【ワクワクが止まらない!GRヤリスの世界】WRCドライバー勝田貴元選手の夢をカタチに。トムスがラリーテイストなエアロを創造し、コンプリートカー開発にも意欲を見せる!!
スーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパーフォーミュラ・ライツ(旧F3)などのカテゴリーに『チーム・トムス』として参戦し、2017年度のスーパーGT年間チャンピオンや2019年スーパーフォーミュラのドライバーズチャンピオン、2020年のチームチャンピオン等、毎年、全カテゴリーのタイトル争いに絡む輝かしい成績を残してきたトムス。
また、トヨタのオフィシャルチューナーとしてトヨタ/レクサス車を中心とした自動車用品の企画から開発、販売まで一貫して行っているアフターパーツブランドとしても知られている。
そんなトムスが今年の東京オートサロンTVで初披露して大きな話題を呼んだのが、WRCドライバー勝田貴元選手とともに開発したGRヤリスのエアロパーツだ。
今回は、そんなGRヤリスの開発秘話や今後の展開、さらにGRヤリスに触れて感じた率直な感想をトムスの神山さんに伺ってきた。
勝田選手からの電話でスタートしたトムスGRヤリス開発
「ある日、現役ラリードライバーである勝田貴元選手から『GRヤリスのカスタムを一緒にできませんか?』と連絡があり、このプロジェクトがスタートしました。勝田選手は、2013、2014年チーム・トムスの F3 ドライバーとして活躍していましたし、愛車のレクサス RX に トムスのエアロを付けてくれています。そんな勝田選手から相談でした。トムスとしても、彼を応援したいという気持ちやモータースポーツを盛り上げていきたいという思いがありましたし、売上の一部を勝田選手の活動支援に充てることも提案しました」と、勝田選手とGRヤリスのカスタムを開始することに至った経緯を教えてくれた。
勝田選手が思い描く『WRカーを彷彿させるGRヤリス』の実現へ
実際に勝田選手とのエアロ開発を進めていくうえで苦労した点を聞いてみると「勝田選手の頭の中にあるイメージを具体化することですね。彼の中にはWRCの雰囲気を残したいという熱い想いがあり、実際にWRカーに乗っているので、たくさんのこだわりがありました。例えば、WRカーのようなウイングや整流フィン、ダクトの配置など、勝田選手の意見がふんだんに盛り込まれています。そこにトムス流のエアロメイクを融合させた感じですね。とはいえ、勝田選手から相談を受けた去年の夏頃の段階では、まだ新型GRヤリスの実車はなかったので、テスト車両の写真や映像を見たり、勝田選手の話を聞いたりしながらイメージを膨らませました」と神山さん。
「いっぽうで、WRカーのような派手なウイングやエアロは、コストや車検の問題もあり、そのままでは市販化が難しいところもあります。それに、トムスとして開発する以上、見た目だけではなく性能も優れた製品でないと意味がありません。さらにトムス製品はトヨタディーラーでも販売するので、純正品同等の取り付けやすさや安心感も求められます」と、完成までには多くの苦労があったそうだ。
トヨタのラリースト育成計画「TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム」から世界ラリー選手権(WRC)に参戦している勝田貴元選手。今シーズンは、WRCフル参戦中で、開幕戦モンテカルロ、第2戦アークティックと2戦続けて6位入賞を果たしている。
勝田選手のイメージを具体化するためにトムスで用意したエアロのデザインイラスト。これは初期段階のものだが、リヤはダクト形状を変えて2パターン作成されていた。最終的にリヤは、ダクトにフィンの入ったタイプが採用されている。
勝田選手の熱い想いに応え、いつもと違う『尖った』エアロが完成!
「今回は勝田選手コラボ、というか勝田選手の愛車であるGRヤリスで作るという話から始まったわけですが、そこにはもちろんレースや商品開発で培ってきたトムスのスピリッツも込められています。性能は落としたくない。純正よりも空力をよくしたい。カッコよくしたい。そしてディーラーで安心して販売できる製品クオリティも最低条件です。これに勝田選手というオーナーの情熱が加わっています。結果的にトムスのエアロシリーズの中でもレーシーで、かなり尖ったデザインのエアロが完成しました」と神山さんは語る。
「普段からユーザーの意見を取り入れて製品開発をしていますが『誰の』というわけではありません。でも今回はWRCドライバーであり誰よりもGRヤリスを知る男『勝田貴元』のイメージを具現化するわけですから熱くなりましたね。彼の意志を汲み取るために打ち合わせを繰り返しました。例えば、ダクトやマフラーの形状といった細かい部分まで、勝田選手と相談しながら最終決定しています。正直なところ、コストや手間を考えれば、普段のエアロ開発でここまでやらないという部分も多くあります。ただ、勝田選手の熱い想いに応えたかったんですよね」とエアロ製作の日々を語る。そんな勝田選手の理想と、トムスの技術力から誕生したエアロなのだ。
今後はトムスコンプリートとして車両開発を本格化
今回撮影させていただいた車両は、東京オートサロンに出展するために仕上げられた勝田選手の愛車であり、あくまでエアロメイクをトムスが担当した形で“トムスGRヤリス フィーチャリング勝田貴元”といった仕様だった。しかし、今後は完全なトムス仕様のコンプリートカーを視野にGRヤリスの開発を本格化させていくという嬉しい情報も聞くことができた。
「今回のGRヤリスは、あくまでエアロとマフラーのみがトムス仕様で、そのほかサスペンションやブレーキ、ホイール、インテリアパーツなどは勝田選手や実家であるラリー系ショップ・LUCKのエッセンスが反映されている車両です」
「しかし、実際に触れてみるとボディ剛性の高さやエンジンパワー、サスペンションの味付けなど、多くのことに驚かされました。さらに『俺ならもっとダンパーをこんな味付けにしたい!チューニングでパワーアップした姿を見たい!』という欲求が生まれてきました。クルマ好きをやる気にさせる、気持ちの入るクルマですよね!」
「そこで、もともとはトムスとして開発計画のなかったGRヤリスですが、今後は完全なトムス仕様の開発を進めていきます。そのために開発車両も導入しました」と神山さん。
「まずは今回の車両に装着されているエアロとマフラーを 5月頃に発売予定です。そして夏頃にはそれに足回りやブーストも少し上げたファインチューニング仕様を発表する予定です。さらには、400馬力くらいまでパワーを引き上げたコンプリートカー仕様も予定しております」と具体的な計画も教えてくれた。
こんな楽しいクルマを用意してくれたトヨタに感謝の言葉しかない!
トムスがGRヤリスに本気を出す理由は、ずばりGRヤリスの楽しさにある。
「トムスは、レーシングチームなので、サーキットでの楽しさや速さに期待しています!サーキット走行を前提にすると、やはりランエボやインプレッサのような4WDターボは魅力的です。そんな4WDターボを手掛けたいという気持ちは、我々の中にもありましたが、なかなかトヨタ車でよいベースがなかったというのが本音です」
「もちろんトヨタのスポーツカーとしては、GRスープラや86もあり、チューニング次第で勝負できます。トムスとしても“サーキットでの速さ”を求めてチューニングプランを提案してきました。ただ、GRスープラは、本気でサーキットを攻めるというより、優雅にロングドライブを楽しんだり、ワインディングを攻めたりするユーザーが多いように感じます。また、86も他車種と競うより、ワンメイクレースで同じ車種同士でバトルをするクルマという印象が強いです。これがトムスの見解です」
「対するGRヤリスは、4WDターボというパッケージで、ランエボやインプレッサと対等以上に戦えるクルマというのが、開発を始めて感じた率直な感想です。そんなクルマをユーザーも、そしてトムスも求めていたので素直に嬉しいですよね。こんなクルマ、豊田章男社長がいなければ出てこなかったはずです」と言葉に熱がこもる。
さらに「サーキットを走るようなユーザーって、じつはWRCやスーパーGTで走っているというバックボーンより“あいつより速いクルマを手に入れた!”ということが大切で、自分の買ったクルマが速くて、チューニングしやすく、さらに運転が上達すればいいという気持ちが強いと思うんですよね。そんなユーザー視点で見たときに、GRヤリスは久々にイジって楽しい、走って楽しい、運転がうまくなるクルマだなと感じています」と神山さん。
海外から問い合わせの嵐、特にヨーロッパやオーストラリアから注目度が高い!
最後にGRヤリスの反響を聞くと「今回はヨーロッパやオーストラリアからの反響がすごいですね!ほかの車種はアメリカやアジアからの問い合わせが多いんですが、GRヤリスはぜんぜん違います。これはWRCドライバー・勝田選手の影響もあると思いますが、それ以上に欧州でのGRヤリスの認知度や注目度の高さを感じます。まだエアロを発表したばかりなのに『いつ発売するのか?値段はいくらなのか?』といった海外からの熱いメッセージがたくさん届いています」と、海外からの反響の大きさに驚いている様子だった。
ラリーの本場であるヨーロッパ、そしてチューニングカー文化が根付いているオーストラリアといった地域でも、GRヤリスに注目するスポーツカー好きのユーザーが多いことを裏付けるエピソードと言えるだろう。
日本のみならず世界のクルマ好きから注目されるGRヤリス。さらにチューニング&カスタムに対する期待値も高く、爆発的なブームを予感させる。
今後もGRヤリスに触れ、ワクワクが止まらないショップやメーカー、さらにユーザーを紹介していくのでお楽しみに!
(⽂:三木宏章 / 撮影:トムス・三木宏章 / 写真:TOYOTA GAZOO Racing / 取材協力:トムス)
[ガズー編集部]
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