【現地取材】ヘルシンキで聞いてみた。「トヨタってどんなイメージ?」―MaaS最先端都市ヘルシンキ編最終回
世界で初めてMaaS社会を実現した最先端シティ、フィンランド・ヘルシンキ。その先進的な実例から日本でのMaaS展開の未来を考える連載の最終回。
「欧州車」という表現があるように、ドイツやフランス、イギリス、イタリア、スウェーデンなどヨーロッパには歴史ある自動車メーカーが多くある。フィンランドに自動車メーカーは存在しないが、そんな土地柄で国民車と呼ばれるのはどんなクルマだろうか。
MaaSの広がりによって「所有から利活用へ」という流れもあるなか、ヘルシンキ市民はマイカー、特にトヨタに代表される日本車にどんなイメージを持っているのか、市内で街頭インタビューを実施してみた。
自動車メーカーのないフィンランドではトヨタは国民車的な存在!
- トヨタ車はコストパフォーマンスが高く、壊れない、信頼性が高いと魅力を語ってくれた
最初に回答してくれた男性は「トヨタは世界でも有数の大きな自動車メーカーで、技術的な安心感がありますね。私も1978年製のカローラを買ったことがあって、冬場の厳しい環境のなかでも確実に動いてくれたのを覚えています。フィンランドには自動車メーカーがないので、トヨタは国民車みたいなものですよ」と、トヨタ車には求めやすい価格と安心感があるという。
- 1970年代からフィンランドでは安心感の高いトヨタ車は支持されていると話す
同郷のF1ドライバー、キミ・ライコネンやバルテリ・ボッタスを応援しているという初老の男性は、「初めて買ったクルマは1978年製のカローラ。トヨタは乗っていて安心で、信頼感のあるブランドだね。プレミアムクラスからエントリーカーまであって、フィンランドでは国民的なメーカーだと思うよ」と話し、最初に答えてくれた男性と同様にカローラを購入して、その当時からよいイメージを持っているそうだ。
- 東欧でもトヨタの人気は高く、性能やエンジンフィーリングなどが好まれているという
ルーマニア出身で現在はヘルシンキに住んでいるという男性は、「ヘルシンキではクルマを持っていませんが、ルーマニアではトヨタ・アベンシスに乗っていました。ディーゼルエンジンで非常によく走って頑丈でしたね。エンジンのフィーリングがよくて、ルーマニアでは中古でも高値が付きました」と、またしてもトヨタ車オーナーに遭遇。
「WRCは好きでよく見ています。東欧ではラリーの人気が高いんですよ。WRCを走るヤリスはかっこよくて速いし、応援しています」とモータースポーツへの関心も高かった。
- 自動車免許は持っていないがトヨタのことは知っているし、モータースポーツも好きで見ているという
一方、公共交通機関が発達し、環境への意識も高いヘルシンキ在住の人たちは、クルマを所有していない場合も多い。
「ヘルシンキに住んでいる限りはクルマはいりません。免許も取ったことがない私ですが、それでもトヨタのことは知っています。モータースポーツに関しても興味はあって、F1で活躍していたミカ・ハッキネンやキミ・ライコネンなどは応援していましたよ」という女性も。免許がなくてもクルマやモータースポーツへの興味はあるという。
- 若者の自動車離れはフィンランドでも同様で、ヘルシンキ市内ではクルマを持たない人も多いそうだ
また、20代の女性も「ヘルシンキに住んでいるからクルマは持ってないの。買おうと思ったこともないし、電車とバスで十分かな」と、公共交通機関を使って移動することがほとんどだと話す。
ほかにも何人かに話を聞いたが、カローラを始めとしたエントリーカーはフィンランドで国民車のような人気を誇っていて、かつて乗っていた、今も乗っている、あるいは知り合いが持っているという回答が多かった。そんななか印象的だったのがトヨタ車の安心感や信頼性で、冬のフィンランドの厳しい環境でも確実に走ってくれるメーカーだという。
ドイツを始め欧州にはさまざまな自動車メーカーがあるが、遠く離れたフィンランドでも日本車メーカーの品質は高いというのが知れ渡っていた。価格が手頃で壊れにくく、コストパフォーマンスが高いと誰もが認めている。こんな話を聞いてからヘルシンキの街中で日本車を見かけると、なんだか誇らしい気分になってしまった。
- 市内で見かけたトヨタ車
8回にわたってフィンランド・ヘルシンキのMaaS事情を紹介してきたが、次回からはスペイン・バルセロナに場所を変えて、スマートシティとクルマの関係を探っていく。センサーやIoTを駆使してクルマや道路を集中管理するバルセロナは、欧州委員会も認める最先端シティだ。そんな市内では、どんな工夫がされているのだろうか。
[ガズー編集部]
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