「人との繋がりを惹きつけてくれる」トヨタ・86との愛車ライフ
「ハチロクは、僕にとって『人との繋がりを惹きつけてくれる存在』です」
奥さまと息子さんと一緒に愛車のトヨタ・86(ZN6)で取材会にご参加いただいた『ゴリちゃん』さんは、この86と出会ったことで人生にも様々な変化があったという。
「両親ともクルマが好きな家庭だったので、物心ついた時にはすでにクルマの玩具とかが周りにあって、クルマの名前の覚えも良かったらしいです。家のクルマはマニュアル車だったのですが、私は必ず助手席に乗り込んで、シフト操作している様子を見るのが好きだったという記憶がありますね」
そんな彼が初めての愛車として選んだのは、マツダ・デミオ(DE5)だったという。
「1台目は特に乗りたいと思える車がなくて『速いクルマじゃなくてもマニュアル車なら楽しいだろう』と考えてデミオを選択しました。その頃は満足して乗っていたんですが、職場の先輩のNBロードスターをジムカーナ場で運転させてもらったことがキッカケで、気持ちが変化していったんです」
職場でも自分がクルマ好きであるということを公言していたこともあって、過去にも先輩に誘ってもらいデミオでジムカーナを経験したことはあったものの、その時はそれほど面白さを感じなかったという。しかし、先輩のクルマで体験したその動きに、FF車のデミオとは違ったFR車の楽しさに出会えたそうだ。
「デミオで楽しさを感じられなかったのは、自分の運転がヘタだったからというのもあったかもしれません(笑)。でも、先輩のロードスターをジムカーナ場で運転させてもらったら、FR独特の操作感と、クラッチを蹴ってリヤを滑らせた時の感動があって『FRってこんな動きをするんだ!? 面白い!』と感じたんです」
「そして、その頃に職場の人とトヨタディーラーに行くことがあって、そこで自分も86のMT車に試乗させてもらったんです。そうしたら、目線の低さや運転の楽しさに“ビビッ”と来たんですね。それ以前にATの試乗車に乗った時にはそういう感覚はなかったんですけど、MT車に乗ったら感じ方がぜんぜん違っていて『絶対にこのクルマを買う!』と心に決めて貯金をはじめたんです」
こうして社会人2年目、23歳の時に念願のトヨタ・86(ZN6)を新車で購入した。
「86は年式によってアプライドB、C、Dと改良されていくんですが、この86は2013年式のアプライドB型です。購入前にグレードはGかGTどっちにしよう? となって、GTの方がデジタルのスピードメーターが付いていたり、トルセンLSDが組み込まれていたり、さらにブレーキの大きさが違ったりと、どうせ買うならGTグレードかなということで決定しました。86を買うと決めた時に乗せてもらった試乗車もGTのマニュアルでしたからね」
2012年にトヨタから久しぶりのライトウェイトFRスポーツとして登場した86は、2021年に販売終了してGR86にモデルチェンジするまでの約9年間、マイナーチェンジや一部改良を繰り返しながら進化を遂げてきた。ちなみに、A型からB型になった際には、エンジンフィーリングや電動パワステのアップデートが行なわれている。
ギャラクシーブルーシリカのボディカラーにもこだわりがあるそうで「個人的に青色が好きなので、これ一択でしたね」とのこと。BRZの青も、最近の86のスカイブルーも好きというが、「落ち着いた感じの色なので、今ではこの色を選んで良かったなと思っています」と、そのカラーチョイスにも満足している様子だった。
こうしてオーナーの元にやってきた86、その印象はどうだったのだろうか?
「デミオから乗り換えて、最初に感じたのが目線の低さでしたね。それから乗っていくうちに、ボディ剛性があって凄くシッカリしているなと感じました。あとはカーブを曲がる時、思った通りに曲がってくれるというのが良いですよね。スピードを出していなくても運転が楽しいんです。購入してから1年も経たないうちにサーキット走行にもハマって、鈴鹿ツインサーキットを中心に、岡山国際サーキットや、セントラルサーキットなどで走っていました」
結婚写真の前撮りも86と一緒に撮ったし、新婚旅行も大阪から福井県の敦賀市まで走っていった。さらに、86と一緒にカーフェリーに乗って北海道の道を楽しむなど、数えきれないくらいの想い出が詰まっているという。
「ハチロクに乗っていますって言うと、『AE86?』って聞かれることが多いんです。そんな事もあって、いつかこのZN6型のハチロクが、AE86みたいな名車と呼ばれるくらい、末永く乗り続けていたいと思っているんです。そのために、今から補修などで必要となりそうな純正部品などをストックしはじめているんです」
メンテナンスは購入時のディーラーで行ない、消耗品はその都度交換。車検は『ユーザー車検を経験してみたい』ということで、一度だけ自身で通したが、それ以外はディーラーでしっかりと整備点検をしてもらっているという。
また、見た目が大人っぽくてお気に入りだというガナドール製マフラーや、海外から取り寄せたというマッドガードなど、カスタマイズも楽しんでいるそうで、今後はGR86の純正部品を流用したアップデートなども検討しているそうだ。
内装はレカロ製バケットシートやナルディ製ステアリングのほか「実は内装のいろいろな場所に使われていたメッキ部分が好みじゃなかったので、下位グレードの内装に交換しているんです」と、細かい部分にも拘って自分好みの空間を作り上げている。
「86に乗ってからは、ツーリングやサーキット走行など“人生が変わった”と言っても過言ではないくらい楽しいカーライフを過ごすことができました。妻の理解もあって今まで乗り続け、おかげさまで10年。走行距離は約16万キロになりました。」
「子供もいるのでメインの移動は妻のモコ(MG22S)ですが、86にチャイルドシートを乗せて3人で出かけることもあるんです。最近86は通勤がメインですけど、普段の走りも楽しめるように足まわりのカスタムをしたりとか、その時々に応じて仕様を変えたりすることも楽しんでいるんです」
何かと不安も多い“はじめての職場”でクルマ好きの輪を広げられたこと。86に乗っていることで転職先でも話題のキッカケ作りができたこと。職場の仲間たちと一緒に走りに行こうと盛り上がれたこと。人生3社目となった現在の職場でも86がコミュニケーションの潤滑剤になってくれていること…。あげればキリがないほど、人との繋がりを惹きつけてくれたと感じているという。
きっとこの先も『ハチロクに乗っているんです』という言葉が、人との出会いを生み、人生の楽しみを増やしてくれるに違いない。
(文: 西本尚恵 / 撮影: 平野 陽)
※許可を得て取材を行っています
取材場所:ポルトヨーロッパ(和歌山県和歌山市毛見1527)
[GAZOO編集部]
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