TRDの新しいラリーが開幕!これがラリチャレと地区戦のいいとこどりで楽しい!
TRDと言えば世界最速のツーリングカーレース<SUPER GT>に参戦するLEXUS LC500、RC F GT3の開発、サポートなどモータースポーツの第一線で活躍し、そのノウハウを活かしたカスタムパーツでも有名なブランド。そしてクルマを機能的にかっこよくするだけでなく、昔から<Fun to Drive>を走る場を提供し続けています。サーキットでは38年前にスターレットのワンメイクレースを主催し、以後AE86、ヴィッツ、アルテッツァなどのレースを開催してきました。そしてラリーでは、2002年にワンデイで気軽にヴィッツで楽しめるTRDヴィッツチャレンジを開催。2012年にはトヨタ86発売とともにトヨタ車であれば参加できるTRDラリーチャレンジ(現・TGRラリーチャレンジ)にクラスを増やし、モータースポーツのグラスルーツ活動を推進しています。
私は2013年にGAZOO Racingからのお誘いでヴィッツで参戦し、その楽しさを体感し、この活動を盛り上げようと翌2014年からMEGAWEB、片山右京さん率いるTeamUKYOそしてネッツ東京(現・トヨタモビリティ東京)とコラボレーションし、女性選手によるシリーズ参戦をサポートしてきました。
そして今年から新たに中級者向けのラリー<TRD Rally CUP by JBL>を開催することを知り、<GR Tokyo Racing>から塚本奈々美選手とTOYOTA86に乗り、さっそく開幕戦に参戦しました。
- 神流川の河川敷にサービスパークが整備された。大自然のなか心地いい
ドライバーもマシンも平準化する仕組み
<TRD Rally CUP by JBL>は、地区選手権、県戦と併催するかたちで開催され、今回は東日本ラリー選手権、群馬ラリーシリーズと併催で<ネコステ山岳ラリー2019>として総エントリー台数は61台ととても賑やかです。なるべくイコールコンディションでリーズナブルに参戦できるように規定があります。まずドライバーですが、国際格式のラリー選手権参戦経験者、全日本ラリー選手権でクラス6位以上入場経験者は参加できません。車両はCUP-1がヴィッツ、CUP-2がTOYOTA86、スバルBRZで、サスペンションの交換、取付部の補強など多少自由度がありますが、あとはTGRラリーチャレンジとほぼ同様。タイヤもダンロップ、ヨコハマの一般市販ラリータイヤのブロックパターンのみです。こうしてドライバーの技量と車両をできるだけ同一にすることで、ドライビングテクニックを磨いたり、メカニックとサスペンションセッティングなどをしながら上位を狙うおもしろさがあります。
- サービスは私が全日本ラリーでもお世話になっているCUSCOにサポートをしていただいた
- セレモニアルスタート。ここからSS55.9km、リエゾン93.54km、総走行距離149.44kmのラリーがスタート
SSは全日本並みの距離で走り甲斐あり
初級者向けのTGRラリーチャレンジのSSは、約2kmの登りで構成されます。SSの総距離は10kmくらいです。それに対し<TRD Rally CUP by JBL>は長いのが特徴です。今回は6km、9km、12kmの長さで、登りだけでなく下りもあり、ブレーキングの難易度が一気に上がります。総距離は55km。私は全日本ラリー選手権にも参戦していますが、SSの難易度は同じです。さらにTGRラリーチャレンジでは、清掃され整備が行き届いた路面ですが、<TRD Rally CUP by JBL>は全日本同様、ターマックでも穴があったり苔が生えていたり、砂や石、枝が散らばっていたりとスリル満点です。ただ全日本同様レキが2回でき、ペースノートをしっかり作り込めるので、精度を高めるおもしろさがあります。
クラス2位で完走。これはおもしろい
今回はワンデイだったため、スケジュールが過密で5:30からレキ開始。SSはペースノートに書きこむ枚数も多いですが、やはりレキが2回できることが何よりありがたい。レキからサービスに戻ってきたら車検へ。12:30に1号車から順にスタート。最初のSSはペースを落として路面の状態を確認しながら走り、SS2からペースを上げて走ってみると、SS2、SS3をクラストップでゴール。
- 走りやすい路面を疾走する
- ジャンプスポットがあり、7mジャンプした。純正サスペンションだがまったく問題なし。市販車の強さを知った
前半を終えてトップと2秒差。同じ3本のSSをさらにペースを上げて行こうと、SS4では1回目より7秒短縮してあと2本もこの調子でと思いましたが、思わぬ敵が。日が暮れることはわかっていましたが、思っていた以上に林道が暗く、ペースを落とさなければなりませんでした。同じクラスで1台だけランプを追加しているマシンがここでペースを下げずに走り、12kmの最終SSで50秒差で盛り返してきました。トータルで追い抜かれ、私たちは2位になりました。
今回はTGRラリーチャレンジに参戦している状態の純正サスペンションのTOYOTA86で参戦しました。今まではSSの距離も短かったのでよかったのですが、<TRD Rally CUP by JBL>では、より速く走るために見直す必要も見つかりました。部品の交換や改造範囲が制限されていて、市販車の性能をドライビングで引き出す楽しさがあり、かつ全日本ラリー並みの距離を走れる新しいラリーのかたち<TRD Rally CUP by JBL>は、とてもエキサイティングでした。今シーズンは、京都、三重+滋賀、高知、秋田とあと4戦あるので、お近くのかたは参戦はもちろん、ぜひ観戦に行くことをおすすめします。
- 前半3本のSSを終えてサービスへ戻ってくる
(テキスト:寺田昌弘/写真:TRD・CUSCO・山本佳吾・越智瑞穂・栗山尚広)
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
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