「あぶない刑事に憧れて」8台ものレパードと歩んできた30年の愛車ライフ
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日産・レパード (F31型)
2代目のレパードとして1986年にデビューを果たしたF31型。初代の先進的なデザインから一転、2代目はクラシックな2ドアクーペスタイルに。また、初代では4ドアモデルも用意されていたが、同時期に登場したシーマとの住み分けもあり、2代目は2ドアに特化した構成となった。
搭載されるエンジンも多彩で、前期型では3リッターV型6気筒DOHCのVG30DEを筆頭に、VG20ETやVG20Eといった2リッターモデルが存在。後期には競合車であったトヨタ・ソアラに対抗する3リッターターボのVG30DET(255馬力)も登場し、パワーウォーズ真っ只中の1980年代後半を象徴するモデルとなった。
そんなF31型レパードが注目を浴びたキッカケのひとつが、ドラマ『あぶない刑事』。
1986年から放送が開始され、続編や映画化など大人気となった“あぶデカ”の劇中車として使用されたことで“タカ&ユージ”に憧れるファンたちがこぞってF31を求め、現在に至るまで旧車ファンの間で高い人気を誇る存在となった。
ファンキーさんも、まさに“あぶデカ”がキッカケでレパードに魅了されたひとり。いざ購入を決意した時にはすでに新車販売が終了しており、ディーラー経由でようやく見つけた新古車のパールツートン・XSターボが、最初のレパードとなった。
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(写真提供:ご本人さま)
この新古車で手に入れたレパードは、ずっと乗り続けようと思っていたそうだが、奥様が乗っている時に事故に遭ってしまい、修理するなら別のレパードに乗り換えようと2台目のレパードに乗り換えることになったそうだ。
それから約30年の時が流れ、現在の愛車となるレパードは、なんとファンキーさんにとって8台目のレパードとなる。しかも、最初の一台と同じパールツートンのXSターボである。
約3年前、ネットオークションで希少な2リッターモデルを発見。
「3リッターモデルだと、数は少ないものの、無くはないボディカラーなんですけど、2リッターモデルだと本当になかなか出てくることはないんですよ」
そんな超希少車だから、なんとしても手に入れたいと知り合いのクルマ屋さんに頼み込んで落札してもらったそう。
「現車確認も何もしないで落札したんで、とりあえず走れなくはなかったけど、旧いクルマですからね、あちこち問題があったんですよ」と、手に入れた当時を振り返るファンキーさん。
乗り始めて、まず気になったのが真っ直ぐ走らないこと。固着して引きずりを起こしているキャリパーがあり、ブレーキが効いたままになっている車輪があったことが原因だったそうだ。
ブレーキ一式をオーバーホールして修理することになったそうだが、いざ探し始めてみるとマスターバックがなかなか見つからず苦労したという。
ブレーキが直ると、次の不具合に気付くことに…。
「なんだかパワーがないんです」
初めてレパードに乗った人だったら『旧車だしこんなもんか?』と思ってしまうこともあるかもしれない。しかし、これまでに新古車も含め7台ものF31レパードに乗ってきたファンキーさんだけに、微妙な違いにも当然のように気付いたのである。
原因は、センサー類の経年劣化によるもので、怪しいものからひとつずつ正常なセンサーに交換していくという作業を繰り返し2、年近くかけてようやく本来のパワーを取り戻すまでに至ったそうだ。
センサーに繋がるゴムホースの破裂によってエンジンがかからなくなってしまったことなどもあるそうで「この頃は、ほとんど乗れなくて、修理に出している時間の方が長かったですね」と、当時を振り返る。そんな状況でも投げ出さなかったのは、レパード愛があればこそであろう。
そうしてエンジンが本来の状態に仕上がったのが2024年の末ぐらいのこと。その後、足まわりのボールジョイント部にガタが出ているのに気付いて交換したことで、ファンキーさんにとって8台目となるF31レパードは、ようやく調子良く走るようになったそうだ。
ここまでお話を伺ったところで、ひとつの疑問が浮かんだ。その疑問というのは、何故これまで幾度もレパードばかりに乗り換えてきたのか? というものだ。
今回の車両に関する修理過程のお話しからすると、手に入れた車体の調子が悪いからといって、かんたんに別の個体に乗り換えるというタイプではなさそうだ。むしろ、じっくりと腰を据えて、不具合を克服して乗られるタイプであろうと推測できる。
そうでなければ、いくら希少なF31レパードとはいえ、2年近くまともに乗れず、修理工場への入庫を繰り返すような状況に耐えられず、別の車体を見つけているはずである。
というわけで、なぜ8台ものレパードに乗り換えてきたのかを伺ったところ「いろいろなボディカラーや、グレードの違うF31に乗りたいからですかね」というお答えが返ってきた。
1台をまともな状態に仕上げていく苦労よりも、自分が大好きなF31レパードのことを“もっと知りたい”という好奇心の方が勝るというところに、F31レパード愛の大きさを感じずにはいられない。そんなご返答であった。
また、ファンキーさんのこだわりは『ラグジュアリー・カスタム・スタイル』と呼ぶ独自のカスタマイズにも表れている。
例えば、金メッキのピアスボルトを組み合わせたクロム仕立ての『シュティッヒ・メッシュホイール』を履かせているのも、自身の美学に添ったものだという。
また、元々がラグジュアリーなレパードだけに、純正オプションパーツにもそれを強調するアイテムが多数存在していたようで「リヤクォーターウインドウに装着するサンシェードも、ラグジュアリー感があって気に入っています。今ではかなり希少らしくて、ネットオークションではかなり高くなるみたいですよ」と、レパード業界(!?)の現況も含めて教えてくださった。
8台ものF31に乗ってきたファンキーさんだけに、こういった希少となったパーツもしっかりキープしていらっしゃるようだ。
パーツをキープしていると言えば、本来パールツートンの内装色は赤系となるが「持っていたレザーシートがモノトーンだったので、それに合わせて内張り類もモノトーン系で揃えています」と、手持ちのストックパーツを活用して、自分仕様のインテリアとしているそうだ。
自分仕様と言えば「本来は下の方にあって見づらいマルチモニターを、上側に移設して、本来は上側にあるスイッチ類などを下に移設しています」といったように、大掛かりな加工もDIYで行なっている。
「エアコンの風は、ダッシュボード内の樹脂製ダクトを通って、ブロアから吹き出し口までくるじゃないですか? 吹き出し口の位置を変えれば、当然そのダクトも加工する必要があるんですけど、力づくで曲げたら割れちゃって…。現在、エアコンは効くんですけど、吹き出し口から風が出てこなくなっちゃって…」という失敗談も語ってくれた。
「割ってしまったダクトは既に見つけているので、今度はヒートガンを使って慎重に変形させながら作業を進めていこうと思います」
『あぶない刑事』がキッカケで乗り始めたレパードとの付き合いもすでに30年。
8台ものF31型レパードに乗ってきたとはいえ、まだまだ乗ってみたい色やグレードのレパードが現れれば、そのクルマに再び乗り換えることだってあるかもしれない。しかし、ファンキーさんがレパードを卒業するということは、この先もずっとなさそうである。
F31レパードとの物語は、まだまだ終わりそうにない。
(文: 坪内英樹 / 撮影: 平野 陽)
※許可を得て取材を行っています
取材場所:道の駅 恋人の聖地 うたづ臨海公園 (香川県綾歌郡宇多津町浜一番丁4)
[GAZOO編集部]
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