「ホンダの思想に心動く」五感で楽しむホンダ・レジェンド(KA7)は人生の伴侶
現在61歳であるFeさんは、中学生の時に出会ったあるモノをきっかけに、大のホンダ好きになったという。これまで乗られてきたクルマは、シトロエン・2CV 375ccを始め、ホンダ・N360、スーパーシビック、プレリュード、トゥデイ、レジェンド、S600など、その数約20台、そのほとんどがホンダ車であるとのこと。
現在はトゥデイとレジェンドの2台でカーライフを楽しんでいると言うが、今回は1993年式のホンダ・レジェンド β(ベータ)E-KA7型にフォーカスを当て、お話を伺いました。
レジェンド×Feさんの物語です。
――ホンダのクルマを好きになったきっかけは何だったんですか?
中学生の時に、本田宗一郎さんの本を読み、その生き様に大変感動をしまして、それ以降、頭の中がホンダ一色になってしまったんです。
――どういった部分がFeさんの心を動かしたんでしょうか?
昭和の戦後という時代の中で「会社に自分たちの親族を入れないようにしよう」とか「会社は私物じゃない」っていう考え方を持っていたと書いてあるのを見て、世界にベクトルを向けている気がしたのと、単純にすごい考え方だなって思ったんですよね。
それと、ホンダが2輪から4輪に進出するため開発を進めていた頃、自動車メーカーの統廃合や、新規参入を制限しようという政策が示されたんですが、本田宗一郎さんは役所に乗り込んで、自由競争こそが産業を育てると主張して、撤回を迫ったんですよ。この人はなんて素晴らしい考えを持った人なんだと感銘を受けましたね。それ以外にも尊敬や共感する部分が多々あって、ホンダという会社が好きになり、それでホンダのクルマに乗ってみたいなって思ったんですよ。
――1番最初にシトロエンを選んだのはどういう理由だったんですか?
ホンダと一緒で、シトロエンも独自のことをやっていたんです。昔、家の近所にシトロエンの整備工場があったんですけど、シトロエンのDSを見た時、すごく感動したんですよ。あと、自分の中で、本田宗一郎さんの考え方とシトロエンの考え方が似てるなって思う部分があったんですよね。他の会社とは違う、独自のやり方を考えてるなっていうのに面白味を感じて、最初のマイカーに選んだんです。
――その後も、本田宗一郎さんの考えは、Feさんの人生に影響を与えたんですか?
そうですね。実は、今、会社の代表をやらせていただいているんですけど、以前から他の会社の社長さんとお話しする機会が結構あったんですよね。そこで、自分の考えプラス、本田宗一郎さんの言葉や考えをお借りして話したりしていたんです。
例えば、一般的にもよく言われていることかもしれませんが、「会社というのは、社員がいて、それに連なる家族がいて大勢の人たちが、会社の給料で飯を食っている。だから責任者の立場になったら、5年後10年後の会社の将来を考えなさい。」という考え方。それを飲み会とかで、しょっちゅう言っていたら、ある社長さんとお会いした時に、その社長さんが同じ言葉を言ってきて(笑)。まあ、何が言いたいかっていうと、それだけ人々に響く、良い言葉なんだなって思うわけですよ。自分も本田宗一郎さんの言葉には、かなり影響されていますね。
――ホンダへの愛、すでにすごく感じています(笑)。ところで、レジェンドは以前も乗られていたんですよね?
そうなんです。最初に乗っていたレジェンドは、手放したくなかったんだけど、置き場所が無くなっちゃってね。それで、もう1回乗りたいなって心のどこかで思っていたんですよ。そしたら、ちょうどオークションに出てたのを発見して「買うしかない!」って思ったんです。ただ、買う時に情報をよく見ずに買っちゃったので、走行距離の多さに気付かなかったんですよね(笑)。今は17万kmくらいになってます。
――そのくらい即決だったんですね(笑)。1番最初にレジェンドを買ったのはいつですか?
初めてレジェンドを買ったのは、30歳くらいの時だったと思います。実はその時、運送会社で働いていて、20代の頃は、寝る暇もないくらい忙しかったんですよね。夜の1時に帰ってきて、朝の5時には出勤しないといけないみたいな。当時からレジェンドがいいなとは思っていたんですけど、忙しすぎて、なかなか行動には移せてなかったんですよね。
――でもその後、レジェンドを買うことになったんですよね?
そうなんです。その運送会社の仕事で知り合った車屋さんが、探してくれるって言ってくれたんです。ただ、なかなか希望のKA7のレジェンドが見つからなくてね。「現行モデルじゃダメなの?」とか色々言われたんですけど、自分はその形が欲しくて諦めたくなかったんですよ。しまいには、お店の人に「意地っ張りだね」って言われましたよ(笑)。そのくらい、見つけるまでにかなり手間がかかりましたね。
――当時、KA7レジェンドはそもそも玉数が少なかったんでしょうか?
そうですね。あとはやっぱり、日本の環境では受け入れられにくい感じのクルマだったのかなって思います。
――癖のあるクルマだったんでしょうか?
癖はあると思います。足回りとかもめちゃくちゃ固いんですよ。ハンドルもクイックだし。先日、うちの会社でクルマもバイクも好きな人に、レジェンドに乗ってもらったら「最高だね!」って言ってくれたことがあったんですよね。そこで気付いたんですが、日本の高級車ってこういうスポーティな仕様じゃないよなって思ったんですよね。それが売れなかった理由なんじゃないかと思います。とっつきにくいというか…。
――レジェンドに初めて乗った時、Feさん的にはどういう印象でしたか?
まずは、パワーがあるなって思いました。それと、ハンドルがクイックだなっていうところ。あとは、エンジン音が気持ち良かったですね。吸気音、排気音の気持ち良い音が室内に響いて、それが体にも伝わってきたのを覚えています。
合計すると10年くらいレジェンドに乗っていますが、今でも「もっと走りたい」と思わせてくれるんですよ。
――今後もレジェンドにずっと乗る予定なんでしょうか?
そうですね!ただ、もう60歳なので、自分が乗れなくなった時に、どうしようかなってちょっと悩んでいます。息子が今28歳なんですけど、全くと言っていいほどクルマに興味が無いんです。もし関心があれば、息子に乗ってもらいたいなって思うんでしょうけどね。手放さないといけない時が来たら、同じ志を持つ人に引き継いでもらいたいなって思っています。まあ、レジェンドに関しては最後の最後まで手放さないつもりなんですけどね。
――とても大切な愛車というのが伝わってきますが、Feさんにとってレジェンドはどういう存在になったんでしょうか?
絶対に手放したくない存在ですね。乗っていて安心するし、しっくりくるんですよ。自分にピッタリなんだと思います。
それと、最初のレジェンドに乗っていた時、子供がまだ小さかったんですが、そういうクルマの中で過ごした家族の思い出もいっぱいあって、特別なんだなとは感じますね。この香りもまた、当時の記憶が蘇る感じがします。香りだけに限らず、操作性や音でも、昔のことを思い出すんですよ。体全体の五感を楽しくさせてくれるのが、レジェンドなのかもしれないですね。
本田技研工業が去年の春、23年ぶりに再定義した「The Power of Dreams How we move you.」というグローバルブランドスローガン。
「夢の力で、あなたを動かす」というその言葉のように、Feさんのクルマに対する愛もまた、人の心を動かすのではないだろうか。
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(文:秦 悠陽)
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