20年間憧れ続けた3代目グロリアをついに購入! 万全にレストアした“タテグロ”で長距離ドライブも何のその

  • 日産・グロリア(HA30/タテグロ)と桜


年上の幼なじみの影響で、グロリアに興味を持ったというkeiさん。その後、偶然、目にした三代目グロリアとドライバーの格好良さが決定打となり、購入を決意したそう。今回はkeiさんとグロリアのお話です。

――keiさんがクルマ好きになったのは、いくつからでしょうか

高校生のときですね。幼なじみの兄さんの乗る日産「グロリアバン(Y30)」に乗せてもらったことがきっかけです。ちなみにバイクも、その人の影響で乗るようになりました。

――なるほど。これまでの車歴をおうかがいしても?

日産車ばかりで、セレナ、エルグランド、そして現在、所有するグロリアです。

――所有されるグロリアはシリーズ三代目ですね。年式とグレードを教えてください

年式は1970年、形式はHA30型、グレードはスーパーデラックス。通称“タテグロ”の後期(型)です。2021年に購入しました。

  • 購入当時の日産・グロリア(HA30/タテグロ)

――セレナ、エルグランドからは、全然違う選択ですね。購入するに至った経緯や出会いを教えてください

幼なじみの兄さんの影響で旧車に良い印象を持っていましたが、特定の車種が欲しいという気持ちには至っていませんでした。

そして高校3年生のとき、街でタテグロの黒の前期を見かけたんです。独創的なデザインはもちろんですが、ピシッと服装のきまったドライバーが本当に格好良く、衝撃を受けました。そして自分も「あの(前期)タテグロに、あのドライバーのような服装で乗りたい」と、強く思ったんです。

18歳でクルマの運転免許を取得してから、ずっとタテグロを意識していました、でも何分、古いクルマなので、出会いに恵まれないまま20年近い月日が経ってしまいました。

――こればっかりは巡り合わせですものね

そうなんですよね。実は4年前、身近にフォルクスワーゲン「ビートル」を手放す方がおり、こちらを購入できる話が持ちあがりました。

――ビートルもお好きなんですか?

えぇ。当時はビートルとタテグロの両車を揃えるつもりでいました。

結局、ビートルとの縁は繋がらなかったのですが、直後にインターネットでタテグロ前期の黒(ボディカラー)が売りに出ているのを見つけたんです。急いで中古車販売店に連絡を取り、翌日、現車確認に向かったのですが、タッチの差で売れてしまって……。

憧れだったクルマの購入機会を立て続けに逃し、さすがに気落ちもしましたが、その日の晩、個人でタテグロを売りたいという方の情報が舞い込んだんです。

――続く時は続きますね

まったくです。すぐ、その方に連絡を取って現車を確認。タテグロは後期の白(ボディカラー)で、私の希望とは異なるのですが、レアなレザートップ仕様。悩ましくはありましたが……このあと、別の方が現車確認に訪れると聞き、「この機会を逃すものか!」と、その場で購入を決めました。

――思い切りましたね! そのタテグロが現在、所有されているグロリアなんですね

そうです。購入を決めたものの、それまで「前期で黒以外のタテグロには興味なし!」と公言していたんです。だから、現車確認の帰り道は「本当に妥協してよかったのか?」と、思い悩んでしまって……。

今、考えたら無駄な悩みでしたけどね(笑)

  • 日産・グロリア(HA30/タテグロ)と河原

――20年来の悲願達成ですね。納車されたグロリアの印象はいかがでしょう?

思っていたより乗り心地は良いですね。長距離を走行しても疲れは少なく、よくできた車だと思います。

だけどいろいろなところのコンディションが悪く、納車からしばらくは「修理をどう進めるか」ということばかりかんがえていました。正直、うれしさよりも不安の方が大きかったですね。

――はじめての旧車で、しかも50年も昔のクルマとなれば、不安が大きいのも理解できます

コンディションが良くないことを理解して購入したので、手やお金がかかる覚悟はできていました。最初の2年間は修理地獄でしたし、4年を過ぎた今でも継続中です。

――実際、どのようなトラブルがあったのですか?

購入から間もない頃、急にマスターバックがダメになり、ブレーキが効かなくなったことがあります。頭の中が真っ白になりかけましたが、とにかくエンジンブレーキをかけ、あらん限りの手段を使い停車することができました。あのときは本当に「もうダメだ!」と思いましたね。

――トラウマになりそうな経験ですね……

今、思い返しても身震いしてしまいます。こういった怖い経験から、古いクルマを降りた人もいるんだろうなって、旧車乗りの先輩と話をした覚えがあります。

――keiさんもグロリアも、ご無事でなによりでした

怖い思いをしてからは、いつ交換されたかわからないパーツは徹底的に交換。気になる異音や挙動に気付いたら、「大丈夫だろう」と思わず、早めに確認、整備をするよう心がけています。

そのおかげか、以降は重大なアクシデントが発生しておらず、不調に陥っても「あれだけ整備をしても起こってしまったのだから、しょうがない」と、割り切れるようになりました。

  • 修理中の日産・グロリア(HA30/タテグロ)

――グロリアの購入を果たしたことで、周囲の反応はいかがでした?

「ついに買ったのか!?」と、購入を喜んでくれる声が大半でした。ただ、私が前期を欲しがっていたことを知っている友人からは「本当に後期で良かったのか?」と、心配されましたね。

そういえばタテグロを所有してから、同僚や友人が出先で古いグロリアを目にしたら報告してくれるようになりました。旧車に乗ると、こんな現象も起きるんですね(笑)

――keiさんのSNSから、グロリアは現代化を進められているように見受けられます

当初はオリジナルの状態や当時の装備にこだわっていました。そのこだわりは今も変わりませんが、純正品や純正リビルド品が確保できないのならば、積極的に社外品と入れ替えることを決めました。もちろん、信頼できる品質を有していることが絶対の条件です。

ポイント点火はフルトランジスタ点火に、オルタネーターはICオルタネーターに、それぞれ換装。ドラレコやバックカメラも装着しています。これらはそもそも純正品が設定されていないので、社外品を用いています。

セルモーターはリビルト品が入手でき、マスターバックはオーバーホールで十分な性能を取り戻せるので、オリジナルの状態を維持しています。今後も安心して走れるよう、気付いたところから手を入れたいと考えています。

――不安を抱えながらでは、運転を楽しめませんものね。現在のグロリアはどのように楽しんでいますか?

天気の良い日にフラッと出かけたり、ドライブ旅行にタテグロを使っています。出先で雨に降られるのは仕方がないのですが、事前に天候が崩れることが分かっていたら絶対に乗りません。

――グロリアで長距離の旅行はされるんですか?

しますよ。九州へのドライブ旅行では、往復1200キロをノントラブルで走ってくれました。途中、岡山県で開催されていた旧車イベント「蒜山チャリティーミーティング」に寄ったところ、SNSで私を知っていたという方が声をかけてくれたんです。九州もイベントも楽しく、また新たな出会いもあって、思い出深い旅行になりました。

  • 日産・グロリア(HA30/タテグロ)とフェリー

――旧車イベントにも参加されるんですね。これまでに参加して、特に思い出深かったイベントを教えてください

全国からタテグロが集まる「gloria 3rd generation party」、通称「タテグロミーティング」というイベントがあります。昨年(2024年)は兵庫県加西市で開催され、初めて私も参加しました。30台ほどのタテグロが一堂に会した様は、本当に圧巻でしたね!

会場で多くのオーナーと親交を結ぶことができ、憧れだった前期のタテグロを運転させてもらえるなど、とても良い時間を過ごせました。今後の開催でも可能な限り参加し、全国のタテグロオーナーと知り合いたいと思っています。

  • 日産・グロリア(HA30/タテグロ)のオーナーズミーティング
  • 日産・グロリア(HA30/タテグロ)のオーナーズミーテイング
  • 日産・グロリア(HA30/タテグロ)と蔵

――keiさんはSNSでグロリアに関わる投稿をされています。SNSの活動は、実際のカーライフに影響を与えていますか?

もちろんです。タテグロに関して分からないことや困ったことがあったときは、その旨を投稿することで全国のタテグロオーナーから、助言や情報が集まります。また、ストックされていたパーツを譲っていただいたこともありました。もう感謝しかありません。大いに助けられた分、機会があったら私も手助けしなくてはと思っています。

――それでは最後になりますがkeiさんとグロリアとの関係は、一言で例えると、どのようなものでしょう

反抗期真っ只中の、我が子みたいな感じですかね(笑) 親子のように長くつきあえることを願っています。

  • 水たまりにリフレクションした日産・グロリア(HA30/タテグロ)

安全に、そして楽しく乗り続けるため、グロリアの手入れと勉強を欠かさないkeiさん。少し前に一通りの修理とレストアを終えたそうなので、今後は積極的に旅行やイベントへと足を運ぶのでしょう。

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Keiさん

(文・糸井賢一 写真提供:Keiさん)

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