ランドクルーザーGR SPORT(ディーゼルエンジン)の走りをダカールラリーを走破した寺田昌弘が解説

フルモデルチェンジでメカニズムが一新され、最新鋭の機能が追加された「ランドクルーザー」。ダカールラリー経験者の寺田昌弘が、ディーゼルエンジンを搭載するスポーティーグレード「GR SPORT」の走りをリポートする。

ランドクルーザーシリーズのなかで最新鋭なのはもちろん、トヨタの現行ラインナップのなかでも“top of SUV”として君臨する新型ランドクルーザー。

道なき道を走破できるのが何よりの魅力ですが、ステーションワゴンタイプはそれだけでなく、エクステリアやインテリア、そしてオンロードを含めた走りも上質なものになっています。振り返れば、50系では4ドアのロングボディーで車内のスペースが広がり、60系でフロアカーペットが敷かれたのですが、ワゴンとしての立ち位置が確立したのは80系。それまでリーフスプリングだったサスペンションをコイルスプリングにし、悪路走破性を高めながら乗り心地が格段によくなりました。そして80系をベースに、レクサス初のSUVとして「LX450」が誕生。ともに上質なクルマへと進化していきます。

その後、100系でフロントサスペンションが独立懸架となりオンロードでの操縦安定性が高まり、先代の200系でさらに熟成されました。この新型ランドクルーザーでは、リアサスペンションの動きをさらによくするために、ラダーフレームに“曲げ”を入れ、ショックアブソーバーがなるべく路面に垂直に近づくようにしたことが画期的です。リアサスペンションの路面追従性が飛躍的によくなっているので、高速道路走行時の路面の細かな突き上げも確実に抑えてくれる。長距離走行もかなり楽になっています。

そしてこのリアサスペンションのレスポンスがよくなったことで、コーナリング性能も変わりました。これまでのランドクルーザーであれば、コーナー進入時にステアリングを切ってから一拍置いてクルマが向きを変えていく感覚でしたが、新型ではフロントサスペンションとの動きのバランスがとれ、ステアリングを切った通りに曲がってくれるのには驚きました。

今回乗ったGR SPORTは、3.3リッターV6ツインターボディーゼルで、低回転からの700N・mというトルクのおかげで加速がよく、コーナリングの立ち上がりや発進時、高速での追い越しなどで思い通りに加速してくれるため、とても扱いやすい。以前、同モデルでオフロードも走りましたが、この低速トルクのおかげでモーグルなどゆっくりタイヤをグリップさせながら楽に走れるようになりました。

ガソリンエンジンは3.5リッターV6ツインターボで、4.6リッターだった先代モデルより排気量こそ小さくなりましたが、そもそもランドクルーザーが70年前に誕生したときのエンジンは、3.4リッター直列6気筒。排気量と気筒数は“ほぼ原点回帰”といえます。電動化が叫ばれるなか、新開発のディーゼルエンジンとベースがあったうえで、その多くをランドクルーザー用に新設計したガソリンエンジンをつくったトヨタには、クルマ好きのひとりとして敬意を表します。

(文:ジャーナリスト・寺田昌弘)

[ガズー編集部]

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