廃車にしたフェアレディZのパーツを倉庫に保管し続けて15年。また走り出した僕の大好きなクルマ
家族のためにクルマを買い替えた、維持が出来なくなった、違うクルマに乗りたくなった……etc……。何らかの理由により、好きなクルマを手放してしまったという人は少なからずいるはずです。
今回取材する「ももさん」もその1人で、自損事故により廃車にしてしまったとこのと。また走れる日が来るといいなと思いながら、気づけば15年の月日が流れていたそうです。
今回は、ももさん×フェアレディZ(Z32型)のお話をお届けします。
――再びZ32に乗ることが出来たとは、どういうことですか?
17年前にZ32に乗っていたんですけど、自損事故で廃車にしてしまったんです。それで、それ以降は乗っていなかったんですけど、2年前に、またハンドルを握るようになったという感じですね。
――なるほど!乗るようになったキッカケは何ですか?
Z32に乗る前はアルファロメオに乗っていたんですけど、その時にとあるカークラブに入ったんです。そこで、「Z32・マニュアル・ツインターボに乗ってて、また乗ってみたいんですよねぇ~」という話をしたら、「オートマでノンターボだけど、Z32はあるよ!どうかな?」と言われて、即購入しました。
――マニュアル・ツインターボじゃなくてもよかったのですか?
できれば全て同じが良かったというのが本音ですが……、走行性能うんぬんよりも、Z32の外観が好きという方が大きかったんですよ。
従来のZの形であるロングノーズ、ショートデッキではなく、ワイド&ローというシンプルなスポーツカーな見た目が昔から好きでね。
最近のクルマみたいに深いエッジが立っていたり、複雑な構造をしたパーツが付けられているわけじゃないけど、シンプルであることがZ32の美しさだと思うんです。
歴代のZは、それぞれの良さがあるのですが、僕の中でパッと見て分かるデザインは、32だなと思っているんです。う~ん、上手く言えないけど、Zの中でも異端児な感じがするというか。
あっ!でもこれは、良い意味でですよ!あくまで僕の意見だから、そう思わない方もいらっしゃいますからね♪
――確かに!ところで、デザインの他に気に入っている所はありますか?
バブル真っ只中に発売されたクルマということもあって、お金をかけて作られていると感じる箇所ですかね。
例えば、Z32専用エンジンやアンテナです。オーディオのスイッチをオンにして、Keyを捻ってアクセサリーにすると、アンテナが自動で伸びるようになっているんです。それで、Keyをオフにすると、勝手に収納されます。
今じゃ考えられないかもしれないけど、この時代のクルマって、ラジオを聞くときにアンテナを手で引っ張り出すというのが主流だったんです。こういう機能が付いているクルマって贅沢だったから、バブルを感じるなぁ~と。
――当時のフェアレディZって、どういう位置づけのクルマだったんですか?
確か新車価格が400万円ちょっとで、お金持ちが乗るクルマでした。ちなみに、今でいう400万円と、当時の400万円は価値が違いますよ!
ん~そうだな~。現代だと、スープラクラスのクルマを購入するみたいなイメージを持ってもらうと分かりやすいかもしれません。街中やディーラーで見かけて、僕も乗ってみたいと憧れはするものの手は出せず……という感じでしたね。
だけどそれから月日が経つと、中古車市場で100万円を切る値段で販売されるようになったんです。
――それで、購入したというわけですね!
そうそう!即購入(笑)!
まぁでも……、さっき話した通り以前乗っていたクルマは廃車にしちゃったんだけどね。でも、もう1度乗ろうと思っていたから、パーツを外して実家の倉庫にしまっておいたんです。
コンピューターとか、300km/hメーターとか、エアロパーツとかね。自分でクルマいじりをするのも好きですから。
――以前乗っていたのと今乗っているZ32は、どんなカスタムをしていたのですか?
廃車にしたZ32は、サスショックを交換してローダウンさせていました。なんだけどね……、日常的に運転しようとなると段差に気を使わなくちゃいけないから、今乗っているZ32はノーマル車高にしています(笑)。
若い時はオシャレ優先だったけど、年齢を重ねて実用性を優先するようになってしまいました……(笑)。
トランクに穴を開けて、他車種のリアウイングを固定して取り付けるなどの社外流用加工取付もしてたなぁ~。純正パーツがないなら!の精神ですね。その際、自己流なんですけど、エアロ塗装を自分でしたりなんかしてましたね。
今乗っているのは、ほぼノーマルです。
――そういうノウハウは、どこで学ぶんですか?
クルマ関係の仕事をしているとか、そういった勉強をしたわけじゃないから、完全に独学なんです。失敗しながら自分でいじってみて、こうやったら上手くいっただとか、これだと失敗するのかとか、それで経験値と知識を増やしていく感じですね。だから、見る人が見たら間違っていると言われちゃうかも。
でも、手探りなのって楽しいですよ♪ いけるんじゃないか!? と思ってやってみたカスタムが上手くいった時は嬉しいですしね。
――それって、どんなカスタムですか?
Z34に関する話じゃないんですけど、JA4型のホンダ・トゥデイに乗っていた時期があったんです。たまたま同メーカーのホンダライフのエアロを手に入れたので、トゥデイに付けてみようと閃いたんです。
というのも、シャーシが同じだし、少し加工したらいけるんじゃないかなって。そしたら、見事にジャストフィット!どんな参考書にも載っていないことを見つけたんじゃないかと、胸がドキドキしましたね。
そう楽しそうな声でいろいろと思い出を教えてくれたももさん。
「きっとまた乗りたくなるから、もう手放しません」と話してくれました。
これからカスタムしていくのか、しないのか、そこも気になるところですね。
(文:矢田部明子)
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