愛車はセリカXX。「よろしくメカドック」に憧れ、ディーラー整備士からショップオーナーに

  • トヨタ・セリカXX

もともとはディーラーに勤務し、メカニックとして働いていたという「城戸さん」。青春時代はクルマ漬けの日々を過ごし、大人になってからもクルマと関わる時間を過ごしていると話してくれました。

そんな城戸さんは、1年半前に自分が理想とするショップを立ち上げたとのこと。果たして、城戸さんの言う理想とは何なのでしょうか?

今回は、城戸さん×セリカXXのお話をお届けします。

――なぜ、自分のショップを持ちたいと思ったのですか?

  • トヨタ・セリカXXのフロントビュー

実は私は、某ディーラーでメカニックとして長年働いていたんです。自分の好きなクルマの仕事に携われて楽しくはあったのですが、点検車検に追われてじっくりとクルマを調べられないことに疑問を感じていました。

1人1人のお客さまにかけられる時間が決まっているから、ココが気になるから見てほしいと言われた箇所にたっぷりと時間を取れないんですよ。

誤解しないで欲しいのは、決して適当に整備をしているのではなく、例えば何日、何週間、何ヶ月もかけて、どういった動きをしているのかを調べるということが難しいという意味です。

そう考えた時に、今私がしている整備が正しい整備なのか?と考えるようになりました。それで、じゃあ私がやりたい整備をすることが出来るショップを作ろう!と思ってお店の名前に「メカドック」をつけちゃいました。

――メカドック……?確か、そういうマンガがあったような。

  • トヨタ・セリカXXとショップのピット

そうそう!漫画もあるし、アニメ化もされていますよ。そして、ショップの名前はそこからきているんです。

ザックリとあらすじを説明すると、主人公がチューニングショップで働いていて、常連客のオーダーに応じて様々なチューニングを施すみたいな内容になっています。

私が主人公のように、お客さんのオーダーにしっかり応えたいという思いから、店の名前に「メカドック」というのを入れたかったんですよ。

あとは、よろしくメカドックは小さい頃から見ていた漫画だったので、もし店を持ったらこれにしようと子供の頃から決めていました(笑)。

――じゃあ、夢が叶ったわけですね。実際に自分のお店を持ってみてどうですか?

  • トヨタ・セリカXXの運転席

私のやりたかった整備が出来るようになったなと感じています。

ある時、R32のスカイラインGT-Rに乗っている方がショップに足を運んで下さったんですよ。聞くと、アイドリング時に1100回転から落ちなくて困っているというわけです。修理してもらおうとディーラーに持って行くと何故か調子が良くなって、なかなか原因究明出来ないから一度見てほしいと言われたんです。

それから何日間か車両をお借りして、不具合の根本をしっかりと見直し改善していきました。なんとか修理をしたら、すごく喜んで下さったんですよ。

こういったクルマに乗っている人って、すごくクルマを大事にされていらっしゃるから、修理すると本当に感謝して下さるんです。そういった意味でも前以上にやりがいを感じるようになりました。

――それは喜ばしいことですね。ちなみに、城戸さんのショップは修理がメインなのですか?

中古車販売もしていますよ!でも、主には「ネオクラ」と呼ばれている世代のクルマを整備しているんです。というのも、さっきお話しした よろしくメカドック に登場するクルマがそれくらいの年代に作られたクルマなんですよ。

――よろしくメカドック!すごく影響されてるじゃないですか!

いや、だってお店の名前にするくらいですよ(笑)?

  • トヨタ・セリカXXのサイドビュー

――あっ、確かにそうですね。

ちなみに、セリカXXは主人公が乗っているんですよ。本当は免許を取って初めてのクルマはこれがよかったんだけど、なかなか見つからなくて。お店オープンの記念に、念願のセリカを買っちゃいました。

でも、買ってよかったかな♪ネオクラと呼ばれるクルマがさらに好きになったから。

――どういうところが良いと思ったのですか?

リトラクタブルヘッドライトなどのその時代ならではの外観デザインや、内装のクオリティが高くシンプルなところが気に入っています。

現在、36万kmも走っているんですけど、オイルが減ったりするくらいで、普通に走れちゃうんですよ。そういうのを目の当たりにすると、古いクルマなのにすごいなぁって思います。

――ディーラー勤務時代は新型車を、今は旧車を触っているわけですが、どういうところが違うと思いますか?

  • トヨタ・セリカXXの前席

新型車はコンピューターで細かく制御されすぎていて、応用が効かないんです。例えば、純正ではない部品を取り付けると、コンピューターがそれを受け入れてくれなかったりしますから。

ただ、そうすることで誰が修理してもある程度のクオリティが保てるから、それが良さでもあります。

一方で、古いクルマは後付け部品を付けても、あっ!いけた!って何とかなるんですよ(笑)。そう考えると、機械的要素が多いのでカスタムにもオリジナリティを出せるというのが良いところなのかなと。

――なるほど。城戸さんは、どちらの方が好きなのですか?

ネオクラを中心に取り扱っていきたいとは言いましたが、クルマなら何でも好きです(笑)。古いクルマには古いクルマの、新しいクルマには新しいクルマの良さがあるから、どっちが良い悪いはないんですけどね。

ん~、みんな違って、みんな良いみたいな!だから、どんなクルマにも私しか出来ない整備をしていこうと思っています。

  • トヨタ・セリカXXのリヤビュー

今後も、お客さんとクルマが素敵なカーライフを楽しめるようにお手伝いをしていきたいと話してくれた城戸さん。きっと、今日も愛着いっぱいな整備をしていることでしょう。よろしく!城戸さん!!

(文:矢田部明子)