新車発売当時から憧れたGX71型マークⅡを、カタログ写真のようなコンディションに仕上げる
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トヨタ・マークⅡ GTツインターボ(GX71型)
1968年に誕生したトヨタ・マークⅡは、2004年に生産が終了した9代目まで36年に渡って続いたロングセラーモデル。
中でも1984年に登場した5代目は、直線基調の伸びやかなボディラインやゴージャスなインテリアといった特徴がバブル景気で高級さが求められた時代に見事にハマって人気を博し、誕生から40年が経過した現在でも煌びやかな1980年代を想起させてくれるモデルとなっている。
そんな5代目マークⅡの虜となったファンの中には、まだ免許も取得していないクルマ好きな子供も含まれていて、ここにご登場いただく『あんパンチ』さんも、その中のひとりだったという。
「父が休みの日に洗車していると、喜んで手伝うようなクルマが大好きな子供でしたね。小学校の高学年ぐらいの頃には、5代目のGX71マークⅡがたくさん走っていて『カッコ良いなぁ』と憧れていました」と、現在の愛車であるマークⅡに興味を持ち始めたキッカケを語ってくれた。
ちなみに、あんパンチさんが5代目マークⅡに興味を持った頃、お父上は先代となる4代目マークⅡ(GX61)に乗っていらしたそうで「父もGX71に乗り換えたかったみたいで、家にはディーラーからもらってきたGX71のカタログがありました。僕も『買い替えようよ』と父に言ってましたねぇ」
まだ子供だったあんパンチさんが、GX71マークⅡのどこに、そんなに惹かれたのかを伺うと「まず直線基調のスタイルですね」というお答えが返ってきた。
「当時父が乗っていたGX61も、直線基調のデザインで好きでしたが、GX71はクリスタルピラーとか、ゴージャスさも加わっていて、子供ながらにすごくカッコ良いって思いました」
1980年代生まれのクルマならではの、豪華な内装やデジパネも、少年を魅了した部分だという。
「近所の方が所有していたイーグルマスクのGX61に乗せていただいた時に『こんなメーターがあるんだ! カッコ良い!』ってデジパネに興味を持ったんです。そこに付いていたデジパネがGX71マークⅡにも装備されていると聞いて、父が貰ってきていたカタログをよくよく見てみると、GX71のデジパネはもっとカッコ良くなっているじゃないですか! 『スゲーッ!』ってなりましたよね」
また、5代目の魅力を語る上で、組み合わされたパワーユニットも、無くてはならないアイテムと言える。
その頂点に据えられたのが、日本初のツインカム・ツインターボエンジンとなる1G-GT型で、185psを発揮。4代目までは、ライバルとなる日産スカイラインに、動力性能だけは及ばなかったマークⅡであったが、5代目でついにスカイラインに肩を並べる、高性能エンジンを手に入れたのだ。
このように、まだ小学生ながらすっかりGX71に魅了されたあんパンチ少年だったのだが、残念ながら、お父上がGX71に乗り換えることはなかったという。
「当時、GX71はすごい人気だったじゃないですか? そのせいで納車までかなり時間が掛かってしまうということで、結局、その時は乗り換えの話がなくなっちゃったんですよ」
しかし、この時に盛り上がったあんパンチさんのGX71マークⅡへの想いは、その後、30年以上も抱かれ続けることとなる。
自動車免許を取得して、初めての愛車に選んだのはスープラ(JZA80型)だった。
「高校ぐらいの時に、ソアラ(20系)に興味を持ったんです。でも免許を取った時には、すでに程度の良い20ソアラはほとんど無くて、すぐにでも自分のクルマが欲しかったということもあって、3リッターNAでマニュアルミッションのスープラを初めてのクルマに選んだんです」
スープラの後は「チェイサーのツアラーVとAE92のスーパーチャージャーを2台持ちしていた時もありました」というように、当時のクルマ好きに人気だった車種を乗り継ぎ、カーライフを楽しんだようだ。
このように基本的には、現行車や代替わりしていたとしていても中古車として普通に流通するモデルを乗り継ぎ、いわゆる旧車と呼ばれるようなモデルには手を出さずにいたものの「中古車サイトで、毎日のようにGX71マークⅡをチェックしていたんです」と、子供の頃に抱いた憧れを忘れていたワケではなかった。
そして今から4年前、あんパンチさんの目に叶うGX71マークⅡを中古車サイトで見つけたそうだ。
「京都の中古車屋さんが、このマークⅡを出品しているのを見つけたんです。状態はとても良さそうで、しかも掲載された写真をよく見ると、岐阜にある旧車ショップさんのものらしきステッカーが貼ってあったんです」
その旧車ショップというのは、1980年代のトヨタ車を得意とするお店だったそうで、それまで店を訪れたことこそなかったものの、再生するクルマの仕上がりの良さから、以前からチェックしていたという。
「販売していた中古車屋さんにすぐに連絡して、まず、そのステッカーを確認してもらったんです」
ステッカーはまさにお目当ての旧車ショップのもので、そこで仕上げたクルマなら間違いないだろうと、購入を決めたそうだ。
手に入れた1987年式マークⅡ GTツインターボ(GX71型)は、あんパンチさんの見立て通り程度は良好。
しかし、あんパンチさんは、手に入れた車両をすぐにくだんの旧車ショップに入庫させたという。「どうせ乗るなら、カタログの写真のような状態に仕上げたい」と、再々生を依頼したのだ。
その内容は、ボディのオールペイントに始まり、灯火類などの外装部品を新品、もしくは新品同様のコンディションのものに交換し、まさに新車のような状態に仕上げるというもの。
「ショップの方にも『替える必要がないのでは?』と言われる部品もありましたが、少しでも使用感があれば交換しています」とのことで、『カタログ写真のような状態を再現したい』というあんパンチさんの思いには、まったくブレがなかったようだ。
もちろん1988年に生産を終えているモデルなので、新品の部品を簡単に手に入れられるわけではない。それだけに灯火類などを中心に交換したい部品をひとつひとつネットオークションで探していったという。
「『新品』や『美品』として出品されているGX71マークⅡ用の部品があれば、値段とか、あんまり考えないで落札しましたね(笑)」
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(写真提供:ご本人さま)
しかも、レストアに必要な部品一式が揃った後も、部品購入を続けているそうで「万が一、事故などで破損したことを考えて、今では予備もひと通り入手済みです(笑)」とのこと。
予備の部品は、家を建て替えた時に一緒に建てたというガレージの余剰スペースや、クローゼット等に保管してあるという。
再生を施した部分は、見た目に関わる部分だけではなく、サスペンションのゴムブッシュなどにも及ぶ。そんなこともあり、レストアが完了するまでに、1年もの時間を費やしたそうだ。
撮影時は残念ながら雨に降られてしまったが『カタログ写真のような』という仕上がりは、まさにおっしゃる通りで、40年近い時間の経過を感じさせない一分の隙もない車両に仕上がっていた。
そんな仕上がりだけに、当時、乗り換えることが叶わなかったお父上からも「懐かしい!」と大好評だそう。2023年には、そんなお父上を助手席に乗せて、以前から参加したいと思っていたトヨタ博物館のクラシックカー・フェスティバルにも参加したそうだ。
40年前に憧れを抱いたGX71マークⅡと共に、今後もさまざまな旧車ライフを楽しまれることであろう。
(文: 坪内英樹 / 撮影: 清水良太郎)
※許可を得て取材を行っています
取材場所:国営木曽三川公園 アクアワールド水郷パークセンター(岐阜県海津市海津町福江566)
[GAZOO編集部]
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