トヨタが来年販売予定のe-バイクで目指すこと・・・ジャパンモビリティショー2023

東京ビックサイトで「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(以降:JMS)」が開催されています。(一般公開は10月28日から)トヨタブースでは未来を描いたバッテリーEVのコンセプトモデルや市販化予定のクルマなどが沢山展示されていますが、こっそりe-バイクが展示されています。トヨタが原付バイクを開発するのはハードルが高そうですが、電動バイクだからこそ参入できるのかもしれません。

振り返って見ると、1980年代にホンダがシティと同時発売した折り畳み式超小型スクーターのモトコンポが先駆けです。価格は8万円、スペックは2.5馬力程度なのですが、ユニークなデザインとシティのトランクルームに収納ができるため注目をあびました。今でも愛車取材をしていると、トランクにモトコンポを収めている方を時々見かけます。河原に行ったとき、広い会場、そして旅行先の中心部が混んでいるエリアなどで役に立つアイテムなのですが、短い期間で販売は終了してしまいました。それから約40年後の先月(9月)ホンダの米国法人であるAmerican Honda Motorがモトコンポに似ている電動Motocompactを発表しました。最高時速は約24km/hです。

そして、その1か月後にトヨタが展示したのはe-バイクのLAND HOPPER(ランドホッパー)。最高速度は19km/h、重さは約20Kg、航続距離は30km、折りたたむとコンパクトになり、ヤリスクロスに2台も乗せることができるそうです。また前輪を2つ備えており、ラフロードでもグリップ力を失わない工夫がされています。e-バイクとしては申し分ない仕様になっているうえ、特定小型原動機付自転車になるのです。そのため、免許証が無くても16才以上であれば運転できます。ヘルメットは自転車と同じで「努力義務」となります。

トヨタでe-バイクの生産などできるのか気になるので担当者に聞いてみました。担当者は3代目プリウスのCEであった大塚明彦氏でした。

「販売は来年です。自転車業界は設計から販売までを7か月で回しており自動車業界のスピード感とは全く異なります。自分達はフレーム部分についてしっかり設計し、他の部品はそのパーツが得意の企業の部品を利用し、生産もOEMを検討しなければいけないと思っています。そのうえ販売網も考えていかなければいけません。もちろん、SUV車種のオプションなどにもしていきたいです」。利用イメージとしては、「京都、ヨーロッパなど中心部にクルマで入るのでなくて、最後はクルマから降りてこのe-バイクを使ってもらえたらと思います」。とても楽しそうに教えてくださいました。

日本の自転車メーカーは品質がとても良い印象ですし、自動車メーカーの社員は、自転車(e-バイク含み)は自分達の業務外と思いがちです。未来を今よりもっと良いモビリティ社会にするために、クルマ以外の分野でも自動車会社ができることを仲間と連携し、愚直に夢に向かう大塚明彦氏を見習わなければと、お話を聞きながら思った次第である。

(GAZOO編集部:岡本)