ランクルBJ41と41年。親子3代にわたって受け継ぐ理由
お父様はクロカン四駆が好きだった、と言うのは、ランクルBJ41に乗るオーナさん。昭和58年に迎え入れ、おおよそ41年が経ったということです。青年だった自分は大人になり、結婚し、子供が産まれ、環境は目まぐるしく変わり、オーナーであるお父さまは、先日天国へと旅立っていったと話してくれました。
今回は、ランクルBJ41オーナーさんのお話をお届けします。
――お父様は、どんな人だったのですか?
クロカン四駆が好きな人でした。ランクルの前は 軍用ジープ に乗っていて、いつも土臭くて逞しいクルマに乗っている、というイメージがあります。
ジープのオーナーズクラブに入っていた頃は、親父にひっついてよくキャンプに行ったなぁ。ランクルでは、富士スピードウェイの敷地内で行われる、四駆の祭典ジャパンフォーフォイラーズジャンボリー(通称JJ)に行ったのが1番の思い出ですね。肉の塊を串に刺して、焚き火でくるくる丸焼きにしてナイフで削ぎ取って食べる、というワイルドなやり方をした記憶が……(笑)。< /p>
かと思えば、クラシック音楽が好きで、ミーティングの様子をカメラで撮影して、BGMに流してビデオを作るということもするんです。なかなか、興味深い人でしたね。
――魅力的な人だったってことですね♪
ですね♪可愛らしいところもあって、ジープとランクルのカタログが家にあって、赤丸を入れてどっちを買おうか迷ってるのを見つけた時は、なんか少年のようだなぁと(笑)。結局、ランクルを選んでました。
――そこで、BJ41が家に来たわけですね。
はい。1983年から1989年までの6年間、大変お世話になりました。
――あれ?1989年までってことは、今乗っているBJ41とは違う個体ですか?
そうです。今乗っている白いのは、2代目になります。初代は青色でした。
――同じクルマを続けて2台とは、よっぽど好きだったんですね。
僕も親父も、満場一致で大好きでした!青島文化教材社というところが、ランクルBJ40のプラモデルを出していて、カッコいいクルマだなと手にとって初めて作ったプラモデルが、偶然にもBJ40だったんです。
まさか、そんなクルマが我が家に来るとは思ってもみなかったから、そりゃあ大喜びですよ!
――実際に乗ってみてどうだったのですか?
遅い!そして、遅くてすごく良い!昔のトラックって感じかな。
――あっ、そこは遅くて良いんですね(笑)。
何を言ってるんですか〜!これが、“らしさ”なんですよ。ガラガラ音を立てながらゆっくり加速していくなんてクルマ、滅多にいませんから(笑)。
なおかつ、ブレーキの効きが悪いのも素晴らしい!早めに踏むか、エンジンブレーキをかけながら止まらなくちゃいけないなど、走る道や季節など、状況に応じで走り方を変えてあげなくちゃいけない。
そういうコツのいるクルマなんですけど、これほど操って楽しいクルマはいないです。
――ブレーキの効きが悪いのは、怖いっ。
それでいくと、青いランクルから白いランクルに乗り換えたのは、ブレーキが原因です。白いランクルは、ドラムだったんですよ。
だから、水に濡れると効きが悪くなって、止まらないねぇ……なんてことがあったんです。それで、ディスクの白い個体にしたというのはありますね。乾かしながら走ったりしていたんですけど、それでもなかなか……。
――乾かしながらって、どういうことですか?
ポンピングしたり、ゴーストップゴーストップして、何とかするんです。
――それで何とかなるのですか?
ははは。うーん。まあね。
――なんとなく、察しました。
というか、1台目のランクルも踏まえると、34年間運転しているわけじゃないですか?そうするとね、それが普通というか、体に染み付いちゃってるんですよ。
その上で思うのは、1つ1つの動作の中に親父の面影が残っているなということです。例えば、下り坂のエンジンブレーキの掛け方、4速から3速に落とす時に回転数をあげて落とすクセ、2速から3速へのシフトアップのタイミング。
あぁ、これって親父っぽいなぁと思うことが多いです。初めて1人で運転したのが、新富士駅に親父を乗っけていった帰りだったんですけど、なんかその時に俺でも運転できるんだとジーンとしたのを覚えています。
――そのランクルを、今度は息子さんが受け継ぐんですね。
はい。息子が免許を取れる年齢になったんですけど、自分から乗りたいと言ったんです。なんというか、自分と親父が好きだったクルマに乗りたいと言ってくれると、やっぱ嬉しいですよねぇ。
息子も僕と同じで、決して最新鋭の機能が搭載されているとはいえないこのクルマが大好きなんです。乗り心地が良いとはいえない、いや、むしろ悪いのに、その揺れが落ち着くんですって。まぁ、当然ですよね。お腹の中にいる時から、ランクルに乗ってるんだから。
息子が受け継ぐと親父に言った時、すごく嬉しそうな顔をしていました。親子3代にわたって、大事に乗り継いでいこうと思います。
現在、息子さんのためにメンテナンス中だというランクル。仕上がり次第、そのハンドルを渡すと話してくれました。3代に渡って引き継がれるランクル。さて、その行く末は?
(文:矢田部明子)
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