全日本スーパーフォーミュラ選手権とは? レーススケジュールやポイントシステム、レースの流れやマシン「SF23」などを解説
日本におけるフォーミュラカーのトップカテゴリーがスーパーフォーミュラ(SF) で、クローズドサーキットのレースで日本自動車連盟(JAF)の全日本選手権が懸けられているのはSFとスーパーフォーミュラライツ(SFL)のみ (SUPER GTはFIAインターナショナルシリーズであり全日本選手権はかけられていない)。
フォーミュラカーとは4輪タイヤがカウルに覆われておらず剥き出しで、ドライバーの座るコクピットも屋根がないオープンの車両で、そのほとんどが一人乗り。国際自動車連盟(FIA)におけるフォーミュラカーレースの頂点はフォーミュラ1(F1)となる。
全日本選手権がかけられた国内最高峰のフォーミュラは1973年にスタートした全日本F2000選手権で、規格や名称を変更しながら2013年に全日本選手権スーパーフォーミュラ(2016年以降は全日本スーパーフォーミュラ選手権)として開催されている。
なお、今年からSFを運営する日本レースプロモーション(JRP)の会長には、中島悟氏に代わり近藤真彦氏が就任している。
スーパーフォーミュラの2023年レーススケジュール
今年のレースイベントはスポーツランドSUGO(宮城県)、モビリティリゾートもてぎ(栃木県)、富士スピードウェイ(静岡県)、鈴鹿サーキット(三重県)、オートポリス(大分県)において年間7回9レースが開催される。
1イベント1レースの場合のレース距離は110〜300km、1イベント2レース(開幕ラウンド富士、最終ラウンド鈴鹿)の場合のレース距離は各110〜300km。今年のレースに関しては、基本的には180〜190kmのレースが設定されている。
スーパーフォーミュラはマシンとタイヤはワンメイク。エンジンはトヨタ製とホンダ製
SFに使用されるシャシーは、ダラーラ社製のSF19をモディファイしたSF23のワンメイク。タイヤも横浜ゴムのワンメイク。エンジンは「NRE(ニッポン・レース・エンジン)」と呼ばれる直4、2リッターターボエンジンで、トヨタ製TRD/TRD01F、ホンダ製M-TEC/HR-417Eと2タイプあるがほぼワンメイク状態を保っている。
ドライバーは使用するエンジンがトヨタ製とホンダ製ということもあり、両社契約のドライバーがほとんど。外国人ドライバーの参戦もあり、コロナ禍以降減少傾向にあるものの今年は全20名中4名が外国からの参戦となった。
近年は若手ドライバーの起用が増え、最年少はリアム・ローソン(21歳)で最年長は元F1ドライバーである小林可夢偉(36歳)と年齢の幅も広い。ここ最近でもストフェル・バンドーン、ピエール・ガスリーなどF1へ駒を進めたドライバーや、2021年インディカーチャンピオンのアレックス・パロウらもSFの卒業生だ。
スーパーフォーミュラは、F1やWECなど世界のトップカテゴリーへの登竜門
初めてフォーミュラカーレースに全日本選手権が懸けられたのは1973年のF2000。ヨーロッパでシリーズ開催されていたF1のひとつ下のクラスであるF2規定をほぼ導入した形で、全日本F2000選手権がスタートした。
1978年には全日本F2選手権となり、この時代、星野一義や中嶋悟が大活躍を見せた。
さらにはヨーロッパのF2選手権が国際F3000選手権へ移行すると、1987には全日本F3000選手権へ。ここでは鈴木亜久里、片山右京、高木虎之介といったドライバーがF1へ巣立っていった。また海外からのドライバー参戦が増加し、エディー・アーバイン、ハインツ-ハラルド・フレンツェン、ジャン・アレジ、ミハエル・シューマッハーらもF1へ駒を進めた。
国際F3000がワンメイク化されると、1996年には全日本選手権フォーミュラ・ニッポンへ移行。本山哲や松田次生らが頭角を現し、海外勢ではラルフ・シューマッハー、ペドロ・デ・ラ・ロサ、ラルフ・ファーマン、ブノワ・トレルイエ、ロイック・デュバル、アンドレ・ロッテラーらがその後F1やWEC、DTMで活躍した。
そして2013年からは名称もスーパーフォーミュラとなり現在に至っている。
スーパーフォーミュラのマシン、タイヤ、エンジンを解説
車両は「SF23」のワンメイク
SFに使用されるシャシーは、ダラーラ社製のSF19を基本とし、今年から新たなカウルに変更したSF23のワンメイク。
SF23はSF19のシャシーにカーボン素材と同等の剛性と重量を保った麻由来の天然素材などを使用し、原材料や製造過程でのCO2排出力を約75%抑制したバイオコンポジット素材を採用し、空力も改良を受けた。
横浜ゴム製ワンメイクタイヤ
タイヤも横浜ゴムのワンメイクとなる。タイヤは天然由来の配合材やリサイクル素材といった再生可能原料を使用したもので、従来のタイヤとほぼ同等の性能を維持し、33%(ドライタイヤ)のリサイクル素材と再生可能原料の採用を達成した「カーボンニュートラル対応レーシングタイヤ」とした。
NREエンジンはトヨタとホンダが製造
エンジンは「NRE(ニッポン・レース・エンジン)」と呼ばれる直4、2リッターターボエンジンで、トヨタ製TRD/TRD01F、ホンダ製M-TEC/HR-417Eと2タイプあるがほぼワンメイク状態を保っている。またエンジンは年間で使用できるのは2基までとしている(3基以上使用の場合はペナルティが科せられる)。
引用:スーパーフォーミュラ公式サイト
https://superformula.net/sf3/about_sf/about_machine/
ポイントシステム、予選、決勝、オーバーテイクシステムを解説
ポイントシステム
選手権で争われるのは、下記の3部門。
- ドライバー部門
- チーム部門
- ルーキー・オブ・ザ・イヤー
ポイントは1位から10位までポイントが与えられ、予選でポールポジションを獲得すると1位から3位までポイントが与えられる。年間を通して最もポイントを獲得したドライバーがチャンピオンとなる。
決勝レース
優勝 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
20 | 15 | 11 | 8 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
予選
1位 | 2位 | 3位 |
---|---|---|
3 | 2 | 1 |
チーム部門は所属するドライバー1〜2名の獲得ポイントを合計し、ポールポジションはカウントしない。年間を通して最もポイントを獲得したチームがチャンピオンとなる。
ルーキー・オブ・ザ・イヤーは初参戦となるドライバーが3名以上いる場合、その中で年間獲得ポイント最上位の選手に贈られる。
またレースが途中で終了した場合、先頭車両が2周回を完了していない場合は得点なし、2周回以上75%未満の場合は半分の得点、レース距離の75%以上を走行してる場合はフルポイントが与えられる。
公式予選
公式予選は基本的にノックアウト方式で実施される。Q1はA、Bの2組に分けられそれぞれ10分間で行い上位6名がQ2に進出。Q2は12台により7分間実施され、これで決勝のグリッドが決定となる。
決勝レース
決勝レースはスタンディングスタートで始まる。なお決勝レース中にはタイヤ交換を伴うピットインをする義務があり、先頭車両が10周目の第1セーフティカーライン(通常はピットロード入口手前)通過時点から最終周に入るまでに最低1回行わなければならない。なおピット作業ができるピットクルーの人数は6名。
オーバーテイクシステム
決勝レースではオーバーテイクシステムを使用することができる。 ステアリングについているボタンを押すことでエンジンのパワーがアップして、前の車両の追い抜きやラップタイムの短縮が図れるというもの。
使用できる時間は合計200秒までで、一度使用すると100〜120秒間(サーキットにより異なる)使うことはできない。
昨年まで作動中はロールバーやリヤのライトが点滅していたが、今年から点滅しなくなったことで前後のドライバーに気づかれにくくなった。
現地観戦でもお家観戦でも「SFgo」が超おすすめ!
実際に現場で観戦できるのは各サーキットのスタンドやコースサイドからとなる。お気に入りの場所で腰を据えて楽しむのも良し、数か所のポイントを移動して撮影するのも良し。実際のエンジンサウンドやタイヤのスキール音、そしていろいろな匂いなど現場でしか味わえない楽しみがある。
そして注目なのは、今季導入されたアプリ「SFgo」。有料のアプリとはなるが、レース中継映像だけでなく、ドライバーのあらゆる情報を選択して楽しむことができる。また過去のアーカイブ映像、ドライバーやチームの情報なども楽しむことができる。サーキットでの情報アシストとなり、サーキットに行けなくてもリアルタイムに情報が得られるようになった。
テレビ中継はBS「J SPORTS」にて有料で観戦できるが、2023年シーズンからは「ABEMA」で無料放送が開始、PCやタブレット、スマホなどで視聴できるようになった。
加えてSF公式YouTubeは今季開幕より無料化されることとなった。
スーパーフォーミュラ公式サイト
TOYOTA GAZOO Racing スーパーフォーミュラサイト
Honda Racing スーパーフォーミュラサイト
(文:皆越和也 写真:スーパーフォーミュラ、TOYOTA GAZOO Racing)
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