新型「ランドクルーザー」のガソリンエンジン車に寺田昌弘が試乗
私の愛車は「ランドクルーザー70」と「ランドクルーザー プラド」。どちらもディーゼルエンジン搭載車で、低回転域の豊かなトルクを生かして走らせるのが心地よいモデルです。
今回、ガソリンエンジンの新型ランドクルーザーに乗るということで、エンジンの型式を見てみれば「V35A-FTS」。これはレクサスの最上級セダン「LS500」に搭載されているものと同じ型式ですが、開発責任者にその点を伺ったところ、「LS500のエンジンはあくまでベースで、こちらは新型ランドクルーザーに合わせて一から開発し直したもの。ほぼ新開発のエンジンといえます」とのことでした。
たしかにLS500の場合とは違い、悪路を走る際には車体が前後左右に傾くので、エンジンオイルを安定していきわたらせられるようにオイルパンの形状やストレーナーの位置を最適化する必要がある。さらに、防水・防塵(ぼうじん)性能を強化して、水位700mmの渡河も可能に。先代モデルから最高出力を7PSディチューンし(422PS→415PS)、最大トルクを50N・mアップするなど(600N・m→650N・m)、新型ランドクルーザーに合ったセッティングになっています。
エンジンを始動して印象的なのは、やはり静かなことです。加速時はエンジン音こそ聞こえますが、ガソリン車にはこもり音をスピーカーからの制御音で打ち消す「アクティブノイズコントロール」が備わっているので、耳障りな音が聞こえません。先日スポーツランドSUGOで走行した際、直線で180km/h出しても風切り音が気にならないのには驚きました。空力性能を意識したボディーは、ピラーの形状や角度、ドアミラーまでしっかり考えてデザインされているのです。ウインドシールドとボディーとの段差を極力なくしているのも貢献しています。
そしてガソリンツインターボならではの気持ちいい加速感。この「ZX」と「GRスポーツ」のドライブモードセレクトは、パワートレインやステアリング、サスペンション、エアコンの制御が連動していて、「COMFORT」モードにするとサスペンションがより柔軟な印象になり、「SPORT S+」モードでは加速の鋭さとステアリングのダイレクト感が増し、サスペンションもハードになり、オンロード走行が一段と楽しめるようになっています。
ブレーキング時の姿勢変化の小ささにも驚かされます。前述のサーキットで、180km/hからコーナー手前で一気に減速すると、先代モデルであればノーズダイブしてフロントが斜め下を向いたのですが、新型ランドクルーザーはフロントに合わせてリアも沈み、ドライバーの視線が変わらない。これなら長距離を走っても疲れにくいはずです。
モノコックボディー&四輪独立懸架サスペンションのSUVと、ラダーフレーム&リアリジッドアクスルの新型ランドクルーザーをオンロード走行だけで比較するのはやぼ。歴代のランドクルーザーに乗ってきた私からみれば、新型ランドクルーザーは、悪路走破性をより高めながら、オンロードでのドライバビリティーと乗り心地が飛躍的によくなっている。なにより、楽しくなったと断言できます。
(文:ジャーナリスト・寺田昌弘)
[ガズー編集部]
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