくなる。ならばメンテナンスなど細かいところを任せられるお店が良いかなと思っていましたので」

そうして2020年の秋、彼は2003年式トヨタ・アルテッツァ RS200(SXE10)の6速マニュアル車を購入するに至る。ボディカラーはホワイトで、TRDの純正フルエアロが装着されているだけのフルノーマル状態だ。

「スポーティな4気筒モデルにこだわっていたので、高回転型の可変バルブタイミングを持っているRS200は魅力的でしたし、色もできれば白がいいと思って探していたんです。トヨタの白は丈夫であるとMR2で実感していましたから(笑)。それに私はエアロパーツが割と好きなので、ちょうど純正フルエアロ状態だったことも自分的には好みでした。個人的には純正にしては結構よくできたデザインだと思うし、FRP製の社外エアロと違ってウレタンの純正エアロならそこまで傷むこともないだろうと思って。それにノーマルなら妊婦や乳児を載せたりするのにもいいかなと思いまして」

まさに思い描いていた“趣味と実用性を兼ねたクルマ"という理想にぴったりハマった1台と巡り会えたというわけだ。

「おもしろいもので、それからも中古車サイトを見続けていたんですけど、ここまで自分の意向に合う仕様は見つからなかった上に、その後はどんどん価格も高騰していきました。このクルマは86万円で購入しましたが、2024年の今だったら、同じコンディションであればおそらく100~130万円くらいするんじゃないでしょうか」

そしてファミリーカー兼趣味車として3年間乗り続けてきた現在。アルテッツァはオーナーの手によって少しずつカスタマイズされている様子である。ということで、デザイン的に気に入っている部分やこだわりのカスタマイズについて伺ったみた。

「子供が少し成長してきたこともありまして、足まわりやシート、ステアリングなどに手を入れました。車高調整式サスペンションは、スポーティ寄りでも街乗りでの乗り心地が苦にならないテイン製を選び、車高も確保しています。ホイールは中古で買ったプロドライブのGC-06Dなんですが、MR2に乗っていた時も6本スポークが好きでTE37を使っていたんです。やっぱりモータースポーツで使われているイメージがホイール選びのポイントでしょうか。マフラーにはフジツボレガリスマフラーをチョイスして、すべて合法的に纏めているのもポリシーですね」

「インテリア関連では、純正シートの座り心地がイマイチだったので、レカロシートに交換したら、体がしっかりホールドされて運転が断然ラクになりましたね。また、レーシングカーやラリーカーが好きなので、足元のヒールプレートは競技用のものをマジックテープで貼ってみました。そしてこの黄色いメーターパネルは、カーボン風パネルを後から付けたものです。そうそう、ダッシュボードは塗装が劣化してベタつく症状が出たので、業者に頼んで一度全部ベタつきを剥がして貼り直しているんですよ」

「エンジンルームにはクスコのタワーバーが入っているのですが、これは自分が後から付けたものです。リヤ側のタワーバーも入れたいなと思うくらい、その剛性はしっかり体感できるくらい変わったので気に入っていますよ」

決して無理をするのではなく、吟味したパーツを合法的にセンスよくまとめてスポーティに見せているところが、このアルテッツァの特徴と言えるかもしれない。

そしてそんなこだわりカスタムの中でも、特に気に入っているのが『肘を置きたいから』と中古で買って取り付けた肘置き。もともとマニュアル設定には存在しないパーツのため、AT車用を流用したそうだ。

そんなアルテッツァの車内に、1台のアルテッツァのプラモデルが積んであるのが目に入った。
「これは売り物のプラモデルのホイールを変えて、自分のクルマに近づけたものなんですよ。今1台出しましたけど、実は10台以上のアルテッツァのプラモデルを持っているんです(笑)」
この尋常ではないアルテッツァのプラモデルへのこだわりは、オーナー自身のご職業にもあるのかもしれない。というのも、氏の本業は『艦船模型プラモデルの製作代行』という、プロのモデラーなのだ。模型専門誌の作例ライターとしても活躍しているのだから、その実力は折り紙付きである。

そんな一つの作品に細部までこだわって、日常的に緻密な艦船模型を作るオーナーが熟考した上で、ライフスタイルに合わせて選んだ愛車がこのアルテッツァなのである。そんなバックボーンを知れば、カスタムに対する一つ一つのこだわりにも合点がいくだろう。

「今はファミリーカーとしての用途のみですが、ゆくゆくはクルマで遊ぶことも考えたいなと思っています。『好きなクルマに乗ってください』という奥さんの理解もありまして、それは非常に助けになっています。ゴムのモールや窓枠類は2年前にぜんぶ新品に交換しましたが、手に入らない純正パーツも増えてきましたね。そう考えると、各種純正パーツが製造廃止となってからでは遅いので、できるだけ早めに各所をリフレッシュさせていく予定です。そうして今後も“古いクルマ”と感じさせないように心掛けたいと思っています」

ファミリーカーでもありながら、とことんこだわるオーナーの趣味趣向をも満足させてくれる最高の相棒、アルテッツァ。これから先も、家族と一緒の楽しいカーライフに彩を添えてくれることだろう。

(文: 西本尚恵 / 撮影: 清水良太郎)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:平城京朱雀門ひろば(奈良県奈良市二条大路南4-6-1)

[GAZOO編集部]

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