コネクティッドサービスに早くから取り組む日産。ホンダとマツダも本格参入―クルマのトレンドワード⑥

自動で走ったり、電気で動いたり、インターネットにつながったりと、クルマを取り巻くトレンドは今、めまぐるしく変化を続けている。この連載では、なんとなく分かった気になってしまいがちな最新キーワードを整理して、現在進行形のクルマのトレンドに迫っていく。第5回ではトヨタのコネクティッドサービス「T-Connect」を紹介したが、ここでは日産、ホンダ、マツダの取り組みを紹介する。

日産のEV「リーフ(LEAF)」
日産のEV「リーフ(LEAF)」

コネクティッドの老舗・日産は、初代リーフからDCMを全車標準装備

コネクティッドの黎明期からサービスを提供し続けているのが日産だ。テレマティクスサービスプロバイダとして1997年に「コンパスリンク株式会社」を設立し、翌1998年には有人オペレーターによるコンシェルジュサービスを開始。
2002年には3代目マーチに、国内初のテレマティクスサービス「カーウイングス」を搭載した。

マーチのカーウイングスはコストの関係で横長の1DINサイズという小さな液晶画面だったが、それでも交通・天気情報の提供、メールを受信しての読み上げなど、シンプルながら現在のコネクティッドのひな形は完成していた。

DCM(車載通信ユニット)から収集したプローブ(軌跡)情報をベースとしたサービスも生まれた。
それが「スリップ発生情報配信サービス」だ。

凍結路面の走行などで作動したABSの情報を、地点と時刻とともにカーウイングスセンターにアップロードし、会員間でその情報を共有できるようにした。
さらに、業界団体ITS Japanを核にした災害時の乗用車・トラックの通行データをトヨタ、ホンダ、いすゞ、UDトラックと共有し、救助・支援活動に反映させる試みも一早く実用化していた。

2011年に登場した初代リーフでは、DCMを全車標準装備。これはリーフのオーナーに等しくサービスを提供すると同時に、量販EVとしてのデータの収集も目的としていた。
世界各国で走るリーフの日常の走行パターン、バッテリー温度や劣化の進み具合などのビッグデータを蓄積。これは現在も継続しており、累計で40万台にのぼるDCMからのデータサンプルは、単一車種では世界中のどのブランドも追いつけていない。
シミュレーションでは得られない貴重なデータは、バッテリー制御プログラムのアップデートなどに活かされている。

こうして長年培ってきた「インテリジェント」なコネクティッド機能は、最新版「NissanConnect」として展開中だ。
専用スマホアプリと連携したマイカーファインダー(駐車位置の把握)やリモートドア(離れた場所からのドアロック)のほか、カレンダーやメールなどのGoogleサービスとも連携している。緊急時通報システムは、いまや軽自動車デイズにも全車オプション設定されるほど浸透した。

日産のコネクティッドサービス「NissanConnect」
日産のコネクティッドサービス「NissanConnect」

さらに新型スカイラインでは、専用サービスも用意している。有料オプションだが車内でWi-Fiが使い放題となる「docomo in Car Connect」は、国産車ではまだ採用の少ないサービスだ。1日だけの契約(500円)から可能なキメ細かい料金プランは、家族でロングドライブする際の動画視聴などに重宝する。

車内でWi-Fiが使えるようになる「docomo in Car Connect」
車内でWi-Fiが使えるようになる「docomo in Car Connect」

ホンダは新型フィット、マツダはMAZDA 3からコネクティッドサービスを本格化

ホンダの「フィット(FIT)」
ホンダの「フィット(FIT)」

ホンダでは、ビッグデータの蓄積と災害などいざというときに活かせる高精度のルート探索といった基本機能を持つ「internavi」と、緊急サポートセンターやロードサービスの手配などを受け持つ「Honda Total Care」を、新型フィットのデビューを機に統合。
新型フィットには全車へDCMを搭載し、「Honda CONNECT」としてコネクティッドサービスを提供する。

スマホで遠隔からエアコンを操作したり、駐車位置を確認したりといったことが可能になり、さらに有料でトラブル時にはALSOKの警備員が駆けつけるオプションも選べるようになる。

ボタン操作での緊急通報サービスにも対応
ボタン操作での緊急通報サービスにも対応

MAZDA 3からコネクティッドの本格展開をスタートしたマツダは、CX-30にも横展開を始めた。MAZDA 3は1.5Lエンジン搭載車を除いたモデルに、CX-30は全車にDCMを標準で搭載。名称は従来どおりの「MAZDA CONNECT」だが、内容はスマホによるリモートコントロール機能、地図更新、アラーム通知など、コネクティッドサービスとして標準的なメニューがそろう。

ただし、有人によるオペレーターサービスは事故や急病などの「もしも」の場合に限られ、目的地設定やタウン情報の提供といったコンシェルジュ的な役割は備えていない。基幹部分は旧MAZDA G-BOOK同様、トヨタのシステムを使用している。

MAZDA3やCX-30に搭載された「MAZDA CONNNECT」
MAZDA3やCX-30に搭載された「MAZDA CONNNECT」

ここまでは国内メーカーの取り組みを紹介してきた。次回からは海外メーカー編。コネクティッドサービスを全方位で進化させているメルセデス・ベンツとBMWを紹介する。

[ガズー編集部]

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