キッカケはマイアミ・バイス。FR の文化に憧れたオーナーが、愛車として迎え入れたNDロードスター
今回の取材対象者である「三沢さん」が、ロードスターを愛車として迎え入れたのは、30年以上ドはまりしている“マイアミ・バイス”というドラマがキッカケだったそうです。
主人公が乗っていた“フェラーリ 365GTB/4 デイトナ・スパイダー”に憧れ、いつかは乗ってみたいと思っていた矢先に、デイトナを小型化したようなロードスターが発表されたのだとか。
今回は、三沢さん×ロードスターのお話をお届けします。
――三沢さんの言う通り、フェラーリ 365GTB/4 デイトナ・スパイダーとロードスターって似てるかもしれないですね!
そうなんです。ロングノーズでオープンカーで、なんとなくデイトナを小型化した感じがするでしょ?見れば見るほど、とても美しいクルマだなと感じます。
――とくに、どういうところを見て美しいと感じますか?
外装だと、斜め後ろから見たときのボディーの抑揚ですね。お尻がプリっとしていて、セクシーだなって思います(笑)。
ボディーカラーが“セラミックメタリック”といって、白でもなくシルバーでもなく陶器のような色をしているので余計にそう感じると言いますか。内装は、アナログメーターや、ステアリングが細めでエレガントなところが気に入っています。
それと、FR であることも重要なポイントなんですよ。
――と、いいますと?
先ほどお話した、デイトナもFR なんです。
――あぁ!主人公が乗っていたというクルマですね!
そうそう。それがキッカケで乗りたいと思ったわけですが、“FR でNAエンジンでマニュアル”なんて世界的にみても珍しいし、運転してからさらに好きになりました。
素直に走るというか、意のままに走ってくれるんですよね。もう少しパワーがあってもいいかな……と思うこともあるけど、それだと軽さが無くなってロードスターらしくなくなっちゃうからなぁ……。
――三沢さんは、今までスポーツカーに乗ったことはあったのですか?
父がクルマ好きでしたし、マニュアルのスポーツタイプには沢山乗ってきました。シビックSi、プレリュードSi-VTEC、ストリームアブソルート2.0など、とくにホンダ車が多かったですね。
というのも、僕が若いときはF1ブームでね。よく友達に、ホンダのF1のエンジンヘッドカバーと、シビックのヘッドカバーは同じなんだぜっ!って自慢してましたよ。
高速でポルシェが来ても、俺のV-TEC エンジンが1番だと思ってましたから(笑)。いろいろなところに走りに行っていましたが、年齢を重ねるにつれ、速さだけにとらわれずにスポーツカーだからこその楽しさが分かるようになりました。
――スポーツカーの楽しさって、例えばどんなことですか?
僕の場合は、シチュエーションを楽しむという使い方が出来るようになったことかな。
アメリカの西海岸やクラシックカーを題材に描く、鈴木英人さんというイラストレーターさんがいるんですけど、若い頃にその世界観に憧れてね。海沿いをオープンで走っていると、なんか今、イラストのようなことをしている……と浸れるんです(笑)。
シティ・ポップをかけると、さらに“っぽく”なりますよ。で、僕はここに、サングラスをかけるんです。
――おおっ!サングラスをかけるとどうなるんですか!?
シンガーソングライターの杉山清貴さんに似ているんです。
――……。ん?
“君のハートはマリンブルー”や“さよならのオーシャン”など、海沿いを走るにはピッタリの曲を歌っているんですよ。だから、それを聴きながらなりきる(笑)!
――その気持ち分かります!私も安室奈美恵さんで同じことをしました!でも、夏はオープンにすると暑いからオープン期間が限られちゃいますね。
いやいや、せっかく購入したんだから、夏もオープンにしなくちゃもったいないです。通勤にも使っているんですけど、天気が良ければ暑くても開けちゃってます。仕事場まで片道30分くらいかな?汗びっしょりですよ(笑)。
――汗をかくスポーツカーの楽しみ方♪素敵です。
それでいくと、娘とのドライブもそうかな。娘はいわゆる歴女というやつで、岐阜の関ヶ原に行ったり、一緒にロードスターで史跡巡りをするんですよ。
高校3年生で、歴史関係の大学に進みたいとのことなので趣味と実績をかねてドライブしてます。これが何よりの楽しみで、受験が終わったら厳島神社や壇之浦に行くつもりです。
ちなみに、高校1年生の息子は絶賛反抗期で家に帰ってきやしませんよ(笑)。
――大丈夫です。私もそうでしたが、反抗期はいずれ終わります。ちなみに、今後のカーライフの目標はありますか?
自分がくたばるかロードスターがくたばるかまでこのロードスターを乗り倒したいというのと、S800を手に入れるという夢があります。そう思うようになったのは、“グレースの履歴”という小説を読んだからなんです。
これがすごく良くてね。主人公の奥さんがS800に乗っていたんだけど、事故で亡くなってしまうんです。それで、残されたカーナビの履歴を辿るという内容なんですけど……。
作中に昔のモータースポーツ活動が描かれていたり、クルマが上手い感じで脇役に使われていて面白くてハマっちゃったし、主人公の奥さんのクルマに乗ってみたいと思うようになってしまいました。
――マイアミ・バイスやグレースの履歴など、映画や小説が好きなんですね。
はい。例えば、僕がこの先クルマに乗れなくなったとしても、クルマに関する本を読んだり、映画は見続けていると思います。今も1980年代の廃刊になった雑誌を、何気ないときにパラパラめくることもあります。
それは、雑誌に載っているクルマだけじゃなくて、当時の広告を見るためです。昔のファッションだったり、髪型だったり。当時の風俗が分かるというのが面白いんです。この先僕は、ずっと何かしらはクルマに関することをしていると思います。
クルマの話になると、電話の向こうで幸せそうな声でお話しいただいた三沢さん。愛車のみならず、文化としてもクルマを楽しむ姿勢がとても印象的でした。
(文:矢田部明子)
[GAZOO編集部]
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