18年間の片思い。運命の出会いを果たしたスカイラインGTS-Rとの恋
17歳のときに、なんとなくカー雑誌を開くと“全国限定800台 スカイラインGTS-R”の文字が飛び込んできたという「池嶋さん」。
その見出しにつられてページをめくると、排気量2ℓ、210馬力を誇る“RB20DET-Rエンジン”の写真が大きく掲載されていたのだとか。それを見て、いつかこのクルマに乗ってみたいと思うようになったそうです。
今回は、池嶋さん × スカイラインGTS-Rのお話をお届けします。
――長い片思いでしたね。
ええ、本当にその通りです。一目惚れしたのが17歳の時で、手元に来てくれたのが35歳の時だったから、計算すると……。うん、かなり長かったですね(笑)。
本当はすぐにでも購入したかったのですが、高校生の僕には到底無理でね。じゃあ、社会人になってから乗ろう!と思ったのですが、限定800台ということもあってお店に売ってるわけがなかったんです。
街を走っていると声をかけられることがあるんですけど、「そのスカイライン!全国で抽選販売だったんだけど、クジで外れたんだよ」という方もいらっしゃいました。
なんでも、購入者が殺到したらしいです。生産台数が少ないから、中古車市場でもなかなか見つからなかったんですよ。
――じゃあ、出会えたのは運命かもですね!
それも本当にその通りです。乗りたいな~とはずっと思っていたんですけど、球数も少ないし、見つからないよなと半分諦めていたんです。スパッと諦めればいいのに、やっぱり好きだから頭の片隅にずっと残っているんですよ。
そんな感じで毎日を過ごしていたんですけど、ある時ふと検索をかけてみようかなと思い立った時がありまして。そうすると見事にヒットして、住んでいる場所から近い九州で販売されていたんです。
これは買うしかない!ってドキドキしたのを今でも覚えていますね。
――実際に見た時はどう思いましたか?
感無量でしたね。17歳の時、雑誌を見て、いつかこのエンジンを動かすことが出来たらいいなと思ったあの時の情景が頭の中に浮かびました。
ボンネットを開けると迫力のあるエキゾーストマニフォールドがあって、もう言葉じゃ言い表せないほど嬉しかったです。
角張っていてノーズが長いから、横から見た時にスマートに見えるんですけど、それにまた心打たれてね。見れば見るほど、やっぱり良いクルマでした。他にも、スカイラインGTS-Rならではの気に入ったところがたくさんあります。
――例えば、どんなところですか?
外装でいくと、フロントやトランクに付いたスポイラーですね。この部分は、個人的にGTS-Rっぽいなと思うんです。内装でいくと、φ365イタルボランテ製本革巻きステアリングホイールやモノフォルムバケットシートです。
このクルマに乗らなければ付いていない装備だから、乗る度に所有欲が満たされるといいますか。
運転している時に良いなと感じるのは、大型スピードメーターかなぁ。あとは、リアにある“GTS-R”のエンブレムもかっこいいんですよ。それと……。
――分かりました!もう、全部好きということで!
そうなんです!すみません……、ついつい。
――好きという気持ちはとても伝わりました♪走りはどうだったのですか?
最近オートポリスでサーキットデビューをして感じたのが、このクルマはスピードを出してこそだなということです。
街乗りだと、信号待ちをしていて青になっても軽自動車の方が先に行くくらいなんですけど、サーキットでのGTS-Rは一味違うんですよ。
ターボが効き始める4500回転を超えた辺りから、シートにグッと押し付けられるような加速を見せてくれるし、その時にタコメーターなどのメーター類を見ると、針が一気に跳ね上がっていて。
スピードを出して走っている!ということを体感させてくれます。
さらに5000回転まで回すと、「パァーン、パァーーーーン」というレーシングカーのような音を鳴らすんですけど、あの音の良さといったら……! また、直ぐにでもオートポリスに行きたいくらいです(笑)。
今まで本領発揮させてあげられなくてごめんねって、なんだか申し訳ない気持ちになるくらい変わるんです。
――そんなに変わるんですね!?
僕も、正直ここまで変わるとは思っていませんでした。この急加速を体験したら、GTS-Rの魅力からはなかなか逃れられないと思います。
このクルマって、グループAというレースで勝つために作られた競技車両なんです。カタログに“高速回転では後続車の追尾を許さない”というふうに書いてあったんですけど、本当にそうだったんだろうなと納得しました。
当然、最新のスポーツカーからしたら遅いと思いますが、販売された当時からしたら、相当速かったと思います。だから、もっともっと走らせてあげようと思うんです。
――楽しみですね!
はい。でも、走らなくても好きは好きなんですけどね。長年片思いしていたというだけあって、乗っているだけで幸せなんです。
例えば、故障などでサーキットを走るのは無理というようになっても、ずっと好きなままなんですよ。なんなら、側にいてくれるだけで良いみたいなね。まさに、惚れた弱みってやつです(笑)。
そう優しい声で笑いながら話してくれた池嶋さん。今後は、メンテナンスをしつつ死ぬまで乗りたいと話してくれました。
愛車として迎え入れて10年ということですが、スカイラインGTS-Rの魅力はまだまだある気がするとのことでした。
(矢田部明子)
[GAZOO編集部]
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