エスティマとR2そしてランサー 家族全員が笑顔になるための3台
2人のお子さんのため、トヨタ・エスティマを購入された じょじょさん。当初は安全で便利な移動手段でしたが、エスティマによる移動時間が家族の絆を深め、いつしか愛用の別荘となったそう。
今回はじょじょさんとトヨタ「エスティマ」、スバル「R2」、三菱「ランサーエボリューションⅥ(以下、ランサー)」のお話です。
――最初にじょじょさんがクルマ好きになった経緯を教えてください。
物心がついたころには、既にクルマが大好きでしたね。決定づけたのは、2人の従兄弟の存在です。1人は日産「スカイライン(HCR32)」に、もう1人はトヨタ「スープラ(A70)」に乗っており、よく家に遊びに来てくれました。
立ち去るスカイラインやスープラの後ろ姿はとても格好良く、「いつか自分もスポーツカーに乗りたい」と、思わせてくれました。
――じょじょさんは現在、エスティマにR2、ランサーを所有されています。それ以前の愛車歴を教えてください。
18歳で運転免許を取得。初めてのクルマはスズキ「ジムニー(JA11)」でした。
――スポーツカーではなかったのですね?
当時、ジープ「ラングラー」やジムニーを買った友人が、クロスカントリーで遊んでいたんです。それがとても楽しそうで、仲間に入るためにジムニーを買いました。
――なるほど。
悪路でのスタックは日常茶飯事。時には横転してボコボコにしてしまいましたが、起き上がってしまえば、何事もなかったかのように走ってくれる。ジムニーは最高にタフで、楽しいクルマでしたね。2年ほど所有していました。
20歳になってから、スバル「インプレッサ(GDB)」を購入します。こちらはサーキット向けに手をくわえて楽しみました。
街乗りでは乗り心地が良く、サーキットでは気持ちよく走ってくれる。インプレッサはとても良くできたクルマでしたが、8年ほどでミッションが壊れてしまい、泣く泣く手放しました。
次に購入したのは、スバルの「R2」です。事故車として愛知県のディーラー系販売店で売られていたのをインターネットで知り、購入しました。
――現在は大阪府在住とのことですが、当時は愛知県にお住まいだったのですか?
いえ、当時も大阪に住んでいました。購入したのは、このR2が5速MT車だったからです。販売店で引き取った後、自走で大阪まで帰りました。事故車ではありましたが、ちゃんと直されており、キビキビと小気味よく走ってくれましたね。
R2には3年ほど乗ったのかな。結婚して子供を授かり、軽自動車のR2では少し心許なく感じたため、三菱「エクリプスクロス」に乗り替えました。はじめての新車購入です。雪道なのに、まるでアスファルトを走っているような走行性能には感心させられましたね。
ちなみにR2は熱狂的なスバルファンの友人に譲りました。5年前の話ですが、今でも大切に乗ってくれています。
エクリプスクロスには3年ほど乗りましたが、この間にもう1人、子供を授かりました。多くの荷物を積む機会が増え、もう少し荷室の広いクルマが必要になったこと。また、上の子が勢いよくドアを開けるようになり、「不測のトラブルを防ぐため、スライドドアのクルマに乗り替えた方がいい」と、夫婦で意見が一致。色々と検討し、中古車価格の熟れたエスティマに乗り替えました。
――それが現在、乗られているエスティマなんですね。
そうです。とにかく静かで、乗り心地が極上の快適なクルマです。またサードシートが床に潜るので、2列目をめいっぱい下げて大きな空間を作れるところも気に入っています。
エスティマは良い意味で“便利な普通のクルマ”です。今までトガったクルマばかり所有していたので、「この安定感がトヨタ車の強みなのかな」と、感じました。
――いかがですか、エスティマの使い勝手は。
帰省やレジャーで長距離を走る機会が多く、その都度、エスティマの良さを感じます。昼食時にSAへ寄った際、レストランへ行かず車内で食事を済ませるのも、子どもたちは大好きです。車内という非日常空間で食べるのが楽しいからだと思いますが、それも快適さがあってこそです。
エスティマを中古車で購入したのは、子どもたちがクルマを汚し、傷つけても、私と妻が受ける精神的ダメージを少なくするためでした。想像した通り、お菓子やジュースの食べこぼし、嘔吐、濡れた靴でのシートよじ登り、極めつきはオムツからの横漏れ(笑)。まぁ、汚すこと汚すこと。こういった粗相のすべてを、エスティマは黙って受け止めてくれています。もちろん掃除は汚れた都度、行っていますよ。
時々、子どもたちもエスティマでの出来事を思い出として話してくれるので、彼らなりにドライブを楽しんでくれているのでしょうね。帰宅して玄関をくぐる前、エスティマに向かって「ぶーぶー、ありがとう!」って声をかける子どもの姿を見ると、とても癒やされます。
――お話をうかがっているこちらも癒やされています。R2はご友人に譲られたということですが、現在、所有されているR2は、再度購入されたということですか?
そうです。妻が「R2の可愛らしさと乗り味が忘れられない」と、こぼしたことがきっかけです。私と妻のそれぞれでクルマが必要な機会も増えてきたので、増車という形で購入することに決めました。
既にR2は生産終了から10年以上が経過しており、希望する5速MT車はとても希少な存在になっていました。軽自動車ということもあって、見つけても酷使された個体ばかりで……。
最後の望みをかけて、ファンから「スバリストの聖地」と称される「中津スバル」さんに訪問します。運良く、とても程度の良い5速MT車のR2があったので、すぐに契約。納車までの間に入念な整備をしてもらえ、まるで新車のようなコンディションのR2を迎えることができました。
――中津スバルの多彩な在庫車は有名ですよね。希望が叶い、奥様も喜ばれたのでは?
実は中津スバルさんから大阪まで、妻がR2を運転して帰りました。私がエスティマで先導しており、(後部席の)子どもたちは後ろを向きっぱなし。R2の姿が遠くなると「ママ来てる? 大丈夫?」って、安否を問われました。
中津川市から大阪まで、200キロ以上あります。慣れない長距離運転で妻は大変だったと思いますが、滅多にない形のドライブは、それはそれで楽しかったですね(笑)
――気が気でないお子さんの気持ちが伝わります。ランサーはどのような経緯で購入されたのですか?
ランサーの購入は、まだ妻と交際していたころの話です。元々、後輩が所有しており、車体が古くなって維持が難しくなったため、(当時)クルマを持っていなかった私に購入の打診がありました。スズキ「スイフト」の購入に動いていたのですが、タダ同然の安さに惹かれて予定を変更し、ランサーを買い取りました。
しかし、買ってみたらコンディションのひどいこと! エンジンをはじめ機関部から異音がして、ヘッドライトは前を向いていない。変なアフターパーツもてんこ盛りで、ボディの各所からサビが出ている。走行中は勝手に曲がりたがるなど、かなり可哀想な有様でした。
ただ、踏むと速い。その美点のみで突っ返すことなく、純正に近い状態にまで直しました。ちゃんと整備したランサーは走る、曲がる、止まるのすべてが高い次元にあり、とても楽しいクルマですよ。
――SNSで、奥様がランサーに乗られていたポストが話題になっていましたね。
(妻は)私と結婚する前は運転免許がAT車限定で、両親の所有する軽自動車を運転する程度だったと聞いています。ランサーの助手席に乗ったことで「クルマってこんなに楽しいんだ」と、感じたそうです。
結婚後、妻が「私もランサーを運転したい!」と宣言。AT車限定の解除に挑戦し、無事に合格しました。初めてランサーを運転した時の、妻のワクワクした表情は今でも忘れられません。
――聞いているだけで、こちらもワクワクしてきます。
それから私や、周りのクルマ仲間から運転技術を教わり、難なくヒール&トゥをきめるまで上達。ついにはサーキットデビューも果たしました。今でもたまにランサーに乗り、おもちゃで遊ぶ子供のように楽しんでいます。
――格好いい奥様ですね。話は変わりますが、じょじょさんはオフ会やイベントには参加されますか?
SNSで親交のあるランサーエボリューションⅢ乗りの方が、定期的に小規模なオフ会を開催しています。毎回、声をかけてくれることもあり、この集まりには可能な限り参加するようにしています。ほぼ、互いの生存確認みたいなものですね(笑)
それ以外のオフ会やイベントには行ったことがありません。機会があれば参加してみたいのですが、なかなか、うーん……って、感じです。
――それでは最後になりますが、じょじょさんとエスティマ、R2、ランサーと、それぞれの関係を、たとえて教えてください。
エスティマは家族とのコミュニケーションツールであり、ちょっとした別荘ですね。快適なので移動はストレスフリーですし、オムツ交換や着替え、仮眠等も余裕でこなしてしまいます。
エスティマを所有してから家族での移動が、より楽しくなりました。車窓から工事車両や緊急車両が見えたり、どこかの国の国旗が見えたり、はたまた月や星が見えたり……。興味のある物が視界に入ると、その都度、子供のたちは反応して盛り上がり、報告してくれます。ささやかですが、このうえなく幸せな時間です。
R2は、あまり目立たない縁の下の力持ち。最近のトールワゴン系軽自動車に比べると、車内はせまく、燃費も今ひとつです。けれど顔の可愛らしさとシフトフィールの気持ちよさの前には、些細なこと。
ランサーは家族公認の、私(パパ)の宝物。インプレッサに乗っていたころの仲間は、ほとんどがランサー乗りでした。そのおかげか20年経った今でも、ランサーの整備を手伝ってくれたり、アドバイスしてくれたりと、付き合いが続いています。また教材として、クルマのメカニズムを教えてくれました。
ボロボロの状態から多額の修理費用をかけて現在に至ります。文句もいわずに見守ってくれている家族には本当に感謝しています。
エスティマをはじめ、クルマが生活の一部となっているじょじょさん。ご家族からも、それぞれ立場や見えている世界は異なりますが、クルマを身近に感じ、大切にしている様子が伝わります。これからもエスティマに乗り、和気藹々とした車内で各地を回るのでしょう。
【X】
じょじょさん
(文・糸井賢一)
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