昭和の名車「サニーB110」に恋して。今だから分かる、このクルマの魅力
今回取材させて頂く「まるさん」が、幼稚園児のころに街中を走っていたという ダットサン・サニー(B110型)。当時は、登場してしばらく経っていたということもあり、中古で購入して家族で乗るといったケースも多い“いわゆる大衆車”だったそうです。
当時はカッコいいと感じたことはなかったそうですが、大人になった今、サニーの魅力に気づいてしまったと嬉しそうな声で話してくれました。
さて、まるさん×サニー(B110型) の お話をお届けします。
―――乗りたいと思ったキッカケは何だったのですか?
サニーやスターレットなど、昭和のクルマがサーキットで競い合うTSカップというのを観てから興味を持つようになりました。それこそ、僕が子供の頃に街を走っていた旧車という部類に入るクルマが、かなり改造されているとはいえ圧巻の速さで走っていく姿に胸が熱くなったんです。
ガソリンやタイヤの焦げたような匂い、よく響くエンジンの音、観客の声援など、サーキットの雰囲気も好きで、足を運んでいくうちに大衆車という認識だったサニーのイメージがどんどん変わっていきました。
―――私の父もサニーに乗っていましたが、確かに“大衆車”というイメージが強かったです。
そのイメージは、ボディタイプにも大きく左右されるかもしれませんね。2ドア、4ドアセダン、2ドアクーペ、ライトバン、ピックアップトラックとラインナップが多いから、形によって受けるイメージが大分変わってくるといいますか。
僕が乗っているのは2ドアクーペなんですけど、リア部分がファストバックのような感じで、フロントウインドウがぐっと寝ていてデザインが凝っているから、個人的にはスポーティーだなと感じています。
―――お気に入りポイントはどこですか?
星柄のシートです。後から知ったんですけど、この柄はGXというグレードの前期型にしかないらしく、それがちょっと自慢でもあり、単純に可愛いなと。
とまぁ……デザインもすごく好きなんですけど、やっぱり一番気に入っているのはA型エンジンを搭載しているということです。とにかく、このエンジンがすごく良い!
―――どう良いのですか?
レスポンスよく高回転まで回ってくれるのに加えて、サニーの車重が軽いから小気味よくブンブン走ってくれるのがすごく面白くて。あとは、アクセルを踏むと丸形3連メーターの針が触れたり、燃費が17km /Lと意外と経済的なんです。
購入するつもりは全くなかったんですけど、いつも行くショップにちょっと安い値段で売り出されていてね。眺めていると「乗ってみる?」と店長に声をかけられて、絶対に買わないと思っていたのに……乗ったら軽くて楽しくて購入してしまったのが僕です(笑)。
―――あはは(笑)!いい出会いだったんですね。
とても楽しいんですって(笑)!カタログ数値を見ると83馬力くらいだし、車高調を入れて、マフラーを替えるくらいしかしていないんですけど、ついついアクセルを踏んでエンジンを回したくなるような魅力がA型エンジンには確かにあるんです。
速度が上がるにつれ、ハンドリングが安定しなくなり、増していく緊張感やスリル、重ステがどんどん軽くなっていくのが伝わってくるのはサニーならではですよ。
そして、もれなく付いてくるガタガタは、ご愛嬌ということで!
―――な、なるほど……。ちなみに、TSカップがキッカケでもあったということで、今後サーキット仕様にする予定はあるのですか?
今のところ、現状維持を考えています。だけど、サニーって“いじりやすい”から……ノーマルのまま乗っていこうと思う反面、ミッションを4速から5速に載せ替えたり、フロントストラットをAE86のものに付け替えたりという定番のカスタムにも少し興味があったり……。
というのも、サニーってミッションのフィールリングがカチッとハマるのではなく、ぬるっと入るんですよ。そういう細かいところを突き詰めていくと、また違った走りが体感出来るのかな?なんて。
あとは、デフを大きくしたり、ファイナルのギア比を変えて加速重視にしたり、欲を言えばキャブも変えたいところです。
サニートラックが平成の頭まで販売されていたから国内に結構部品も残っているし、サードパーティ部品や、海外でも売ってたクルマなので、海外から取り寄せるなんてこともできちゃうからあまり部品にも困りませんしね。
―――その話を聞いていると、今年中にはいじっている気がします(笑)。
そういうことをしちゃうと大概乗りにくくなるから……、一通りいじった後にノーマル戻しをしちゃう自分がいたりするのかな〜なんて(笑)。そう考えると、いじり幅があって、自分がどうするかによってクルマのポテンシャルが変わってくるのもサニーの魅力ですね。
―――確かに。ちなみに、いつかはサーキットデビューですか?
今のところ予定はないですが、走ったとなると“初サーキット”なわけですから、サニーにもっと愛着が湧きそうですね。購入して7ヶ月になりますが、埼玉や茨城など関東圏にしかドライブに行けていないので、今後はもっと遠くまで足を運びたいと思います。
せっかく購入したのだから、目一杯サニーライフを楽しみたいと語ってくれた まるさん。私の予想では、来月にはキャブレターあたりが変わっているとみています(笑)。
(文:矢田部明子)
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