24時間365日の有人サービスが安心を生み出す「ヒューマンコネクティッド」ークルマのトレンドワード⑪

自動で走ったり、電気で動いたり、インターネットにつながったりと、クルマを取り巻くトレンドは今、めまぐるしく変化を続けている。この連載では、なんとなく分かった気になってしまいがちな最新キーワードを整理して、現在進行形のクルマのトレンドに迫っていく。
今回のテーマは「ヒューマンコネクティッド」。

トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田章男氏
トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田章男氏

東京モーターショー2019で実施されたトヨタ自動車プレスカンファレンスにおいて豊田章男社長は、「このブースで表現したかったものはヒューマンコネクティッド。それは人間同士がつながる社会。人のぬくもりや優しさを感じることができる社会。キーワードは“ヒューマン”。トヨタは人間の力を信じています」と発言した。

クルマがインターネットと接続することでさまざまな機能を提供するコネクティッドサービスで、AIによる応答などテクノロジーが果たす役割は大きい。
しかしコネクティッドサービスには、人によるサポートサービス「ヒューマンコネクティッド」も含んでおり、トヨタのコネクティッドサービス「T-Connect」でも、さまざまな有人サービスを提供している。
先の豊田社長の発言も、テクノロジーであらゆるものがコネクティッドになるからこそ、その上に成立する人と人の「ぬくもりや優しさ」の大切さを強調したのかもしれない。

T-Connectを例にヒューマンコネクティッドなサービスを紹介しよう。
「ヘルプネット」は、運転中に万一の事故やトラブルにみまわれた際に、ドライバーを助ける機能。専用ボタンを押すだけでオペレーターに緊急通報でき、もしドライバーが気を失った場合でもエアバッグが作動したといった情報から自動でオペレーターに接続し、緊急車両やドクターヘリの派遣を依頼してくれる。

万一の事態にボタンひとつでオペレーターに緊急通報でき、ドライバーが気を失っていてもエアバッグの作動に連動して自動的に緊急通報してくれるヘルプネット
万一の事態にボタンひとつでオペレーターに緊急通報でき、ドライバーが気を失っていてもエアバッグの作動に連動して自動的に緊急通報してくれるヘルプネット

「eケア」はクルマの状態を監視し、警告灯点灯時などに「eケアコールセンター」のオペレーターに、警告箇所の状況を直接確認することができる。
たとえば、ヘッドランプの警告灯が点灯した場合、ヘッドランプの点灯状況や、そのまま運転を続けて大丈夫なのかなど、適切なアドバイスをしてくれる。

クルマの不具合の度合いを確認でき、修理などまでフォローしてくれる「eケア」
クルマの不具合の度合いを確認でき、修理などまでフォローしてくれる「eケア」

「マイカーSecurity」は、離れた場所に駐車しているマイカーでドアのこじ開けなどがあってオートアラームを検知した際に、異常を電話やメールで通知する機能。盗難時には要請すれば車両位置を追跡してくれるほか、警備員の派遣(出動から1時間以内は無料、以後1時間ごとに税別10000円)も行なってくれる。

さらに、レストランや駐車場の案内、ロードアシストへの取り次ぎ、病院の夜間・休日診療時の案内、ニュースや天気予報の案内、カーナビの目的地設定、電話番号案内、保険会社への取り次ぎに至るまで、24時間365日、口頭で情報の検索や配信をオペレーターへ直接依頼できる。
また、T-Connect for CROWNでは、ホテル・レストラン・国内航空券・レンタカーの予約なども行なってくれるコンシェルジュサービスも展開している。

離れた場所に駐車したマイカーのセキュリティをスマートフォンで確認できる
離れた場所に駐車したマイカーのセキュリティをスマートフォンで確認できる

このようなクルマと人をつなぐサービスは、レクサスの「レクサスオーナーズデスク」、日産の「NissanConnect カーウイングス」、ホンダの「Honda Total Care プレミアム」、メルセデス・ベンツの「Mercedes me connect」、アウディの「Audi connect」など、各社でも展開している。

各社が有人サポートを展開

さらに各社のサービスを見ていこう。
日産の「NissanConnect カーウイングス」では、目的地の設定やリアルタイムの交通情報を利用した最短のルート案内、目的地となっている場所への通話アシストなどを、オペレーターが年中無休でアシストしてくれる。
また、万一のトラブルでもロードサービスへ取り次いでくれるなど、有人ならではのきめ細やかなサービスを受けられる。

ホンダの「Honda Total Care プレミアム」は、Honda CONNECT搭載車オーナーに向けたサービスで、主に緊急時のサポートを実施。事故などの緊急時にはオペレーターを通じて各機関に連絡し、敏速なトラブル解決を支援する。

メルセデス・ベンツの「Mercedes me connect」も24時間365日対応。車内のボタンを押すとオペレーターと通話ができ、緊急時の支援、リモートでの目的地設定、渋滞情報や経路紹介、株価や旅行、天気の情報、レストランやホテルの予約などを行なってくれる。
これらのサービスはスマートフォンにインストールした「Mercedes meアプリ」で車外からでも利用できる。

アウディの「Audi connect」では、「Audi connect Navigator」というオペレーターサービスがあり、レストランやホテルの予約、ガソリンスタンドの情報や駐車場内の車両位置情報などを紹介。
加えてSOSコールとして万が一の事故に対しても、コールセンターのアドバイザーが敏速にサポートしてくれる。

次世代の移動通信システムである5Gの運用開始で本格的な普及と進化が加速するであろうコネクティッドサービスだが、有人オペレーターサービスだからこそ、人のぬくもりや優しさを感じることができる“おもてなし”で、利用者に便利さや安全・安心をもたらしている。

次回はスマートフォンのさまざまな機能をクルマの運転中でも使えるようにする「ディスプレイオーディオ」を紹介する。

[ガズー編集部]

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