カフェレーサーに魅せられて。限定30台のコンプリートカー、mono CRAFT mm1から広がった世界
「よく声をかけられるんですよ。『このクルマなんですか?』から始まるコミュニケーションが楽しいですね」
そう話す「ザクザク」さんの愛車は「mono CRAFT mm1」。マツダ・ロードスタークーペ(NB型)をベースとした、mono CRAFTブランドのコンプリートカーです。
mm1は2004年に発売。1960年代に活躍した名車の意匠を印象づける外装パーツをまといます。販売されたのは限定30台とされており、まさに“幻の一台”といえるかもしれません。
そんな希少なモデルをいまから2年前に購入したという、ザクザクさんのカーライフをご紹介します。
――街の駐車場で、二度見してしまうスタイリングですね。
この“カエル顔”が好きなんです。以前は新しいクルマのほうが好きだったんですが、mm1に乗り始めてからは、カエル顔のロータス・ヨーロッパ、ジネッタ・G4などの旧車が好きになりました。周りからは、TVRに似ているとも言われますね。
――ザクザクさんは、幼いころからクルマ好きだったんですか?
子どものころから、クルマに接する機会は多かったです。父親と一緒にテレビでF1の中継を見ていましたし、父が所有していた三菱・デリカスターワゴンでドライブにもよく出かけていたので。
――当時のF1で好きなチームやマシンはいましたか?
中学生のときのイチオシはミハエル・シューマッハでした。もっと幼い時期だと、1993年ごろに活躍したマイケル・アンドレッティが印象深いです。名前が覚えやすかったからかもしれません(笑)。
同じく中学生のころに、地元で開催された輸入車ショーを友達と見にいったとき、初めてフェラーリの市販車やB・A・RホンダのF1マシンを目にして衝撃を受け、自分もいつかこういう特別なクルマに乗ってみたいという憧れが芽生えました。
――お父様とデリカスターワゴンで出かけていた場所を覚えていますか?
海へ行くことが多かったです。父が「能登島」を気に入っていて、家族旅行でよく出かけてました。景色がほんとうに綺麗で「千里浜なぎさドライブウェイ」もデリカで走っていましたね。民宿に泊まった思い出もありますし、近隣のガラス美術館に立ち寄ることもありました。
――F1マシンへの憧れやドライブでの体験が、ザクザクさんの原体験なのですね。では、愛車との出合いを教えてください。
中古車サイトでロードスターRF(マツダ)を探していたときに「ロードスタークーペ」という項目を見つけたんです。覗いてみたら、関東の中古車店にmm1が掲載されていて、最初に見たときは「え、なにこれ?」ってなりました。
――ロードスターのソフトトップではなく、RFを探していたのはなぜだったんでしょう?
ロングノーズショートデッキのオープンカーに憧れがあったのと、住んでいるのが豪雪地帯なので、幌よりもハードトップのほうが安心だったからです。
――mm1と対面したときの心境はいかがでしたか?
丸目のヘッドライトはインパクトがあって、リヤからルーフ、リヤフェンダーにかけてのラインもとても綺麗。ジャガー・Eタイプやマツダ・コスモスポーツといった、エポックメイキングなスポーツカーをイメージさせる美しいクルマだと思いました。
――愛車を購入したショップは、どんな雰囲気だったんですか?
珍しいクルマばかりを扱っているショップで、店主さんの趣味はアメリカンヴィンテージのようです。店内の床はチェッカー柄で、フィギュアやミニカーがたくさんあっておしゃれなインテリアでした。
ショップにはお昼ごろに到着して、店主さんと数時間話し込みました。店主さんからは「このクルマの価値を理解してくれる人に乗ってほしい」という思いが強く伝わってきました。このmm1は店主さん自身も気に入っていて「自分のクルマにしようと思ってた」と話していたのも印象に残っています。
――クルマの行き先まで大切にしているショップだったんですね。納車当日の出来事は覚えていますか?
自宅まで積載車で運んでもらったんですが、ドライバーさんが「このクルマはどこのですか?」って驚いていたことはいまでも覚えています。
――現在、mm1とはどんなドライブを楽しんでいますか?
長距離ドライブだと、夏に彼女と「のとじま水族館」へ行きましたね。途中で道の駅に寄って、足湯に浸かったりソフトクリームを食べたりして、寄り道も含めて楽しかったです。これ以上ないくらい最高のシチュエーションでした。
――「のとじま水族館」のある能登島は、ザクザクさんにとって家族との思い出の場所でもありましたね。
そうなんです。自分が運転する側になり、今度は彼女と走っていくというシチュエーションがほんとうに良かったですね。
mm1は彼女に評判がよくて「乗り心地いいね」と言ってくれます。
彼女は大型バイクに乗るライダーでもあるので、クルマの話もできます。ただ、運転中のツッコミは厳しくて……ブリッピングに失敗すると、バレちゃうこともあります(笑)。
――微笑ましいです(笑)。新潟へのドライブ旅行も楽しまれたとか。
あれは1泊2日の旅行だったんですけど、道中で天候が荒れてしまって、高速道路でも慎重な運転が続きました。無事に新潟市内へ着いた瞬間は、正直ホッとしましたね。
でも、その夜に見た萬代橋の夜景はほんとうに幻想的でした。「もう一度行きたい」と思って、翌年も新潟へドライブに出かけたんですよ。次回は新潟県長岡市の山本五十六記念館に行ってみたいです。温泉旅行もいいですね!
――すてきな旅の様子を、ぜひSNSにもアップしてくださいね。では、愛車のテーマや方向性を教えてください。
テーマは「クラシック」です。前オーナーさんが「真空管アンプオーディオ」をセットするなどしてセンスよく仕上げていたんですよね。なので、60年代のカフェレーサーをイメージした外観と、内装の調和を崩さないことを心がけています。
ただ、車内に時計がなかったので、年代物の懐中時計を置きました。スタンドを自作して小物入れに差し込むかたちで置いています。
――クラシックな雰囲気に合わせて、装いをコーディネートすることはありますか?
手垢がつくのが嫌なのでレザーグローブをしていまして、mm1の雰囲気に合ったキャメルカラーのものを愛用しています。
――オシャレですね!愛車で特に気に入っているポイントはどこですか?
まずは、mm1のシリアルナンバー。もうひとつは、右斜め後ろから少し低く見たアングルです。ロードスタークーペの特徴でもあるルーフからリヤフェンダーにかけてのラインと、右側のロゴマークが一度に見えるアングルなんですよ。
――「クラシック」というテーマは、生活にも影響を与えていますか?
懐中時計を使っているうちに、機械式の時計にも興味が出てきて、ヴィンテージものの時計が好きになりました。
クラシックカーミーティングで、オーナーさんたちが愛用する懐中時計や腕時計を目にすることが多かったのも、影響していると思います。行きつけの時計店もでき、店主さんと趣味の話をして盛り上がることもありますね。
――世界が広がってますね!機械式時計の魅力って、どういうところですか?
半永久的に使えるところですね。流行り廃りがなく、長く付き合えるところがとても魅力的です。子どもにも受け継がせることができますから。
――長く付き合えるっていいですね。ところで、ここまでに大きな故障などはありましたか?
大きな不具合はありません。メンテナンスは、地元にある専門店にお世話になっています。
不具合ではないんですが、車検に出した際の作業中に誤って右ドアから右リヤフェンダーにかけて傷が入ってしまったことがあり、全塗装で対応してもらったことがありました。ボディカラーをオリジナルに限りなく近く調色してもらえたため、違和感もなくむしろリフレッシュした気持ちになりましたね。
――このさき、mm1とどのように付き合っていきたいですか?
オリジナルを失いたくないという気持ちがありますね。外装に関しては、何かあればESQUELETOブランドから入手できると聞いていますので心強いです。
市販まで紆余曲折の歴史があったクルマだと聞いていますし、謎が多いところも含めて大好きです。事故を起こさないように、長く大切に乗っていきたいです。
mono CRAFT mm1との出合いによって「60年代のカフェレーサー」という様式美を愛するようになったザクザクさん。モノと長く丁寧に付き合うことを大切にしている姿勢が、言葉の端々から伝わってきました。これからもドライブや旅行、時計の趣味を心地よい世界観とともに楽しんでくださいね。
【X】
ザクザクさん
(文:野鶴美和 写真:ザクザクさん提供)
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