国内で10年ぶりとなる24時間耐久レースが開催、富士SUPER TEC 24時間レース

6月1〜3日、静岡県の富士スピードウェイ(静岡)において、国内では2008年以来となる24時間耐久レース「富士SUPER TEC 24時間レース」が開催され、#99 Y’s distraction GTNET GT-R(浜野彰彦/星野一樹/藤波清斗/安田裕信/スン・ジェン)が優勝を遂げた。

世界的にはル・マン(フランス)、デイトナ(アメリカ)、スパ(ベルギー)、ニュルブルクリンク(ドイツ)などの伝統ある24時間レースが開催されていて、自動車メーカーが車両の耐久性や高性能さをアピールしている。日本でも1968年に富士スピードウェイにおいて24時間レースが開催。その後は1994年から2008年まで、十勝スピードウェイ(北海道)においてスーパー耐久シリーズの一戦として真夏に開催されていた。
今回のレースは梅雨入り前の初夏のイベントとして、国内では10年ぶり、富士では実に50年ぶりに開催される24時間レース。夜間走行の安全性を確保するために、コースサイドには照明が新たに設置されるなど設備も整った。

スーパー耐久シリーズは、1991年にスタートして30年近い歴史を持つ参加型の耐久レースシリーズで、市販車をベースに改造されたツーリングカーを使用して行われている。改造範囲や排気量、駆動方式などにより8つのクラスに区分され、それぞれのクラスでレースが争われる。今回の24時間レースには合計50台の車両が参戦した。
またドライバーは通常レースでは3〜4名だが、今回は6名までの登録が認められた。ドライバーはジェントルマンドライバー(アマチュアドライバー)を中心に、SUPER GTやスーパーフォーミュラに参戦するプロドライバー、元F1ドライバーらも参戦。豪華なメンバーをそろえたチームもあるほどだ。さらに近年ではアジアからこのシリーズに参戦するチームもあるほど人気は高まっている。
サーキットにはキャンプ道具やテント持参のファンも多く、バーベキューを楽しみながら観戦するファンの姿も多く見受けられた。また夜間にはキャンプファイヤーや打ち上げ花火なども行われて、夏祭りという雰囲気だった。

#3 ENDLESS GT-Rがポールポジションを獲得

レースはまず1日に公式予選が行われた。Aドライバー、Bドライバーとして登録された2名のドライバーがそれぞれタイムアタックを行い、ふたりのベストタイムを合算した数字で順位が決まる。今回は#82 Phoenix Racing Asia R8(アレックス・アウ/ショウン・トン/アレックス・ユーン/フィリップ・エリス)がトップだったが、Bドライバーが走路外走行をしたためにタイムが抹消となり、#3 ENDLESS GT-R(YUKE TANIGUCHI/山内英輝/銘苅翼/峰尾恭輔/砂子塾長/山田真之亮)がポールポジションを獲得。2位は#99 GT-Rで、GT-Rがフロントローを独占する結果となった。

#99 Y’s distraction GTNET GT-Rが富士24時間を制覇

決勝スタートが切られたのは、2日の15時。ポールポジションの#3 GT-Rと予選2位の#99 GT-Rが隊列を引っ張り、これをポルシェ、アウディ、レクサスRC Fが追いかける展開となった。

序盤をリードしていたのは#3 GT-Rで、夜中からはほぼ独走状態となっていたが、朝のピットイン直後に白煙を吐いて緊急ピットイン。ブレーキ系トラブルの修復のためにピットガレージで時間を要しここでトップから脱落することになった。代わって#83 Phoenix Racing Asia R8(リム・キョン・ウィー/マックス・ホファー/マッチー・リー/メルビン・モー)、#81 J-Fly Racing R8(ジェフリー・リー/アンドレ・クート/川端伸太朗/アレッシオ・ピカリエッロ)、そして#99 GT-Rのトップ争いとなった。

このレースでは、レース開始20時間後(3日11時)までに、メンテナンスタイムとして1回8分間のピット作業が2回義務づけられている。3日朝の10時半ごろ、#83 アウディが2回目のメンテナンスタイムのためにピットインをする間に、既に2回のメンテナンスピット作業を済ませていた#99 GT-Rがトップに立った。その後は#83 アウディが追い上げたが、ペナルティやトラブルで後退。#99 GT-Rが2位に5周差をつけてST-Xクラス(FIA GT3規定車両)優勝と総合優勝を果たした。

この他、1台のみの参加だったST-Zクラス(SRO GT4規定車両)では、#51 DIAMANGO Cayman(石原将光/細川慎弥/池田大祐/坂本裕也/余郷敦)

ST-1クラス(排気量3501cc〜)では#47 D’station Porsche cup(星野辰也/織戸学/富田竜一郎/リ・ジョンウ/浜健二/小林賢二)が完走して優勝。

ST-TCRクラス(TCR規定車両)は予選上位勢がトラブルやアクシデントで後退するなか、ノントラブルで走りきった#75 m-1 CARFACTORY RS3 LMS(塚田利郎/蘇武喜和/清瀧雄二/松本和之/山路幸宏/渡辺忠司)が2位に22周の大差をつけてS耐参戦3戦目にして初優勝を果たした。

ST-2クラス(排気量1601〜3500cc、FF/4WD)は#6 新菱オート☆DIXELエボX(冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄/成澤正人/藤井芳樹/古山節夫)が優勝。

ST-3クラス(排気量1601〜3500cc、後輪駆動)は#68 埼玉トヨペットGreen Brave GR SPORT マークX(服部尚貴/脇阪薫一/平沼貴之/菅波冬悟/番場琢)がチームとしては3年ぶり、マークXでの初優勝を飾った。

参加13台と最も激戦だったST-4クラス(排気量1501〜2000cc)は、昨年の第2戦から連勝を続けていた86号車TOM’S SPIRIT 86(松井孝允/坪井翔/中山雄一/蒲生尚弥組)がマシントラブルのために後退。#55 Sunoasis田中建築86(たしろじゅん/大井貴之/三笠雄一/伊藤毅/田中雅之)が逃げ切って優勝。

ST-5クラス(排気量~1500cc)は昨年チャンピオンの#88 村上モータースMAZDAロードスター(村上博幸/雨宮恵司/吉田綜一郎/脇谷猛/中根邦憲/杉野治彦)が優勝した。

(文・写真/皆越 和也)

スーパー耐久シリーズ2018 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース 決勝結果

順位 No. クラス クラス順位 車名 ドライバー名 周回数 所用時間
1 99 ST-X 1 Y's distraction GTNET GT-R 浜野彰彦/星野⼀樹/藤波清⽃/安⽥裕信/Sun Zheng 759 24:00'27.319
2 83 ST-X 2 Phoenix racing Asia R8 Lim Keong Wee/Max Hoffer/Marchy Lee/Melvin Moh 754 24:01'50.282
3 81 ST-X 3 J-Fly Racing R8 Jeffrey Lee/Andre Couto/川端伸太朗/Alessio Picariello 745 24:01'59.101
4 244 ST-X 4 MAX Racing RC-F GoMax/⽥中哲也/佐藤公哉/⼟屋武⼠ 744 24:00'39.844
5 3 ST-X 5 ENDLESS GT-R YUKE TANIGUCHI/⼭内英輝/銘苅 翼/峰尾恭輔/砂子塾長/⼭⽥真之亮 733 24:00'40.480
6 47 ST-1 1 D'station Porsche cup 星野⾠也/織⼾学/冨田竜一郎/リ ジョンウ/浜健⼆/⼩林賢⼆ 701 24:01'13.736
7 68 ST-3 1 埼⽟トヨペット Green Brave GR SPORT マークX 服部尚貴/脇阪薫⼀/平沼貴之/菅波冬悟/番場琢 688 24:01'23.538
8 62 ST-3 2 DENSO Le Beausset RC350 嵯峨宏紀/宮⽥莉朋/⽯浦宏明/平⼿晃平/⼭下健太 686 24:00'53.644
9 38 ST-3 3 muta Racing ADVICS IS 350 TWS 堀⽥誠/阪⼝良平/新⽥守男 683 24:00'32.061
10 75 ST-TCR 1 m-1 CARFACTORY RS3 LMS 塚⽥利郎/蘇武喜和/清瀧雄⼆/松本和之/⼭路幸宏/渡辺忠司 683 24:02'10.456

上記ランキングは上位10位までを掲載しています。レースの結果詳細は公式リザルトの正式結果表をご覧ください。

トピックス:10年前の24時間レース「十勝24時間レース」

1994年から2008年まで十勝スピードウェイ(北海道)で開催された24時間レース。当時の懐かしいクルマや人を写真でご覧ください。

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[ガズー編集部]