【動画】「トヨタ・ミライZ“アドバンストドライブ”」試乗インプレッション 車両紹介編
今回ピックアップするのは、最新の運転支援技術が搭載された「トヨタ・ミライ」の追加グレード。その注目すべき機能について、モータージャーナリスト島下泰久が動画で解説する。
2014年にトヨタが量産型の燃料電池自動車(FCEV)としてミライをデビューさせた時、私はようやく夢がかなったような気持ちになっていた。次世代のクルマの本命と言われながらも、なかなか市販車が登場することがなかったFCEVに、ようやく乗れる。しかも実現したのが日本のトヨタだということから誇らしい思いにもなり、真っ先に手に入れたのだ。おそらく当時のミライ購入者には同じような思いの人が多かったに違いない。FCEVに乗ること自体が購入の何よりの動機だったのである。
実際に手に入れたミライは、水素インフラ整備の遅れなどにより不便を強いられることもあった一方、FCEVならではの静かで滑らかで力強い、快適な走りで大いに感動させてくれた。しかしながら一台のクルマとして見た場合には物足りなく思う部分も少なくはなかった。
フットワークやデザインにしてもそうなのだが、とりわけ残念に感じていたのはパワートレイン以外には最先端と感じさせる要素、装備があまりなかったこと。特に運転支援機能はACC(アダプティブクルーズコントロール)の制御が30km/h以下では切れてしまい、パーキングブレーキも足踏み式だった。また、室内のマルチメディア、インフォテインメントに関する部分も、やはり際立ったものではなかった、という具合である。
要するに、パワートレインだけでなく、こうした部分においても最先端のものを満載していてほしかったのだ。おそらくFCEVに興味を抱いていた人の多くは、同じ気持ちだったと思う。あるいはFCEVには特に興味がなかったとしても、ミライがそういうクルマだったとしたら、もっと幅広い層から支持されたのでは? そう、ほぼ同時期に登場した「テスラ・モデルS」のように……。
新型ミライはご承知の通り、こうした部分を払拭(ふっしょく)しようとして生み出された。外観は格段にスタイリッシュになり、走りっぷりも進化した。そして最先端のテクノロジーとして用意されたのが、遅れての登場となったアドバンストドライブ。高度運転支援技術「Toyota Teammate」の新機能で、高速道路や自動車専用道路の本線上での走行を支援するものである。
それが無くても魅力が一気に底上げされている新型ミライではあるが、個人的にはアドバンストドライブがあって、完成形といっていいのでは。そんな風に思っているのだ。
(文:モータージャーナリスト・島下泰久)
[ガズー編集部]
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