【素敵なカーライフレシピ #8】10代目で巡り合った理想の愛車は、MT限定のFIAT PANDA 4×4

オーナーの味付け次第で変わるクルマのある暮らし。ひとりひとりの人生を豊かにするレシピは十人十色です。こちらでは皆さんがどんな調理法でクルマとの生活を楽しんでいるのかご紹介します。

第8回目に登場していただくのは、カメラマンとして活動する傍ら、ワインバーのオーナーとしての顔も持つKenpoさん。愛車のFIAT PANDA 4×4を相棒に、都内から山梨まで忙しく飛び回るライフスタイルを、ほんの少しのぞき見。
そこには父との大切な思い出を胸に、ブレないこだわりでカーライフを楽しむ姿がありました。

Kenpoさんが免許を取ったのは20歳のとき。小さいときからクルマ好きのお父さんとよくドライブに出かけ、助手席で楽しそうにクルマを走らせるお父さんの姿を見るのが大好きだったといいます。

「クルマ好きな父は、かつて日産・グロリアY30やスカイライン(通称ハコスカ)を好んで乗り継いでいました。そんな父とのドライブは、僕が免許を取るまで続き、長い間助手席は僕の指定席でしたね。クルマもそうですが父は写真を撮るのも好きで、僕は父のそんな趣味を全部受け継いだ感じです。クルマの中で男同士語り合ったのも今ではいい思い出。父も現在94歳になり、すでにドライバーは卒業しています」

Kenpoさんが免許を取って1台目に選んだのは「いすゞ アスカ イルムシャ―」。
お父さんのように運転を楽しみたいとMTにこだわり、その後もマツダ・ユーノスロードスター、ホンダ・シビックTYPE R UK、トヨタ・アルテッツァなど、主にスポーツタイプのMT車を乗りこなしてきました。

深みのあるグリーンは洗練された印象。ステアリングはパンダの顔をイメージしているとか

そこかしこにPANDAのロゴを発見。さりげないアピールに愛を感じます。給油口はノズルを差し込むと開く仕様

「クルマ選びはほとんどインスピレーション。その時ビビッときたら決まりです。と言っても仕事で乗ることが多いため、コンパクトでありながら荷物がたくさん積めるというのが大前提。走りはもちろんですが、使い勝手の良さを優先します」

現在までに10台のクルマを乗り継いできたKenpoさんですが、なかでも一番のお気に入りがパンダ。
「ちょうどクルマを探していたところで、たまたま見ていたWeb広告に“MT限定車PANDA 4×4”が掲載されていたんです。すぐさまHPで確認してディーラーに向かいましたが、時すでに遅し。がっかりして帰宅したら、翌日担当者から連絡があり、長野県に1台在庫発見とのことで、見もしないでそのまますぐに契約しちゃいました。僕としては初のクロカンで、2気筒ツインエアーの鼓動にもやられましたね」

フリーカメラマンとして活動しているKenpoさんにとって、クロカン仕様は安心材料のひとつ。というのも、仕事が入れば雨の日も雪の日も現場に向かわなくてはいけません。クルマが出せないから向かえないというのはあり得ないこと。足回りの強い4×4は頼りになりますが、念には念を入れて、現在はオールシーズンタイヤを装着しているそうです。

「この前に乗っていたのがVW・ルポGTi。とても気に入っていたんですが、タイヤサイズが特殊で、ノーマルタイヤさえ手に入りにくくなり、ましてやスタッドレスなんて皆無。泣く泣く手放すことになり、足まわりの大切さを痛感しましたね」

相棒として大活躍のPANDAですが、その年間走行距離は1万5千キロにも! というのも、長年の夢を叶えてオープンさせた“葡萄酒バー”の仕入れのため、月平均2回程度東京⇔山梨間を往復しているからです。

  • お店は大きな看板もなく、営業時間も不定期。インスタグラムで事前に確認を。お店では珍しい無濾過のオリジナル甲州葡萄酒を味わうことができます

「本当は喫茶店のオヤジを目指すつもりが葡萄酒バーとは。父も私もワイン好きで、ドライブがてら山梨のワイナリーにも随分通いました。そこで出会ったのが“一升瓶ワイン”です」

「山梨や長野などのブドウの産地では、昔農家の方が規格外のブドウを使い、共同醸造場で作った葡萄酒を一升瓶に詰めて晩酌用として飲んでいたそうです。当時はまだワインが“葡萄酒”と呼ばれていた時代のこと」

「最近では一般にも流通しているものも増えましたが、まだまだ認知度は低め。味はフルーティで気軽に飲めるタイプが主流で、もっと多くの人に知って欲しくてうちの店ではワインでなく、あえて葡萄酒として出しています」

  • お店で提供される葡萄酒は“一升瓶ワイン”と呼ばれるもの。産地から直接仕入れているそうです

現在お店で扱っている葡萄酒のなかでも、一番のおすすめは“無濾過”のもの。一般的なワインは濾過されたものですが、無濾過は品質を保つのが難しくてほとんど流通してないそうです。Kenpoさんは自らおいしい状態を保ってお店で出せる量だけを仕入れています。
「PANDAはリアシートを倒せば、一升瓶葡萄酒が40本以上楽勝で積み込めるんですよ」

Kenpoさんのお店(Instagramで #久我山の旧道 と検索してみてください)は、住宅街の中にひっそりと佇む小さな隠家。
カメラマンの仕事を続けながらの営業は不定期で、常連さんはインスタで開店を確認してから向かうのが暗黙のルール。お店でしか飲めない無濾過ワインを始め、Kenpoさんがその日の気分で作るおつまみも人気です。

「正直言って最初はどうなることかと思ったけど、気づいたらもう4年目。それもこれも常連のお客様のお陰です。このままあまり欲を出さず、マイペースで続けることが目標です。でもクルマはね、どうしてもMTにこだわりたいんです。だからクラッチが踏めなくなったそのときは、免許を返納するタイミングなのかと思ってます」

カメラマンの仕事もバーの仕事も、すべては縁があってできたこと。これからもそんな縁を大切にし、自分なりにカーライフを楽しみたいというKenpoさん。隠家にお邪魔する際はぜひ電車で!

 

(取材・文: 土屋みき子(officetama,Inc.) / 写真: 村上悦子)

[ガズー編集部]

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