【動画】「トヨタGRヤリスRS」試乗インプレッション 車両紹介編
「GRヤリスRZ」と全く同じ外観の、1.5リッターのGRヤリスRS。いやいや、こちらもれっきとしたGRヤリスなのだけれど、ともかく筆者はこのRSというグレードを初めて見た時、大いに戸惑った。
だってそうだろう? GRヤリスはトヨタがWRCのタイトルを取るためにつくりあげた、本気のホモロゲーションマシンという触れ込みだった。必要な装備を組み込めばローカルラリーに出場できて、しかもバッチリ勝てるだけのポテンシャルが与えられた、モータースポーツのベース車両。そんな本物の性能を手に入れられるから、クルマバカは萌(も)えるのだ。
それが、“ガワ”だけー!?
IKKOさんが叫んだのかと思った。
かたや最高出力272PSの4WDターボ、こなた120PSのFFノンターボ。そのギャップ、あまりに大きすぎるじゃないか。
これは筆者の推測だが、トヨタは是が非でも2万5000台以上売る必要があったホモロゲーションの条件を真正面から正々堂々クリアして、この3ドアボディーを実戦投入しようとしたのだろう。
そしてこのガワだけでも、「何としても欲しい!」というWRCの熱烈なファンもいるだろう。さらに言えば「272PSなんていらないし、カッコよければいいじゃん。安いしオートマだし!」という、ライト層も。
だけれどクルマバカの筆者は、やっぱりモヤモヤしていた。だったらもっと、やることあったのではないか、と。
例えばこれほどのボディーを与えるなら、同じ1.6リッターターボのタービンをレスポンス重視にして、220PSくらいにまで出力を抑えた上で、FWD化する。そう、単純に4WDと2WDのバージョンをつくればいいじゃないか。
その上で1.5リッター版があるなら、納得もいく。むしろとってもぜいたくだ。「ガワだけ欲しい人、いるよね。さすがトヨタだね」と素直に思える。少なくともこのRSには、CVTだけじゃなく6段MTも用意するべきだ。トヨタがTGRラリーチャレンジでスポーツCVTの研鑽(けんさん)を続け、モータースポーツの門戸を広げようとしているのは、わかる。でも、RZの価格が高くて涙をのむファンのためにも、6段MTは用意してほしいと思うのだ。
(文:モータージャーナリスト・山田弘樹)
[ガズー編集部]
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