クルマの未来がもっと楽しくなるキーワード「CASE」ってなんだ?―クルマのトレンドワード①

自動で走ったり、電気で動いたり、インターネットにつながったりと、クルマを取り巻くトレンドは今、めまぐるしく変化を続けている。この連載では、なんとなく分かった気になってしまいがちな最新キーワードを整理して、現在進行形のクルマのトレンドに迫っていく。第1回のキーワードは「CASE」。

東京2020大会で使われるトヨタ「e-Palette」。自動運転で走るユニバーサルデザインの電気自動車だ
東京2020大会で使われるトヨタ「e-Palette」。自動運転で走るユニバーサルデザインの電気自動車だ

皆さんのクルマには、ほかのクルマと連携して渋滞箇所をリアルタイムに教えてくれるカーナビが載っていたり、走行中に車線をはみ出すと警告する機能があったりしないだろうか。

ブレーキとアクセルの踏み間違いによる急な誤発進の抑制や、不意に前走車との車間が詰まったときの自動ブレーキ、肉眼では気づきにくい夜道の歩行者検知など、近年クルマの機能は急速に高度になっている。
一方で、短時間レンタル前提のクルマをコインパーキングでよく見かけるようになったり、地球環境に優しいハイブリッドカーや電気自動車の選択肢が増えたりと、クルマを取り巻く状況にも大きな変化が訪れている。

こうした背景を4つのキーワードに分けて説明しよう。

インターネットとつながるクルマ <コネクティッド(Connected)>

トヨタはすべてのクルマを「コネクティッド化」していくと宣言している
トヨタはすべてのクルマを「コネクティッド化」していくと宣言している

インターネットに常時接続するクルマを「コネクティッドカー」と呼ぶ。

例えば、あるクルマが渋滞に遭遇すると、その情報がインターネットを通じてほかのクルマにも行き渡り、カーナビがその道路を避けたルートを自動で再設定する。
エアバッグが開くような衝突事故に遭って救助が呼べなくても、クルマ側で読み取った事故の状況や位置情報が自動でサービスセンターに送られ、その情報をもとに、サービスセンターが救急や警察への通報を行なうことが可能となる。

スマートフォンを持つ人が増えた今、インターネットで情報を調べるのは簡単だが、インターネットにつながったクルマ自体が自律的に情報を発信・取得するという点がコネクティッドカーのポイントだ。

複数のクルマの現在地・走行速度などの膨大な情報をリアルタイムに集めて分析し、その結果をクルマに戻すことで、渋滞に遭遇しないルートでストレスなく走れたり、車載センサーから得た情報をもとに窓の閉め忘れや盗難といった異常を離れたところにいるドライバーに知らせたりと、快適さと安全性を高めつつ、普段はそれを利用者に意識させないというのも魅力だろう。

また、地震や大雨、津波などの災害発生時に、地面が陥没したり土砂崩れが起きたり、橋が崩落したりして、複数の道路が通れなくなってしまうことがある。
こんなとき、コネクティッドカーが実際に走行した経路の実績情報を集めて、各社が「通れた道マップ」(トヨタ)や「インターナビ通行実績情報マップ」(ホンダ)といった形で公開しており、すでに災害対応にも実力を発揮している。

2020年には携帯電話で次世代規格「5G」のサービスが始まり、大容量・広帯域の通信が実現する。将来的にすべてがコネクティッドカーになれば、有料道路の料金所やパーキングメーターなども不要になるかもしれない。

ハンドルに触らなくても目的地に到着する <自動化(Autonomous)>

自動運転やAIを盛り込んだコンセプトカー「LQ」。新しい移動体験をもたらす「新時代の愛車」をイメージした
自動運転やAIを盛り込んだコンセプトカー「LQ」。新しい移動体験をもたらす「新時代の愛車」をイメージした

ナビに目的地を設定したらあとは座っているだけ。ハンドルは握らず、ペダルも踏まない。到着するまでは景色を眺めたり、仕事をしたり、映画を見たりと自由に過ごすことができる。「自動運転」が描くクルマの未来は、単なる移動手段を超えて車内を快適空間に変えようとしている。

不具合時などに手動運転が要求されるため、運転免許とドライバーが要らなくなることはないと思われるが、日常的な運転から解放されれば車内の過ごし方が変わるはず。内装やシートのレイアウトも根本的に変わるだろう。

車幅をいっぱいまで使ったディスプレイにインタラクティブな映像を映し出して、動画を楽しむついでにネットショッピングやチケットの予約を行なう、といった技術デモがすでに公開されており、移動するエンターテイメント空間としても期待がかかる。

ちなみに、自動運転はその実現度合いに応じてレベル分けをしており、レベル1~2は運転支援。レベル3は運転席に座る必要があるものの、特定の道路ですべての操作が自動化、レベル4では緊急時の対応も自動化、レベル5ではあらゆる場所で自動化と定義している。

現在日本で市販されているのは、渋滞時に車間を保ったり車線のはみ出しを補正したりといった支援システム(ステアリングと加減速の連携)なので、レベル2に相当する。

自動運転で事故が起きた場合に誰が責任を負うのかなど、法整備を含めて完全自動運転の実現にはハードルが残るものの、まったく新しいクルマの未来像を予感させる待ち遠しい技術だ。

スマホ1つでさっと乗ってさっと返す <シェアリング(Shared)>

トヨタは中国のライドシェアサービス「DiDi」との協業を発表している
トヨタは中国のライドシェアサービス「DiDi」との協業を発表している

コインパーキングや空港などの駐車場で展開が進む「カーシェアリング」。スマートフォンアプリで乗りたいクルマを探して、キーロックを解除。使い終えたらクルマを戻して、決済もスマホで完結する。
レンタカーのように店舗窓口に行く必要がなく、数十分単位で使えて、ガソリン代は料金に含まれていることが多いので返すときに給油する必要がなく、短時間利用に適したサービスだ。

また、アメリカのUberや中国のDiDiなどがサービスを提供する「ライドシェア」は、「人を乗せたいドライバー」と「目的地へ向かうクルマを探す人」をマッチングするサービス。

余っている時間やクルマを有効活用・共有できるため海外ではすっかり浸透しており、アプリで配車して決済まで完結する気軽さが人気の理由だ。
ドライバーと利用者がお互い評価しあう仕組みなので、ある程度の規律が保たれるという特徴もある。

このほか、使っていない間に自分のクルマを人に貸し出したり(個人間カーシェア)、空いている自宅の駐車場を提供したり(駐車場シェアリング)といった仕組みもシェアリングエコノミー(共有経済)の考え方で、今後のクルマ社会をもっと便利にする可能性を秘めている。

2人乗りの超小型車が街中にあふれる <電動化(Electric)>

2020年冬発売予定のトヨタ「超小型EV」。普段使いの近距離利用を想定した2人乗りだ
2020年冬発売予定のトヨタ「超小型EV」。普段使いの近距離利用を想定した2人乗りだ

バッテリーと電気モーターで動き、排気ガスを出さずに静かに走行する「電気自動車(EV)」。電気代の安い夜のうちに充電すればガソリン車よりも維持費が安く、電気駆動なので騒音を出さず、CO2(二酸化炭素)やNOx(窒素酸化物)を排出しないので地球環境にも優しい。

トヨタは2010年から2050年に向けてCO2排出量を90%削減するという目標を掲げており、これからのクルマはハイブリッドカーやEVの存在感がもっと大きくなっていくだろう。

バッテリーが空になってしまうと再び充電して走り出すまでに時間がかかるため、1回の満充電でどれだけ走れるかはEVが抱える課題の1つだが、逆に割り切って普段使いで短距離利用中心の1人~2人乗りEVなら、大きなバッテリーを用意する必要はない。

実際、トヨタは2020年冬に2人乗りの超小型EVを発売予定で、1回の充電で100km程度走行できるという。

この超小型EVは免許取り立ての初心者や高齢者の日常利用、毎日決まった場所を巡回するような業務用途などを見込んでおり、当面、街中で見かけるEVはこうしたコンパクトなタイプが中心になりそうだ。

これら4つのキーワード、「コネクティッド(Connected)」「自動化(Autonomous)」「シェアリング(Shared)」「電動化(Electric)」の頭文字を集めて、これからのクルマ社会の進む先を示す言葉が「CASE」。知っておけば、未来のクルマがもっと楽しく感じられるはずだ。

次回はクルマに通信機能を持たせてさまざまなサービスを提供する「テレマティクス」を取り上げる。

[ガズー編集部]

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