メッサーシュミットKR175/KR200・・・リアエンジン・リアドライブの名車特集
今回ピックアップするのは、いまやすっかり少なくなった「エンジンを一番後ろに積むクルマ」。軽自動車からスポーツカーまで、代表的なリアエンジン・リアドライブのモデルを紹介します。
メッサーシュミットKR175/KR200
第2次大戦の敗戦により航空機生産を禁じられたドイツのメッサーシュミットが、1953年にリリースした前2輪、後ろ1輪の三輪車がKR175。同じくドイツのBMWがライセンス生産したイセッタなどと並んで、戦後の耐乏期にドイツを中心に欧州ではやった、“バブルカー”などと呼ばれる超小型車の代表的なモデルである。
カビネンローラー、すなわち「全天候対応のキャビン付きスクーター」がコンセプトで、シート配置は複座戦闘機のような前後方向のタンデム。単独のドアはなく、左側ボディーサイドまで切れ込んだキャノピーを開閉して乗降する。後席の背後に空冷2ストローク単気筒174ccエンジンを搭載し、4段変速機を介して後輪を駆動するが、バックギアはなく、後退の際はエンジンを逆回転させた。
1955年にはエンジンを191ccに増強したKR200に発展。1957年には透明アクリル製キャノピーの代わりにキャンバストップを備えたカブリオレ、さらにサイドウィンドウを取り去り、ソフトトップを簡素化したKR201と呼ばれるロードスターも加えられた。これらと前後してメッサーシュミットは航空機産業への復帰を許可され、カビネンローラーの生産は新たに設立されたFMR社に委ねられた。だが需要の低下に伴い、1964年にKR200を生産終了。FMR社は自動車生産から撤退した。
[ガズー編集部]