速いだけがスポーツカーじゃない。AE86に乗り、始まった第2の人生

頭文字Dが大流行し、スポーツカーに乗っている友達が多く、昔からクルマが身近な存在だったという「愛さん」。

初めてのバイトは、免許を持っていなくともクルマを間近で見られる、ガソリンを入れるだけとはいえども触れられる、とのことでガソリンスタンドで始めたという。

しかし、そんな愛さんが免許を取ったのは、それから何十年後のこと。一体なぜ?

今回は、愛さん×AE86のお話をお届けします。

――免許を取ったのは何歳だったんですか?

30歳を過ぎてから取りました。多分……、というか、かなり?遅い方ですよね……(笑)。

でも、クルマは昔から好きだったんですよ!
私が20歳くらいの頃に、頭文字Dという漫画やアニメが流行ったんですけど、作中に登場する“藤原拓海くん”の運転の仕方がすごくカッコよくて、良いなぁ!素敵だなあって憧れていました。

峠を攻めているAE86の姿は、痺れるくらいカッコイイんですから!頭文字Dの影響なのかは分かりませんが、当時は街中でAE86をよく見かけたなぁ。

―だから、AE86を愛車に迎え入れたんですね。

そうです。ただ、本当はもう少し早く免許を取って、カーライフを満喫するつもりだったんですけどね。仕事が忙しくて、タイミングを逃しちゃったんです。

朝早く家を出て、夜9時くらいまで働いて、いつも疲れていて。だから、休日の日に免許を取りに行く気力が残ってなかったんですよ。少しでも寝ていたいい~みたいな。

そんな日々を送っていたけど、少し落ち着いたので、免許を取りに自動車教習所に通いました。

――スポーツカーに乗るために、免許を取ろうと思ったのですか?

ん~。というよりは、バス通勤と電車通勤にうんざりしていたんです。身動きが取れないくらいぎゅうぎゅうの、朝のあの移動を少しでも楽にしたい!という気持ちが大きかったです。

で、オートマ限定で免許を取って、フリードに乗りました。

――そこから、スポーツカーに乗りたいと思うようになった心境の変化はなんですか?

単純な理由で、走行距離を重ねていくと、運転の楽しさに気付いたんです。あっ、そういえば私って、スポーツカーに乗りたかったんだ。仕事が忙しすぎて忘れていたけど、クルマ好きだったじゃん!みたいな(笑)。

そこから、すぐに“オートマ限定免許”を解除しに行きました。

――それが今や、AE86、34GT-R、シルエイティと3台のMT車を乗りこなすMT女子とは驚きです!

MTの面白さを知ってしまったんですよねぇ。もはや、MT車しか乗りたくなくなってしまいました(笑)。

とか言ってますけど……、初めてMT車に乗った時は、めちゃくちゃ怖かったですけどね。今はどうなっているかは分からないのですが、私の時は、オートマ限定解除って学校内で4時間走って取れたんですよ。

――4時間で取れるんですね!もっと、何ヶ月も通うのかと思っていました。

意外に短くて、初めはラッキー♪とか思っていたんですけど、その後が大変で……。いきなりポーンっと公道に出されるから、で、この後どうすれば?という感じになりました(笑)。

家から峠が近くにあったので、とりあえず、坂道発進の練習を泣きながらしましたね。
私って、いったいどれだけエンストすれば気が済むの?と思いながら……。

――初めてMTを運転したクルマは何だったのですか?

GT-Rです。いやぁ~、なかなかスリリングでしたよ(笑)。
だけど、GT-Rは車体の大きさはあるとはいえども、電子制御とか付いているし、安全に走れるサポートはしてくれるから少しは安心だったかな。
乗り心地も良いし、加速もスムーズで速いですし。

その点、AE86はオーナーにそんなに優しくないです。だ・け・ど、そこが楽しいんですよ♡

――と、いいますと?

今時の機能は付いていないし、GT-Rに乗り慣れていたということもあって、アクセルをベタ踏みしてもぶっちゃけ遅い(笑)!

ですが、高回転型エンジンならではの魅力があって、4000回転くらいからがすごく楽しいんです。パーン、パーーーーンという甲高い音を出しながら、ゆっくりだけど気持ちよく加速してくれるんです。

シフト変えると、1速1速の鼓動が伝わってくるっていうんですかね。オーナーの腕が試されるような難しいクルマで、噛めば噛むほど、味が出てくるクルマだなとつくづく思います。

私は初めて運転した時に、思わず笑ってしまいました!ほんと、それくらい楽しいんですよ!

――ううう!乗ってみたいです~!

ぜひ、乗って欲しいです!AE86には、乗った人にしか分からない楽しさがあると思います。私は、このAE86に乗って“速く走る”というだけがスポーツカーじゃないと気付かされました。

例えば、群馬県に5時間くらいかけて行ったんですけど、車内はジュースを飲んでてもこぼれるくらいの振動で……。
水分補給は信号待ちの時……
え?じゃあ高速どうする?みたいなね(笑)。

だけど、なんかそれも面白くて。そういうのも魅力なんですよ。

――新境地に辿り着いたわけですね!

あはは(笑)。そうそう!そんな感じ!私の個体は中古で購入して、現在33万3900kmほど走っているんですけど、元気で動いてくれています。

エンジンにはとくに手を加えていないんですけど、このノーマルのまま乗っていこうかなと思っています。なぜって、答えはとても簡単で。“速い”ことにこだわるよりも“ありのままのAE86”を堪能していたいからです♡
※一部カスタムされていますが、構造変更済みとのことです。

うふふっ♪と笑う愛さんがとても幸せそうで、聞いているこっちまでホッコリした気持ちになってきます。

「クルマに乗って、第2の人生が始まった気がします」という言葉に、生き生きとした光を感じました。

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(文:矢田部明子)

「GAZOO編集部」

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