全幅の信頼を置く、奥様とプロショップのサポートを受け、充実の86ライフをエンジョイする

  • GAZOO愛車取材会の会場である宮崎県林業技術センター/森の科学館で取材したトヨタ・86(ZN6型)

    トヨタ・86(ZN6型)


トヨタが久しぶりのFRスポーツカーとして86(ZN6型)を発売したのは2012年のこと。走る楽しさを追求し、ハンドリングを重視した小型で軽量、低重心のパッケージはスポーツカーを待ち望んだ多くのファンから愛され、近年稀に見るヒットモデルとなった。

さらに、トヨタはメーカーとして車両を販売するだけでなく、スポーツカー文化を後押しする様々な試みを行ない、GR86にモデルチェンジした現在もその取り組みを続けながら多くのクルマ好きやスポーツカー好きを生み出している。

そんなトヨタ・86(ZN6型)を、新車発表と同時に注文した『ヨッシー』さん。幼少の頃からスポーツカーが好きで、運転免許を取得して以来スポーツカーを乗り継いできたというだけに、86の復活はまさに待ち望んでいた瞬間だったという。

「昔はスープラやMR2、スカイラインといったスポーツカーをずっと乗り継いでいたんです。でも気がついたら新車で欲しいと思えるFR車がなくなっていて、スポーツタイプのクルマ趣味もお終いかなって考えていたんです。そんなタイミングで86が発売されるって噂を聞いて、半信半疑ながらも期待はしていたました。そしたら正式に発表されて、発売時期も決まった時には本当に嬉しかったですネ。だから、すぐ妻に買って良いかの了承を取り、その足でディーラーに行って注文しちゃいました。もちろん試乗なんてする間もありませんでしたから、注文から納車までの5カ月間はワクワクが止まりませんでしたよ」

納車直後はカスタマイズパーツがほとんどなかったため、通勤の道中などでその性能の片鱗を楽しむに留まっていたが、乗りはじめて3年が過ぎた頃からそれまでのスポーツカーライフを思い起こし、サーキットにも足を運ぶようになったという。そうなると、次第に出揃ってきたカスタマイズパーツも気になってくるのは自然の流れだろう。

「サーキットに持ち込むようにはなりましたが、パワーとかタイムよりも、気持ち良く86の走りを楽しむのが目的でした。ですから、吸排気系のパーツを交換したり、クラッチやフライホイールといったパーツを投入して、エンジンレスポンスが楽しめるマシンに仕上げたんです。中でもサード製のサクションパイプは、吸気音が楽しめることもあって、イチバンのお気に入りです。こういったカスタマイズは、サーキットマシンを得意とする北九州にある『クレイブ』さんにお願いしています。86のサーキットマシンを得意としているお店なので、自分の考えていることや使い方を理解してサポートしてくれるので、この86を楽しんでいくためには欠かせないお店になっていますよ」

サーキット走行を気持ち良く楽しむためにと、ボンネットはカーボン製に変更。軽量化といった性能アップを目論んでいたものの、純正ボンネットがアルミ製だったため、カーボン製に交換しても重量的には大きな変化はなかったというが、素材がカーボンに変更されたことでビジュアル面での満足度は十分。

ほかにも、エアロパーツに関してはTRDやサードといった、トヨタにゆかりのあるブランドを組み合わせ、奇抜になり過ぎないシンプルなカッコ良さを考えているという。
また、マフラーも当時の選択肢ではTRDのみだったという4本出しスタイルを選択するなど、サーキットを走らせて楽しむという目的だけではなくドレスアップ的な要素を取り込むのというのは、86を手にしてから目覚めた楽しみ方だという。

バケットシートはレカロ製、ステアリングはモモ製。スポーツカーの王道ブランドを選んで組み合わせているところからも、古くからのスポーツカー好きということが伺える。

「最近では、色々なメーカーのスポーツシートやステアリングがありますが、やっぱり自分に合ったモノと考えると、昔も今もこの組み合わせになりますね。質感もそうですが、ポジションとかフィット感なども体にシックリくるんですよ」

「ホイールは、昔から憧れていたレイズ製のボルクレーシーングを奮発しちゃいました。しかも、スポーツカーに絶対似合うと思って、TE37を選んでみたんですが、やっぱり狙い通りのスタイリングで、満足度は一気にアップしましたね」
このホイールは『これ以上ないほど似合ってる!』と感じているそうで、装着したことによって満足度はさらに高まっていったという。
また、ブレーキもサーキット走行に合わせてパッド交換を行い、タイヤも話題のスポーツタイヤへ交換することで、街乗りでもサーキットでも不満な点は無くなったそうだ。

「30年以上前ですが、70スープラに乗っている時も18インチのホイールを装着していましたが、あの頃は選べるタイヤがなくて…。当時はタイヤの値段も高かったので、タイヤの摩耗を気にして走っていましたよ。けれど最近では18インチもスタンダードになったのでタイヤ銘柄も豊富だし、タイヤの性能も選び放題になりましたよね。だから、サーキットで評判の良いタイヤを組み合わせています。リーズナブルな価格でも、グリップ感は良いですね」

機能面だけではなく、86を販売していた北米ブランドの“サイオン”エンブレムに交換するなど細部にもこだわりが詰まっている。
「購入してすぐにエンブレムを交換したんですが、あの頃はけっこう流行っていましたよね。今ではあまり見ることがないエンブレムになってしまったので、逆に新鮮かもしれません」
新車から乗り続けているからこそ、愛車と歩んできた歴史を物語るパーツと言えるだろう。

こうして仕上げた現在の愛車には一切の不満がなく、自己採点では100点満点。長く乗り続けても飽きることがない、絶妙なパッケージングになったという。

そして、そんなヨッシーさんの86ライフで、欠かすことができないのが奥さんの存在である。購入を了承してくれたのはもちろん、サーキット走行からカスタマイズまで、ヨッシーさんが気兼ねなく愛車ライフを楽しめるのは奥さんの理解があってこそというわけだ。

「86は僕自身の楽しみでもあるんですが、実は妻も興味を持ってくれたようです。もともとMT車の運転免許を持っていたので、試しに運転してみるか聞いてみたんです。そしたら『運転できるようになりたい』って言ってくれたのは嬉しかったですね。今はまだ、ギヤチェンジに慣れるための練習をしている最中ですが、共通の趣味ができたという感じですね」

ちなみに、奥さんの愛車はトヨタ・カローラクロス。それまでファミリーカーとして乗っていたエスクァイアから乗り換え、トヨタエンブレムやホイール、マッドフラップなどを交換するなどカスタムも楽しんでいる様子だ。

「カローラクロスのエンブレムは、トヨタマークではなくカローラ専用のものなんです。けれど、ここは他車種用のトヨタマークに変更して、赤いラインを入れたりしてドレスアップを楽しんでいます。そんな感じで、カローラクロスのカスタマイズも楽しいのですが、ヤッパリいつかは86に乗れるようになりたいですね。今はそれが目標になっているんですよ」と奥さま。

「たまに走りに行くサーキットが、熊本県のオートポリスなので、妻と2人でのドライブにはちょうど良い距離なんですよ。ただ、カローラクロスは、万が一のトラブル時に帰るためのサポートカーという役割にしているので、サーキット走行に出かける際もカローラクロスが必要になっているんです。なので、2人で86に乗って行くのではなく、自分が86、妻がカローラクロスという2台体制でツーリングという、ちょっと変わったドライブになっちゃっています。が、妻はそれも楽しんでくれている…のかな?」

気持ち良く走るためのスポーツカーと、家族で快適に出かけられるファミリーカー。それぞれキャラクターが異なる2台が合わされば最高のカーライフが満喫できる。もちろん、旦那さんひとりの趣味としてではなく、奥さんもその楽しさを共有できるなら、これ以上幸せなことはない。

MT車の練習中の奥さんが、やがて86で走る喜びを覚えてしまったら…もしかすると、ドライバーとサポーターの立場が入れ替わることだって考えられる。そんなこんなでヨッシーさんご夫妻と、86のある生活は、まだまだ楽しみが広がっていくことに間違いはないだろう。

(文: 渡辺大輔 / 撮影: 西野キヨシ)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:宮崎県林業技術センター/森の科学館(宮崎県東臼杵郡美郷町西郷田代1561-1)

[GAZOO編集部]