「オーナーになれたことが何よりも幸せ」 日産・フィガロと目指す全国制覇旅
人生初のマイカーに、1991年式の日産・フィガロ(FK10)を選んだというヴィンさん。
20歳の時に全財産をはたいてフィガロを購入し、乗り始めてから8年経った今でも変わらず、フィガロへの愛が止まらないという。
あるきっかけからフィガロに興味を持ち、偶然が重なりその魅力にハマっていったのだそう。
今回は、ヴィンさん×フィガロのお話です。
――フィガロの存在は元々ご存知だったのでしょうか?
物心ついた時からクルマが大好きだったので、フィガロの存在はなんとなく知ってはいました。ただ、幼少期に好きだったクルマは角張ったデザインのクルマばかりで、フィガロに対しては「クラシック風に作ったクルマ」っていう間違った認識だったんですよね。
その後、フィガロに魅了されるきっかけになった出来事が重なり、今ではドハマりしちゃっている感じです。
――どんな出来事が待っていたんでしょうか?
自分が高校生だった時、ちょうどリリースが始まった「車なごコレクション」っていう、自動車メーカー公認の“擬人化されたクルマのキャラクターを使って、すごろくでレースをするスマホゲーム”の存在を知ったんですよね。最初は試しにやってみるかっていう軽い気持ちで、たまにやる程度でした。
1年半くらい経った時、ゲーム内で新キャラクターとしてフィガロが実装されたんですよ。フィガロのキャラクターはレアな扱いだったので、ゲットするのは結構難しいんですが、自分は1回のガチャでフィガロが出てきたんです。
レアキャラなので最初は「ラッキー!」程度の思いだったんですけど、使っていくうちにキャラクターに対しての愛着がどんどん湧いていきましたね。
――きっかけはゲームのキャラクターだったんですね。マイカーとして意識しだしたのもそれが理由なんでしょうか?
実は、ちょうどそのゲームにハマっていた時、地元のスーパーにフィガロがたまたま停まっていたのを見つけたんです。今まではすれ違ってもなんとも思わなかったクルマだったんですが、もっとよく見てみたいっていう気持ちになってたんですよね。それで、フィガロの内装の作りを見た時「めちゃくちゃ可愛いな」って思ったんです。メーターやシートの作りを見て「ここまで作り込まれてたの!?」って驚きました。
その後、家に帰ってネットで色々と調べてみたら、2万台の限定車だったことや、初代マーチがベースになっていることを知り、さらに興味が湧いたんです。しかもあんなに可愛い見た目でターボエンジンが乗っているんだっていうギャップにもまたやられてしまって(笑)。そんなこんなで、フィガロに乗ろうと購入を決意したわけです。
――そういった経緯だったんですね!外装のデザインに惹かれたのかと、勝手ながら思っていました…。
自分も最初は「あくまでも側だけでしょ?」っていう偏った目で見ていたんです。でも、メーターの位置ひとつとっても、かなりこだわっているんですよね。エンブレムの蕾の形が内装にも散りばめられていたり。そういう作り込みに気付いて、さらに惹かれるようになったんです。
――フィガロに初めて乗った時のフィーリングはどうでしたか?
ターボエンジンだからだと思うんですが、アクセルを踏んだ時に、可愛い見た目からは想像できないうなり音を出して加速するのが堪らなかったです。あとはステアリングの取り回しの良さにも感動しましたね。ハンドルの径が大きくて、持ち手が細いから、旋回時のコーナリングの運転がすごく楽だと感じました。普通の小さいハンドルだと持ち替えないといけないところを、フィガロはゆっくり回しながらすぐにスーッと曲がってくれるんです。
昔、親のクルマだったマツダ・アクセラに乗っていた時期があったんですが、その時の感覚とちょっと似ていて、アクセラの取り回しを良くしたような、そんな印象を受けました。
――8年間乗られてきて、一番印象的なフィガロとの思い出を教えていただけますか?
一番印象に残っているのは、去年行った北海道への遠征ですね。
フィガロに乗るきっかけになったスマホゲームは、全国を縦断しながら進んでいくという内容なんですよ。ゲーム内の最終ステージが北海道の最北端の宗谷岬だったんですが、ゲーム版では難しくてクリアができなかったので、だったら現実でフィガロと一緒にクリアしてやろうと思って、それで北海道の最北端へ向かったんです。
――現実の世界でクリアしたわけですね!すごく素敵です。
北海道の宗谷岬の誰もいない駐車場で、最北端の海を眺めたのはずっと忘れられない思い出です。宗谷岬に着くまでに寄り道もしました。ケンとメリーの木に寄ってフィガロとのツーショットを撮影したり、本当に楽しかったです。
僕は、子供の頃から割とインドア派だったんですけど、フィガロに乗り始めてからは、せっかくの人生だしもっと外に出て色々な経験をするのもありだなって、思えるようになりました。
――他にも印象的な思い出がありそうな雰囲気ですね…(笑)。
まだまだあります!(笑)。
フィガロのオーナーになって少し経った頃、ネットフリックスのドラマ「全裸監督2」のエキストラでフィガロと出演したことがあるんですよ。
――えぇ!?そんなすごい経験をお持ちだったんですか?
旧車乗りの友人から「エキストラで出たらどう?」って声をかけてもらって、街中に居るフィガロ乗りの一般人として出演させていただきました。作中のラストシーンとか予告編に、僕もフィガロも映っているんですよ。
そういえば撮影中、他にも同じ年代の国産車が50台くらいいたんですけど、子供の頃に嗅いでいた街の匂いがしたのがすごく印象に残っています。すごく懐かしくて感慨深かったんですよね。匂いを嗅いですぐに気付いた自分にも驚きました。
――素敵な経験をフィガロと一緒にされてきたんですね。今後はどのようなカーライフを送りたいですか?
今の目標は、フィガロと全国に行くことですね。道路で繋がっている都道府県は全部制覇したいと思っています。ただ、総走行距離が19万kmと、かなりの距離を走っているので、目標達成までフィガロが耐えられるかどうかが心配なんですが…。
フィガロは可能な限り長く乗っていきたいと購入時からずっと思っているので、今後も大切に乗っていきたいです。
――8年間のカーライフを振り返ってみて、フィガロはどういう存在になりましたか?
どんな存在か…難しいですね。ゲームがきっかけだったというのも踏まえて、オタク的な言い方をすると「フィガロは俺の嫁」ですかね(笑)。
というのも、仕事が終わって駐車場に行くとそこにフィガロがいるだけで幸せを感じるんですよ。
何よりも思うのは、フィガロのオーナーになれたことが、僕にとって一番の幸せなんだと思います。
レトロアーケードゲーム巡りも趣味だという彼は、旅の途中でゲームセンターに寄ることも頻繁にあるのだという。
何故好きなのかと聞いてみると「無くなってしまうかもしれないものにできるだけ触れていたい」と語る。
フィガロとレトロアーケードゲーム。両者に対する彼の思いはどちらも、大切にしたいという気持ちが強く働いているのではないだろうか。
“楽しむ”ことと“大切にする”ということ。
それは表裏一体で密接な関係なんだと、彼から出た純粋な思いから密かに学ぶ筆者なのであった。
(文:秦 悠陽)
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