天国に旅立った父が遺した愛車といつまでも…。2007年式 スバル サンバートラック&TC
いつかは経験することになる親との別れ。しかし、遺していったものは「形見」として傍に置いておくことができます。今回のオーナーさんもそんなお一人です。
もしも、それがクルマだとしたら…。可能な限り手元に置いておきたいというのが偽らざる本音でしょう。今回は父から息子へと引き継がれた1台の軽トラックのストーリーをご紹介します。
―― まずは、マービーちゃんさんの愛車について教えてください
愛車は「2007年式 スバル サンバートラック&TC」です。現在の走行距離は約17.9万km、ファーストオーナーは父で、12年所有したのち、私が引き継いでからは5年です。私の愛車になってからは5.3万km走りました
―― ファーストオーナーはお父様なのですね
そうなんです。父は、このサンバーの前にホンダのアクティ・トラックに乗っていたんです。マフラーに笛が付いていて、まるでデコトラのような排気音でしたよ。
その後、このサンバーに乗り替えたんですが、当時の私はスポーツカーにしか興味がなく、このクルマの良さがちっとも分からなかったんですね。
―― そんなマービーちゃんさんが、お父様からサンバーを引き継ぐきっかけがあったんですね
実は6年前に父が他界しまして…。その後、このサンバーもしばらく不動車だったんです。親族から「乗らないなら譲ってほしい」といわれたこともあったんですが、何しろ父親の遺したクルマなので、誰にも譲らず、車庫に保管していました。
結局、10カ月くらい不動のままでした。それでも、当時メインカーとして乗っていたダイハツ コペンローブの走行距離を抑える目的も兼ねて、サンバーに乗るようになったんです。
―― お父様との辛い別れがサンバーを所有するきっかけでもあったんですね…。10カ月不動だと動かすのも大変だったのでは…?
そうなんです。いざ動かそうにもバッテリーが上がってしまっていて…。町内の修理工場の社長さんに救援に来てもらい、バッテリーを交換したら無事にエンジンが掛かりました。エンジン音を聞いたとき、「これからよろしくな!」と心のなかでつぶやきましたね。
―― まさに「愛車にしよう!」と決意した瞬間ですね
そうですね。その後、町内を30分ほど走らせつつ、近くのコンビニまで行きました。コペン同様、サンバートラックも5速MTなのですが、シフトストロークが長く、最初はシフトアップ&ダウンに苦労しました。でも、慣れてきたら乗りやすくなってきて、ヒール&トゥもできるようになりました。
―― やがてサンバー、ひいてはスバル車の魅力に気づいていくわけですね
実はそれまでスバルよりも三菱派だったんです。WRCでもランサーエボリューションを応援していたくらいですから(笑)。でも、サンバーに乗るようになってからはスバル党に改心しました。今では、インプレッサやWRX、BRZと、スバル車を目で追ってしまうほどです(苦笑)。
―― もともとお父様のサンバーではありますが、マービーちゃんさんが手を加えたところはありますか?
父親がDIYでETCやバックカメラを取り付けたのですが、あとはそのままです。当時、バックカメラが装着された軽トラはレアだったんじゃないかと思います。
―― サンバーのお気に入りのポイントを教えてください
エンジンとスーパーチャージャー、パートタイム4WD、そして垂直ゲートが付いているところですね。垂直ゲートが付いているサンバートラックってなかなかレアなモデルなんだそうです。ただ、垂直ゲートの鉄板を一枚積んでいる分、少し加速が遅いというデメリットがあるんですけどね。
それと、運転席の足元の広さも気に入っています。この時代の軽トラは、フロントタイヤがクルマの前方に配置されているんですが、このサンバートラックは、フロントタイヤが運転席の下に配置されているんです。その恩恵もあって足元が広い分、ヒール&トゥがやりやすいですよ。
―― お父様が乗られていたサンバー、すっかりお気に入りですね
そうですね。実はコペンはガソリンスタンドで手洗い洗車をお願いしていたんですが、サンバートラックに乗るようになってからは洗車する方法を勉強したんです。以来、週末の洗車が楽しみになりました。
「乗ったあとの洗車を欠かさない!」ことを心掛けています。ていねいにワックスを塗っているので、雨が降るたびボディーに雨粒が流れていく様子を眺めてニヤニヤしています(笑)。
―― 本当に大事に乗っていらっしゃいますね。今後、サンバーにしてあげたいこと、やってみたいことはありますか?
全塗装ですね。実際、ボディーの目立たないところにも錆が発生しているんです。これをなんとかキレイにしてあげたいです。
あとは、サンバートラックオーナーのミーティングに行って、オーナーさんたちとディープな会話をしてみたいです。
―― 愛車であるサンバー、そしてお父様へ伝えたいことはありますか?
「もう絶対に不動車にはしないよ!」ですね。
不動車の時期を経験してみて、やっぱりクルマって動かしてナンボだと痛感しました。これからも元気に町内を一緒に疾走して欲しいです。サンバートラックの走るところって、けっこう画になるんですよ。
父親の形見ですし、これからもずっときれいな形で所有していきたいです。サンバーは私にとっての宝物ですね。
マービーちゃんさん、実は以前、こちらのNSXを取材させていただいたとき、サンバーのことを伺いました。
もちろんNSXは大切だけれど、サンバーも同じか、それ以上に重要な存在なはず。そんなふうに思えて、再度、取材をお願いした次第です。
クルマを複数台所有するのはなかなか勇気がいります。置き場所も必要です。そして何よりお金が掛かります。それでもなお、手元に置いておきたい…。それこそが本当に所有するべき愛車なのではないでしょうか。
マービーちゃんさんもこれからさまざまな愛車遍歴を重ねていくことになると思われますが、もしかしたら、最後に残る1台はお父様が遺したサンバー、になるのかもしれません。
【X】
マービーちゃんさん
<取材・編集 株式会社キズナノート>
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