【WRC2023】第9戦 エバンスが2年ぶり2回目のラリー・フィンランド優勝。勝田は4度目の表彰台となる今季最上位の総合3位を獲得(ラリー・フィンランド)

  • 33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)

2023/8/3-8/6、フラットなグラベルコースでの超高速ドリフトと、数十メートルを飛ぶビッグジャンプが醍醐味となる、WRCを代表する伝統の超高速グラベルラリー、第9戦ラリー・フィンランドが行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン(33号車)が優勝した。
エバンスにとっては第4戦クロアチア・ラリー以来となる今シーズン2勝目、キャリア7回目の優勝となり、ラリー・フィンランドでの優勝は、2021年大会以来2回目となった。
また、勝田貴元/アーロン・ジョンストン(18号車)が総合3位となり、勝田の表彰台フィニッシュは、昨年の最終戦ラリー・ジャパン以来4度目。スポット出場のヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン(97号車)は総合5位を獲得した。

DAY1
夜7時過ぎからユバスキュラの市街地で、市街地のターマックと、公園内のグラベルの両路面がミックスされた3.48kmのショートステージ、スーパーSSが1本行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのロバンペラが総合3位に、エバンスが総合5位に、勝田が総合7位につけた。
また、今回久々にドライバーとしてラリー・フィンランドに出場し、WRCで初めてGR YARIS Rally1のステアリングを握ったチーム代表のラトバラは、9番手タイムを記録し、チーム全車が初日を走り切った。

DAY2
この日から森林地帯での本格的な戦いがスタート。サービスパークの北東エリアを中心に計9本、距離104.76kmのステージが行なわれた。
ステージは、夜中から朝にかけて断続的に降った雨により全体的に湿っており、また、昼前からは時々雨が強く降り、路面が泥状になったり、水溜まりもできるなど非常に難しい路面コンディションでの戦いとなった。
エバンスは、8ステージで2番手タイムを刻むなど好調を保ち首位に、勝田はオープニングのSS2でベストタイムを記録するなど、濡れて非常に難しいコンディションとなった超高速ステージで攻めの走りを続け、総合3位に順位を上げた。
ロバンペラは、伝統的なステージである「ミヒンパー」の2本目、SS8の終盤でクルマが大きくスライドし側溝に落ちた後、横転。クルマのダメージが大きくデイリタイアすることになった。

DAY3
サービスパークの南西エリアが戦いの舞台となり、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。計8本のステージの距離は160.68kmと、4日間で最長の一日となった。この日も天気は安定せず、午前中は時々降る雨により路面は全体的に湿った状態に。しかし、午後は天気が回復して青空も広がり、路面は急速にドライコンディションになっていった。
エバンスは、トリッキーなコンディションとなったステージで朝から速さを発揮、7ステージでベストタイムを記録しリードを拡大、首位をキープ。勝田は、午前中2本目のSS12でスピンするも攻めの走りを続け、最終のSS18では渾身の走りで今大会2度目となるベストタイムを記録するなどし、総合3位を死守した。
なお、デイ2で横転したロバンペラは、シャシーのダメージが大きく、ラリー期間中に修理をできないことから、今大会からリタイアすることとなった。

DAY4
前日と同様、サービスパークの南西エリアが戦いの舞台となり、ミッドデイサービスを挟むことなく2本のステージを各2回走行。計4本のステージの距離は51.64km。
この日は早朝から雲間に青空が見えるなど、久々に降雨のない爽やかな一日に。気温も23度前後まで上昇したが、依然湿り気を帯びた路面も多く残り、最後まで気の抜けないコンディションでの戦いとなった。
エバンスは、この日も好調を維持。今大会最後の勝負の場となったパワーステージのSS22では、今大会10回目のベストタイムを記録するなどし、パーフェクトウィン。勝田は、SS21で大会3回目となるベストタイムを記録。最終のパワーステージでは4番手タイムを記録などし、総合3位を獲得した。
なお、チームはエバンスと勝田が獲得したポイントにより、マニュファクチャラー選手権におけるリードを67ポイントに拡げた。

≪豊田 章男 (TGR-WRTチーム代表代行として)≫
ラリーフィンランドではチーム代表代行として4つの仕事をさせてもらいました。1つ目は”チームに声をかけてまわる”こと。かけた言葉は朝の「おはよう」と3つの合言葉…「One team」「Never give up」「We hate to lose」。そして、今回教えてもらったフィンランドの言葉「SISU」だけです。たまにしか会えない私でも、これらの言葉があれば心が通じ合えるのが我々のチームです。コースオフして戻ってきたカッレに「Never give up !」と声をかければ「Yeah ! We hate to lose !」と返してくれます。リタイアが決まったカッレは、そのあと貴元に色々なアドバイスをしてくれていました。まさに「One team」です。こんな素敵なチームを築いてくれているヤリ-マティに改めて感謝します。Amazing Weekをありがとう!

2つ目の仕事は”SSでドライバーたちを”見守る”こと。私が見守っていると感じた貴元は、気合いを入れてステージトップタイムをマークしてくれました。タイムへの貢献に繋がったようでよかったです。おかげで念願だった「貴元と一緒に表彰台」も叶えることができました。貴元、表彰台おめでとう!

3つ目の仕事はチーム代表としてインタビューに答えること。SSやサービスで数々のインタビューに応じました。トミ(マキネン)やヤリ-マティは我々トヨタのために、いつもこんな大変な仕事をしてくれていたんだと改めて感謝しました。

最後の4つ目は”表彰台に立つ”という仕事です。体中がベタベタになってしまう一番”やりたくない仕事”でしたが、本当に嬉しい経験でした。こんな素敵な経験をさせてくれたエルフィンとスコットに心から感謝します。表彰台でも言ったけどもう一度…

エルフィン、スコット本当におめでとう! 表彰台に連れていってくれてありがとう!

ベタベタになるのはイヤですが、”ぜひもう一度”、”できることなら日本で”このAmazingな仕事をやらせてもらえれば嬉しいです。今回、カッレとヨンネには走り切らせてあげられず申し訳なかったけど、次は君たちともベタベタになれればと思っています。今回、代表代行の仕事をさせてもらい、チームメンバーそれぞれが本当に大変な仕事をやってくれていることを実感し、みんなに感謝しました。

残り4戦は再びヤリ-マティがチーム代表を担っていきます。引き続き「One team」「Never give up」「We hate to lose」そして「SISU」を合言葉にチームメンバー全員で戦っていきましょう! みんな、よろしく頼みます!

≪豊田 章男 (TGR-WRT会長として)≫
我々が目指すのはドライバーファーストのチームです。しかし、チーム代表のヤリ-マティが知っているクルマは今までヤリスWRCだけでした。ドライバーたちが乗っているGR YARIS Rally1 HYBRIDには乗っていません。チャンスがあればGR YARIS Rally1 HYBRIDをヤリ-マティにドライブしてもらいたいとずっと考えていました。やっとそれが叶い、ヤリ-マティはドライバー仲間のユホと共に全てのステージを走り切ってくれました。彼らはずっと笑顔で走っているように見えました。しかし、きっとそうじゃない瞬間もあったはずです。ドライバーがずっと笑顔で気持ちよく走れるクルマを、これからもヤリ-マティ達と一緒につくっていきたいと思います。

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