運転の好きな私が選んだのは、CX-5のベースグレード。さて、今週末はどこへ行こうか?
広島から実家のある北九州に、ちょっとドライブに鹿児島まで、うどんを食べにフラリ山口へ——「でぱちゃん」さんはロングドライブが週末のルーティンで、1年間に2万kmは走っていると話してくれました。最近愛車として迎え入れたのは、走行距離20万kmを突破してシートがへたってきたMINIに変わって納車されたマツダCX-5だと、うれしそうな声が受話器越しに聞こえてきました。
今回は、でぱちゃん×CX-5のお話をお届けします。
―――なぜ、MINIからCX-5に乗り換えたのですか?
マツダ車は、挙動がダイレクトにオーナーに伝わってきて走りが素直で楽しいからです。前に乗っていたMINIも旧車と呼ばれる年代物で、ダイレクト感が好きで乗っていたんですけど、CX-5は、例えば、アクセルペダルの踏み込み量ではなく、踏み込み速度を加味したエンジン出力制御にしてあってトルクを引き出すことが可能なところなどが気に入りました。
分かりやすい例えだと……あっ!操り人形があるでしょう? 上から糸で吊るして動かすタイプの人形じゃなくて、手足の先に棒が付いていて、より細かく俊敏に動かせるタイプの人形がマツダ車っぽいと感じるんです。
―――NHKの人形劇が棒のタイプです! 小学生の頃、夢中になって見てました!
それそれ(笑)! ちなみに、誤解されないように一応伝えておくと、走りに求めるものは人それぞれだから、正解なんてものはないと思っています。その上で私の場合は、速さよりも“クルマとのシンクロ率”を大事にしています。
―――と言いますと?
乗っているうちに自分の操作に対するクルマの挙動や反応を覚えて、その動きを踏まえてタイミングよく操作して、自分の思い描いたように運転することができると、シンクロ率が上がった気がしてうれしくなるタイプなんです。
車体を揺らさないようにハンドルを切ってみるとか、道の上に落ちている石を踏んでどんな動きをするか当ててみるとか、自分で走りながら刻々と課題を設定するのがいいんです。コーナリング前は、荷重変化をこんな感じにしながらコーナーの途中でブレーキを踏み足さずに済むようにと、大体イメージを思い描いていますね。それに応えてくるクルマが好きだし、爆発的なパワーがなくとも、リニアで反応してくれるのがクルマが好みです。
CX-5はFF車の特性なのか?少し外に膨らむといったアンダーステアを感じたり、スロットルをオフにしてエンジンブレーキによるタックインを期待しても、最初はディーゼル車だからなのかガソリン車ほどエンジンブレーキが効かずにスーッと進んで戸惑ってしまったけど、逆にこの部分を学習したら、余計なハンドルの切り足しも要らなくて、思い通りに運転できるようになりました。
―――良い意味で、クルマ変態なのですね(笑)。でぱちゃんさんが そうなってしまった原因は何ですか?
褒め言葉として受け取っておきますね(笑)♪ 私がこうなってしまったのは、遡ること46年前。1976年頃に活躍したF1ドライバーの“パトリック・デパイユ”というレーサーのファンになったことが、運転が好きになる全ての始まりでした。
この方は、いわゆるマシンの開発能力に長けたドライバーで、タイレル6輪車のようなクセのあるクルマを育成するのが上手な人でした。だから、古いクルマを修理して、速く走れるように開発して乗るのがうまい人だったんです。
その頃私は中学生だったんですけど、改善改良して意のままに操れるようにクルマを熟成するというのに憧れて、どんどん彼にのめり込んでいったんです。そうしていつしか、自分もクルマをいじってみたい、運転したいと思うようになりました。
当時は免許なんてなかったから、机の下にアクセルペダルとクラッチペダルを模した板を置いて、頭の中でイメージしながらシフトチェンジする……なんて遊びをしていたなぁ(笑)。
―――だからこそ伺いたいのですが、ディーゼルでベースグレードにこだわった理由は何ですか?
スカイアクティブのディーゼルを選んだのは“距離を走れば走るほど調子がいい”ということを感じたからです。2年間で16万kmも走り、CX-5と同じエンジンを積む知り合いのアテンザワゴンが、ヘタるどころかとても調子がよかったのを見て自分もこれにしようと決めました。
ベースグレードにしたのは、これが唯一の65扁平タイヤを装着するグレードだったからです。タイヤが厚くなることによって、路面からの突き上げが少なくなって、乗り心地がよくなりそうだと予想したからです。この予想は大的中で、少し弾力のあるボワンとした振動は残りましたが、突き上げはそれほど強くなく期待通りとなりました。
―――おおお!それはそれは♪
走りだけじゃなくて、ロジウムホワイトプレミアムメタリックの柔らかく上品なボディカラーの白も気に入っています。光の加減でナイフエッジのようなシャープなラインを見せたり、緩やかで穏やかな曲面を見せたり、とても奥深いと感じています。
運転することは、自分にとって坐禅だと語ってくれた“でぱちゃん”さん。到着地はどこでもよくて、乗りたいときに気の向くままにハンドルを握るのが好きなのだとか。これからも、自分らしいカーライフを楽しんでください。
(文:矢田部明子 写真:でぱちゃんさん提供)
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