【ラリージャパンを1000倍楽しもう!】知れば知るほど奥が深い! ラリー専用アイテムCHECK[Vol.2 ドライバー装備編]

サーキット競技と異なる部分がいっぱいのラリーでは、装備品や関連アイテムにも、他のモータースポーツとはちがった特徴やこだわりがたくさん詰まっているんです!

というわけで前回に引き続き、全日本ラリー選手権のトップカテゴリJN1クラスに参戦している『ADVAN CUSCO WRX -STI(VAB)』の柳澤宏至/保井隆宏ペアにお話を伺いつつ、ラリーならではのパーツやアイテムを紹介していきます。

第2回目はドライバーとコ・ドライバーの装備品について。レーシングウェアやヘルメットなどはサーキットでもおなじみですが、実はよく見るとチョット違うんです!

ヘルメット

マイクやスピーカーを装備したジェット型が人気

モータースポーツ用の装備のなかでも、基本中の基本としておなじみなのがヘルメット。F1をはじめとしたサーキットレース用のフルフェイス型に対し、ラリーでは悪路走行などを考慮して視界が広いジェット型のヘルメットを愛用している選手が多数派。クルー間の通話で使用するマイクとスピーカを装備しているのもラリーならではの特徴ですね。ヘルメットに関しても参加レース毎の安全基準に合わせた規格のものを選ばないといけないし、JAF戦の場合は耐用年数も10年と決められています。

左右の耳の部分には、密閉型ヘッドホンのようなスピーカーユニットが装着されています。「走行中のエンジン音などは直接聞くのではなく、自分の口元にあるマイクが拾った音をスピーカーから聞く感じになるので、最初は違和感がありましたね」と柳澤選手。

こちらは保井選手が着用しているヘルメット。WRCでも多くの選手が愛用しているイタリアのstilo(スティーロ)製で、あごの部分から伸びているアームにはインターコム用のマイクが内蔵されています。

柳澤/保井組の使用するインターコムシステムは、アンプを介して有線で通話する方式。レッキと呼ばれる下見走行時はヘルメットを被れないので、保井選手はドライバーの声を聞き漏らさないようにヘッドセットをしてペースノートを書いているそうです。

レーシングスーツ

長距離でも快適、こだわりの特注ポケットなども!

競技中にドライバー、コ・ドライバーが着用しているのが『レーシングスーツ』あるいは『ドライビングスーツ』と呼ばれる布製ツナギです。ラリーを含む4輪車レースではとくに火災発生時に乗員を守る耐火炎性能が求められるほか、自力で脱出できないときに引っ張り出すために肩と腰にフラップが装着されているのが特徴となっています。国内ラリーではJAFまたはFIA基準を満たしたものを装着しなければなりませんが、柳澤選手の場合は長時間でもドライビングに集中できるように、動きやすさや軽さ、通気性の高いものを選択しているそうです。

FIAの厳しい耐火炎性能を満たしていることを証明するのが襟のワッペン。レーシングスーツの素材はデュポン社のノーメックスなど、耐火性の高いアラミド繊維と呼ばれるものが使われています。柳澤/保井選手が着用しているのは、3本ラインでおなじみのアディダス製のレーシングスーツ。

コ・ドライバーのなかには、筆記具などを収納しておけるようにレーシングスーツに特注でポケットを追加しているケースもあります。保井選手の場合は「シートに座っているときに取り出しやすいように」と、裾の部分にスーツと同じ素材のポケットが。

グローブやシューズ、ソックスも耐火炎タイプのものを装着しなければなりません。基本的にはサーキット用と同じものですが、運転操作をしないコ・ドライバー向けに底の厚いシューズも販売されているそうです。ほかにも国際格式の競技ではバラクラバ(目出しマスク)や耐火炎性アンダーウェアなども着用が義務づけられています。

FHRシステム

WRCでは2005年から義務化された最新の安全装備

レーシングスーツやヘルメットと同様に、乗員の命を守るために欠かせない装備がFHR(頭頸部保護)システム。ヘルメットと首のサポーターをテザーと呼ばれるベルトで繋ぎ、クラッシュ時の頭や首への衝撃を減少させることができます。WRCでは2005年から、国内でも着用の推奨や義務化が進んでいます。いろいろな種類がありますが、WRCをはじめラリーでもっとも選ばれているのが、米国シンプソン社の『Hybrid』。サーキットレースで多く使用されている『HANS』に対し、横方向からの衝撃に対する安全性が高いことがその理由のようです。

スペシャルハンドルカバー

柳澤選手が手作りしたペースノート作りの秘密兵器!?

ラリードライバーの優れたドライビングテクニックを持ってしても、知らない道をいきなり全開で走るのは無茶というもの。SSでの迫力の全開走行は、コ・ドライバーが読み上げるペースノートがあってこそなんです。そんな重要なペースノートを作るためにおこなわれるレッキ(下見走行)では、レンタカーを使用することが多いのですが、そのときに役立つのが、柳澤選手が自身で製作したというこのアイテム。プリントされた数字がハンドルを切る量(コーナーのきつさ)となっていて、この数字を参考にしながらペースノートを作っていくそうです。

パッと見は同じように見える装備品も、実はサーキット用とは少し違っているということにビックリ! 実はサスペンションやホイールなどマシンの方にもそんなポイントが存在するので、次回はその辺りをチェックしてみたいと思います! また、他のレースでは存在しないコ・ドライバーには、ラリーならではのこだわりがまだまだ隠されていそう!? こちらも改めて深掘りしてみましょう!

<取材協力>
株式会社キャロッセ
https://www.cusco.co.jp/

[ガズー編集部]

ラリージャパンを1000倍楽しもう!特集

MORIZO on the Road