トヨタ、新型プリウス(HEV&CNF)のレーシングカーや水素エンジン車でタイ10時間耐久レースに参戦

  • ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept

    ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept

トヨタ自動車は、12月22日、23日にタイで行われる10時間の耐久レースに、スーパー耐久に参戦するマシンと新たにHEVシステムを搭載しカーボンニュートラル燃料を使用するトヨタ初となるプリウスのレーシングカーで参戦する。

2022年12月に、タイでの25時間レース「IDEMITSU 1500 SUPER ENDURANCE 2022」に参戦し、カーボンニュートラル社会実現に向けて燃料の選択肢を広げる世界的な挑戦へと踏み出したトヨタ。
2023年4月にはタイのCharoen Pokphand Group(以下、CP)との協業を発表し、Commercial Japan Partnership Technologies株式会社(以下、CJPT)とともに、タイならではの水素をはじめとする再生可能エネルギーの活用やコネクティッド技術の活用による物流・人流の効率化、そしてタイのエネルギー事情や交通事情を踏まえたHEVやBEV、FCEVなどさまざまな電動車の提供に向けて取り組んでいる。

そして2023年12月22日、23日にタイのチャーン・インターナショナル・サーキットで行われる10時間の耐久レース「IDEMITSU SUPER ENDURANCE SOURTHEAST ASIA TROPHY 2023」に参戦することで、モータースポーツを起点としたカーボンニュートラルの選択肢を広げる挑戦を、アジアの仲間とともに推進していくという。

タイ10時間耐久レースの参戦車両、ドライバー

  • ORC ROOKIE GR86 CNF concept

    ORC ROOKIE GR86 CNF concept

参戦する車両は3台で、どれもルーキーレーシングからの参戦となる。

  • カーボンニュートラル燃料を使用するGR86「ORC ROOKIE GR86 CNF concept」
  • 水素エンジンカローラ「ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept」
  • カーボンニュートラル燃料を使用するプリウス(HEV)「CP ROOKIE PRIUS CNF-HEV GR concept」

ドライバーラインナップは12名がエントリーしている。

MORIZO選手
小倉 康宏選手
Kachorn Chiaravanont(カチョーン・チャラワノン)選手
佐々木 雅弘選手
片岡 龍也選手
石浦 宏明選手
大嶋 和也選手
蒲生 尚弥選手
山下 健太選手
平良 響選手
加藤 恵三選手
豊田 大輔選手

カチョーン・チャラワノン選手は、CPの執行役員でもあり、CPの交通サービス事業を担うTrue Leasing Co., Ltd.の社長を務める方というのも、このプロジェクトの協力関係がうかがえる。

さらに、Toyota Gazoo Racing team Thailandの参戦車両のうち、カローラ、86、ヤリスの3台についても、カーボンニュートラル燃料を使用して走行するという。

新型プリウスのレーシングカーはHEV&カーボンニュートラル燃料

  • トヨタ・プリウス

これまでスーパー耐久を舞台に市販車ベースのレーシングカーとして、GR86でカーボンニュートラル燃料、GRカローラには水素エンジンを搭載してきた。今回の耐久レースではさらにマルチパスウェイの取り組みを広げるため、特にアジアやタイのカーボンニュートラル実現において有効な選択肢の一つというHEV車両にて参戦する。

車両は新型プリウスで、世界耐久選手権(WEC)で磨いてきたRacing Hybridの技術や、市販車ベースのレーシングカー製作のノウハウを投入し、走りの魅力と燃費性能を両立したHEV技術を鍛えていくという。

タイでの水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」仲間づくりの促進

  • CPの養鶏場のバイオガス

    CPの養鶏場のバイオガス

2021年から気体水素を、2023年からは液体水素を使った水素エンジンを搭載したマシンをスーパー耐久で走らせているトヨタ、そしてルーキーレーシング。この活動を中心に水素の「つくる」「はこぶ」「つかう」仲間は51まで増加している。

今回の挑戦では、タイ国内でも屈指の鶏肉の流通量を誇るCPの養鶏場の鶏糞から生成されたバイオガスと、トヨタの拠点であるToyota Daihatsu Engineering & Manufacturing Co., Ltd.(以下、TDEM)で発生した廃棄食料から生成されたバイオガスを使い、TDEMの水素製造機で製造した地産地消の気体水素を、水素エンジンカローラの燃料の一部に使用するという。

さらに、タイを起点としたアジアへの水素利活用の普及を目指し、イベント会場では、CPとの協業における実証実験に使用したFCドローンを初披露、タイの仲間と共に推進中の水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」の取り組みを紹介する予定だ。

  • CPとの協業における実証実験に使用したFCドローン

    CPとの協業における実証実験に使用したFCドローン

2019年に86で初めてタイの10時間レースに参戦したことをきっかけに、日本とタイで続けられているモータースポーツを生かした技術的な交流。そして2023年から本格化している水素の利活用を含むカーボンニュートラルの選択しを増やすための多方面にわたる協力関係。

国内でもスーパー耐久へのレース参戦を通じ多くのメディアが特に水素についての報道をするようになったが、タイ、そしてアジアの国々でも同じようにカーボンニュートラルのマルチパスウェイへの活動が認知されていくことを期待したい。

(文:GAZOO編集部 山崎、写真:トヨタ自動車、雪岡直樹)