快適に長距離移動しつつサウンドを愉しむことができる最適解マークXとの出会い
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トヨタ・マークX(GRX130型)
クルマとの付き合い方において、自然と『音』が関わっていると語る『ヒロ』さん。オーディオから奏でられる音楽はもちろんだが、エンジンから発せられる微妙な音やタイヤとアスファルトの接点から伝わってくるロードノイズにも耳を傾け、クルマと対話する時間を楽しんでいる。
ヒロさんの愛車は、2代目となるトヨタ・マークX(GRX130型)。2.5リッターのV6直噴エンジンを搭載する『250S』というグレードだ。2023年9月に中古で購入した際に3万6000kmだった走行距離は、既に6万3000kmにまで伸びている。
「納車されてからクルマでの移動がすっかり楽しくなってしまって、年間2万kmのペースで走っています。6気筒サウンドがとても心地よく、静かで乗り心地も良いです。高速が主体だと燃費もリッター15kmくらいは走りますし、思っていたよりは燃費が良かったというところにも惚れました(笑)」
ヒロさんが最初に手にした愛車は、お父さんから譲ってもらった100系のマークII。子供の頃から乗っていたクルマで、いつか自分で運転してみたいと心に願っていたクルマだった。お父さんと一緒にマークIIで出かける時は、いつも前を走るクルマの車名当てクイズに興じていたそうだ。
「そのマークIIは、僕が生まれた年に我が家にやって来たクルマだったんです。運転免許を取って、いざ自分で運転するようになると、6気筒のエンジン音やFRならではの後ろから押されるような加速感、セダンの形の美しさに、あらためて惚れ込みました。ただ、しばらく乗っているとオイル上がりで白煙を吐くようになって、その他の劣化も進んでいましたから、クルマごと買い替えるか、エンジンを載せ替えて乗り続けるかの二択を迫られました。それで手放す決心をしたんです」
そして、ヒロさんが『次に乗るならハイブリッドかな』と選んだのがトヨタのアクアだった。けれど、想像していた楽しさを見出すことができず、すぐに物足りなさを感じてしまうという結末に…。アクアは家族に譲ることにして、また新たに自分用のクルマを探し始めたそうだ。
「“やっぱり自分はセダンが好きだ”と、改めて実感しまして、マークIIの後継モデルであるマークXを選びました。最初は直噴エンジンはトラブルが出やすいのでは? と心配もあったんですが、そこはメンテナンスをこまめにするよう心掛ければ大丈夫だろうと。正直、マークIIに対しても、もっとメンテしてあげるべきだったという後悔がありましたから、今は定期的に油脂類を交換するのはもちろん、ちょっとしたトラブルの予兆も見逃すまいと気を配っています」
実は以前に自動車整備士をしていた経験もあるヒロさん。エンジンオイルの劣化具合も音で判断したり、低回転で登り坂を登っている時にエンジンから出る音を聞き分けて『これは何の音だろう?』と、クルマが自ら発信する微弱な情報を感知するよう心掛けている。現在は、近所のディーラーにいる主治医にメンテナンスを任せているそうだが、そのメカニックの方もヒロさんと似た考え方をしてくれるそうだ。
「いつも同じ人にお任せしていると、クルマの変調にもすぐ気が付いてもらえるので安心です」と、全幅の信頼を置いている。
ヒロさんにとっては、運転すること自体が趣味のひとつではあるが、もうひとつの大きな楽しみが音楽だ。聞けば、中学生から大学生まで吹奏楽部に所属し、オーケストラでホルンを担当。音楽好きのお母さんの影響もあって、クラシックはもちろん、洋楽や邦楽などジャンルを問わず様々な音楽を聴いているという。
ヒロさんへのインタビューを始めてからずっと、聴覚で感じ取ったことに関するコメントが多いなと思っていたのだが、なるほど、ここで合点がいった。ホルンは“世界で最も演奏が難しい楽器”としてギネスブックに認定(金管楽器がホルン、木管楽器がオーボエ)されており、経験者であるヒロさんに聞いてみても実際に難しいのだという。ベルの中に右手を突っ込んでいるイメージが強いが、あれは手の形や塞ぎ方で音の高さや音色を変えているのだそうだ。
「言われてみると、確かに音には敏感な方かもしれませんね(笑)」と、はにかんだヒロさん。さぞかしオーディオにもこだわりがあるのだろうと聞いてみたら、意外にもシステム自体は純正のままだという。
「マークXは、純正のオーディオとスピーカーでも意外と良い音を出してくれるんですよ。そこも納車されてみて気に入った点のひとつですね。ただ、より良い音質で楽しむために、ドアのデッドニングとタイヤハウスの静音処理はしました。そうすることで、今まで聞こえなかった音も聞こえるようになって満足しています」
良い音を追求するアプローチの仕方が、ハードウェアよりも先にデッドニングに向くところが、これまたヒロさんの職人気質をうかがわせる。
ちなみにデッドニングとは、ドアやタイヤハウスの内側に布状の制振材を貼り付け、共鳴などを抑えること。そうすることで周囲に生じる雑音を抑え、スピーカーから出る音がクリアになる効果が期待できるのだ。
「あと、やっぱりタイヤも静粛性の高い銘柄を選んで交換しました。その効果も大きいですね。僕は基本的には純正のスタイルを維持しながら乗りたいと思っています。けど、マフラーがもう少し良い音がしたらなぁとか、もう少し車高を下げたらカッコ良いだろうなとは思うのですが、結局は音楽を聴きやすいようにとか、下まわりを擦らないようにとかを考えると純正が一番。ホイールだけは変えてもいいかなと思いますが、それでもサイズは純正と同じサイズにしたいですね」
これまで自宅のある岡山県を起点に、東は群馬県の草津温泉、西は長崎県の稲佐山までドライブに出かけたと話すヒロさん。さすがは年間2万kmペースの行動範囲である。その道中ではもちろん音楽を楽しみながら、上質感を味わえるクルマならではの、優雅で気ままな旅行を満喫されている。
最近では、SNSにマークXの写真を投稿するようになると、いいねやコメントをもらえるのが楽しくて、やり甲斐にもなっているそうだ。ミーティングに参加するようになると同じセダン好きの友達が増え、お互いのクルマの写真を撮ったり、情報交換するようになったともいう。
「今年は静岡でマークXの大きなミーティングが開催される予定なので、そちらにも参加してみたいと思っています。マークXに乗るようになって縁が広がったり、これまで行ったことがなかったところに出かけてみたり、大切な思い出がたくさんできました」
25歳という年齢には、やや渋い選択かとも思えたマークXだが、どっこいクルマの基本形であるセダンは意外とヒロさんと同年代の若者にもウケがいいようだ。それは年齢というよりは、流行りを追うことより本質を重視するかどうかという、価値観の問題なのかもしれない。
「今はSUVタイプのクルマが全盛ですけど、ボディが大きいと風切り音も大きくなりますし、そういう意味でもやっぱりセダンって良いなって思いますね。クルマと音楽、そして旅行が趣味の僕にとって、マークXは一台ですべてを賄ってくれる最高の相棒なんだと思います」
幼少期にマークIIで味わった原体験を追って、今ではこれぞ自分の相棒と呼べる愛車に出会うことができたヒロさん。前途洋々たる若者に寄り添うマークXは、これからもご機嫌なサウンドを奏で続けてくれるに違いない。
(文: 小林秀雄 / 撮影: 平野 陽)
※許可を得て取材を行っています
取材場所:倉敷スポーツ公園(岡山県倉敷市中庄3250-1)
[GAZOO編集部]
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